「頑張って覚えたドイツ語を使ってもネイティブになかなか通じない」
「正しいドイツ語を話しているつもりなのに、どうしてネイティブに通じないんだろう」
こんな風に思うことってありませんか?
【なぜか話がネイティブに通じない】
その理由として二つのことが考えられます。
一つ目は「声が小さい」。
そしてもうひとつは「イントネーションが正しくない」。
実はイントネーションというのはあなたが思っているより大切な要素です。
「多少イントネーションが違っても通じればいいだろう」
と思っている人もいるかもしれません。
これは確かに間違いではありません。
それではどうすれば【通じるドイツ語】を話せるのでしょうか。
【正しい発音】でしょうか?
しかし、私たち外国人にとって、ネイティブが使う【正しい発音】を会得するのはとても難しい。
どんなに頑張っても母国語にない外国語の発音は会得できないこともあります。
その発音の欠点をカバーして「通じるドイツ語」を会得するために必要なのが
イントネーションなのです。
「ネイティブの発音は無理でもネイティブのイントネーションは外国人でも会得しやすい」
そしてイントネーションが正しければ通じるドイツ語が話せます。
というわけで今回は2つに分けて、この前半は発音とイントネーションの違い、発音とイントネーションの関連性を、
そして後半はドイツ語のイントネーションの特徴と正しいイントネーション会得のコツ、最後に日本人に難しい発音などをご紹介しようと思います。
ドイツ語の【発音】と【イントネーション】
まず発音とイントネーションの違いをご説明します。
この違いを知って、二つが別の物だということを意識してください。
発音とは
発音とは単体で発する音を指します。
例えば日本語だと”ア”とか”キ”などの音です。
50音表の一つ一つそれぞれが一つの発音を表しています。
ドイツ語では五十音の代わりにアルファベットが発音を表します。
ドイツ語のアルファベットは、A/B/C(アー/べー/ツェー)からZまであります。
A/B/Cは、アー/べー/ツェー、と発音しますが、これはアー、べー、ツェー、という三つの独立した発音です。
そして、発音の大切な特徴として挙げられるのは【個々の発音は意味を持っていない】ということです。
イントネーションとは
一方、イントネーションとはリズムの事です。
日本語では主に高低、ドイツ語では強弱でイントネーションを表します。
イントネーションは単体の発音ではなく、いくつかの発音の組み合わせできています。
そして発音と一番大きく違うのは【それぞれのパーツに意味がある】という事です。
更に、一種類しかない発音と違って、イントネーションを形成する塊にはいくつかの種類があります。
まずイントネーションを持っている最小単位の組み合わせが【単語】です。
そして単語→【文節】→【文】とだんだん大きくなっていきます。
つながりが大きくなればなるほど、複雑な意味を伝えられるようになります。
発音とイントネーションの違いがなんとなく分かっていただけたでしょうか。
発音とイントネーションの関係
さて、次は発音とイントネーションの関係について考えます。
今までみなさんは、
【単体の発音を正しく発音できれば、それをつなげたイントネーションも正しくなる】
そして、
【イントネーションを正しくするためには個々の発音の練習から始めなくてはいけない】
と思っていませんでしたか?
しかし、実はそれは正しくありません。
発音とイントネーションは別物で、習得するための関連性はほとんどありません。
つまり単体の発音が正しくてもイントネーションが正しいとは限らないし、またはその逆もあるのです。
イントネーションと発音、一体どちらが正しい方が相手に通じやすいのか?
実は圧倒的に【イントネーションが正しい】方が話相手に内容をわかってもらえます。
つまり、言語学習において【イントネーションの習得】の方が【正しい発音習得】よりずっと大切なのです。
これを踏まえて、次は外国語学習において正しい発音と正しいイントネーションのどちらが習得しやすいかを考えます。
正しい発音と正しいイントネーションはどちらが簡単か
前章で、正しいイントネーションと正しい発音では、正しいイントネーションの方が大切とお伝えしました。
ここでは難易度の話をします。
質問です。
Q. 外国人がドイツ語学習を始めた時、正しい発音と正しいイントネーションどちらが習得するのが難しいと思いますか?
A. 答えは【正しい発音を習得する方が難しい】です。
意味がない上に短くて、ごまかしがきかないのが発音です。
ほんの小さな違いで全く違う発音になったり、しかも自分ではその違いがわからない・・・
ネイティブの発音を参考にしたくても、、口の中や舌の位置、のどの震えを見せてもらうわけにもいかず、仮に一度たまたま正しい発音ができたとしても、自分では何が正しかったのかわからず、再現ができない・・・
このように、外国人にとって正しい発音を会得するのはとても難しいのです。
それに比べて、イントネーションにはある程度、正解の幅があります。
その上、単語の意味や文全体の流れが理解の助けになってくれて、更に自分で話しながら正しいイントネーションを把握しやすいのです。
そもそも正しいイントネーションというのは、そのイントネーションを使うと話がしやすいから使われているのです。
つまり、話しやすいリズムで話せば自然にそれが正しいイントネーションに近くなるのです。
例えば、あなたも自己紹介の時、日本語とドイツ語では、自分の名前のイントネーションが変わることがありませんか?
同じ名前なのに、日本語で自己紹介するときは名前の最初に、ドイツ語では名前の二番目が高い(強い)トーンが変わっていませんか?
それは日本語と同じトーンでドイツ語で自分の名前を言おうと思うと、名前だけドイツ語全体の文のリズムに合っていないので不自然になるし、自分でもスムーズに言いにくいため、自然に変化してしまうのです。
そして、日本語風のトーンで話してしまうと、ドイツ人に自分の名前をなかなかわかってもらえない、ということが起こります。
不自然なトーンの中で伝えられる聞きなれない外国人の名前は、たとえ発音自体は簡単でもドイツ人にとっては未知のものに聞こえてしまうのです。
つまり、何が言いたいかというと、
【語学学習するにおいて、発音よりイントネーションの方が大切で、イントネーションの方が習得が簡単】
ということです。
そうであれば、正しい発音を会得しようと頑張るより、その努力をイントネーションの習得に時間を使った方がずっと効率がよい、と思いませんか。
「そうは言っても発音が全然正しくなかったら何か困ることはあるんじゃないの?」
そう思う方もいるかもしれません。
次は発音が正しくできなかった場合、どんな困ったことが起こるのかを考えてみます。
発音が正しくなかったら一体どんな問題が起こるのか?
アルファベットの発音には意味がありません。
純粋に音だけで正しいアルファベットか理解してもらうには、
当然ですが、正しい発音をしなくては相手にわかってもらえません。
すでに申し上げたように、ドイツ語で大切なのは発音ではなくイントネーションです。
ですから発音自体が完ぺきでなくてもイントネーションに気を付ければ話は通じますし、困ることはありません。
ただ、例外としてたまーに発音だけで意味を伝えなくてはいけないときがあります。
その一つは、何かの予約のため電話で相手に自分の名前や住所を伝えなくてはいけないとき。
外国人の名前はすぐ相手にわかってもらえないことが多いです。
その時必ず言われるのが「アルファベットでお願いします」という言葉なのです。
例えば、あなたが”藤原”さんだとして”ふじわら(FUJIWARA)”と言ってもわかってもらえない場合、
「F”エフ”・U”ウー”・J”ヨット”・I”イー”・W”ヴェー”・A”アー” ・R”エァ”・A”アー”」とアルファベットを使って自分の名前を伝えないといけないのです。
電話口だと紙に書くこともできませんし、この場合純粋に音だけで正しい情報を伝えなくてはなりません。
かなり難易度が高いですね。
「わー、やっぱり困ることがあるんだ。それならやっぱり発音の練習しないとダメなんだ~。。。」
もしかしてそう思うってしまう人もいるかもしれません。
ですが考えてみて下さい。
毎日の全ての生活の中で、電話予約をする割合はどれくらいあるのでしょうか?
そう多くはないはずです。
更にもう一歩踏み込んで考えます。
もし名前が正しく伝わっていなかった場合何が起こるのか?
すでにご説明したように、正しい発音をするのは難易度が高く、電話での予約をしたい時など、ちゃんと伝えるのがとても難しいです。
実際問題としていざ予約先に行ってみると、伝えていた名前や住所が全然違っていた!ということがよく発生します。
確かに焦りますよ。
「あーあ、もっとちゃんと発音練習したほうがいいんだなあ」
そう思われるのもわかります。
でもその結果として一体どんな問題が起こるのでしょうか?
実は名前が予約と違ってる、なんてことは、外国人が多いドイツでは本当によくあることなのです。
あなただけが間違ってしまうわけではありません。
ですから相手の対応も慣れたものです。
多少名前や住所が違っていても問題になることはなく、そのまま対応してもらえます。
自分が予約したこの人物だと主張をちゃんとすればそれでいいので安心してください。
というわけで、実は発音が正しくなくても困ることはほとんどないのです。
ですから私は「発音の練習よりイントネーションの練習をしたほうが断然いいですよ」と自信を持ってお勧めできるのです。
次の後半ではドイツ語のイントネーションの特徴と、相手に伝わりやすいイントネーションを作るコツをお教えします。
続く