ドイツで生活していると毎日のように使うドイツ語がいくつもあります。
「ich hätte gern ~ / イッヒ ヘッテ ゲルン~」というドイツ語もその一つです。
ドイツ語の日常会話を学習中の方で、こんな疑問をお持ちの方。
ドイツ語の正しい表現と具体例を知りたい。
このページは後半です。
“Ich hätte gern”に関する3.4.5の内容を解説しています。
1.”Ich hätte gern~” の意味と文法上の決まり
2.”Ich hätte gern~”を使った具体例とよく使う便利表現
3.”Ich hätte gern~”から完了までの会話シミュレーション
4.知ってると便利な関連雑学
5.”ich hätte gern ~”のまとめ
1.2が気になる方は前半もぜひご覧ください。
それでは早速”Ich hätte gern~” を使ったお店での会話シミュレーションをご紹介します。
“Ich hätte gern”を使った注文→終了までの会話予測
【Ich hätte gern ~】から始めて実際買い物終了までの場面を想像してシミュレーションしてみましょう。
今回はパン屋さんでの会話です。
ドイツに住んでいるとパン屋さんに行く機会が増えます。
コンビニがないドイツで朝早くから開いていて気軽に軽食やドリンクを買えるパン屋さんはとても重宝するのです。
Ich hätte gern Brötchen und einen Kaffee bitte.
こんにちは。
丸パンとコーヒー一つください。
Wie viel Brötchen möchten Sie haben?
はい、喜んで。
丸パンはいくつですか?
二つお願いします。
※何個?と聞かれた場合は【xx個】の万能用語“mal” を使って「einmal/zweimal/dreimal bitte!」(1個/2個/3個お願いします)とほしい数を伝えます。
持ち帰りですか、それとも店内飲食ですか。
テイクアウトでお願いします。
※持ち帰りの場合は【zum mithenmen bitte ツーム ミットネーメン ビッテ】、店内飲食の場合は【zum hier essen bitte ツーム ヒア エッセン ビッテ】と返事をします。
Zahlen Sie Bar oder mit (EC)Karte?
3ユーロ50セントになります。支払いは現金ですか、それとも(EC)カードですか。
カードでお願いします。
Schönen Tag noch.
どうもありがとうございました。よい一日を。
Tschüss.
ありがとう、あたなも。さようなら。
これがパン屋さんで行われる定番のやりとりです。
なんとなく流れが想像できるでしょうか。
最初と最後の挨拶は枕詞のようなもの。
この挨拶が自然に口から出てくればドイツでの生活に慣れてきた証拠です。
ドイツ語で先に聞かれそうなことを予測しておく
お店で店員さんに色々質問されるのが怖い時は、先に聞かれそうなことを予測して、最初から伝えておくのもいいですね。
- 例【Ich hätte gern das einmal zum Mitnehmen bitte.】「これを一つ、持ち帰りでお願いします。」
この表現であれば聞かれそうなことを最初から全部伝えています。
とはいっても一度で全部伝えるのは長くて難しいですし、店員さんも全部聞き取れないこともあります。
そういう時は同じ内容を別々の文にして分けて言うのもいい方法です。
- 例【Ich hätte gern das bitte. Einmal. Zum Mitnehmen. 】
「これを下さい。1つです。持ち帰りで。」
先ほどと同じ内容を3つの文に分けて言っています。
それから、ドイツでは夏にアイスのスタンドが出ています。
その時に必ず聞かれること「カップとコーンどちらに入れますか。」
アイスを紙のカップに入れるか、食べられるコーンに乗せるか選ぶのです。
カップは”Becher(ベッヒャー)”、コーンは”Waffel(ヴァッフェル)”といいます。
“Becher”か”Waffel”か聞かれたときはこう答えます。
- 例【Im Becher bitte. / イム ベッヒャー ビッテ】カップでお願いします。
- 例【In der Waffel bitte. /イン デア ヴァッフェル ビッテ 】コーンでお願いします。
時には間違えて伝えてしまったり、途中で気が変わることもあるかもしれません。
そんな時に使う例をいくつかご紹介します。
【Oh, das war falsch, nicht einmal, sondern zweimal bitte.】(あ、間違えました。1つじゃなくて2つお願いします。)
【Oh, sorry nicht zum Mitnehmen, sondern zum hier essen bitte.】(すいません、持ち帰りじゃなくてここで食べていきます。)
【Entschldigung, ich habe es mir anders überlegt, nicht zum hier essen, sondern zum Mitnehmen bitte. 】(すいません、考え直しました。ここで食べるのではなく、持ち帰りでお願いします。)
【nicht xxx, sondern ○○ / ニヒト xxx, ゾンデルン○○】というのは【xxxではなく○○で】という意味になります。
1つではなく2つ、ここではなくて持ち帰りで、などなど便利に使えます。
とてもよく使う表現なのでこの機会に一緒に覚えてしまいましょう。
次はちょっとした雑学です。
ドイツで暮らしている人であれば気になったことがあるかもしれません、
【ich hätte gerne / イッヒ ヘッテ ゲルネ】と【ich hätte gern / イッヒ ヘッテ ゲルン】
についてご紹介します。
雑学”Ich hätte gern~” それとも”Ich hätte gerne~”?
ドイツ語の会話に慣れてくると店員さんの言ってることや、他のお客さんの言ってることが聞こえるようになってきます。
“Ich hätte gern …” て言ってる人と”Ich hätte gerne …”って言ってる人がいるみたい。
gerne (ゲルネ) とgern(ゲルン)何か違いがあるのかな?
“gerne”と”gern”の違い・・・これは私も気になったことがあります。
単体で使うときは”gerne”とか、”ja, gerneとかgerne”を聞くことがほとんどです。
でも、”Ich hätte” がつくと”gern/gerne”はどちらもよく耳にします。
調べてみたところ、”gerne” と”gern” には違いはない、単に話す人の好みの問題みたいです。
どちらかというと”gerne”は昔から使う古い言い方のようです。
ちなみに私は”gern”を使うことがほとんどです。
そっちの方がなんとなく慣れているというかしっくりくるというか。
意味の違いはないようなので、皆さんも好きな方を使ってみてください。
次は今までの学習ポイントのまとめです。
ドイツ語【ich hätte gern ~】まとめ
“ich hätte gern~ / イッヒ ヘッテ ゲルン” の意味と文法上のきまり:
- 意味: ~を欲しいのですが。
- 文法上の決まり: ich hätte gern + 4格の名詞
ドイツ語名詞の性別ごとの冠詞の4格: 不定冠詞と定冠詞
- 男性名詞 → einen / den
- 中性名詞 → ein/ das
- 女性名詞 → eine/ die
- 複数形(全性別)→ 不定冠詞なし/ die
基本的に使うのは不定冠詞の”einen,ein,eine”
【ich hätte gern ~】具体例
1【男性名詞】:4格不定冠詞”einen”
- 例1. Ich hätte gern einen Schnitzel.
- イッヒ ヘッテ ゲルン アイネン シュニッツェル
- シュニッツェルを一つください。
- 例2. Ich hätte gern einen Cappuccino.
- イッヒ ヘッテ ゲルン アイネン カプチーノ
- カプチーノを一つください。
2【中性名詞】: 4格不定冠詞”ein”
- 例1. Ich hätte gern ein Bier.
- イッヒ ヘッテ ゲルン アイン ビーア
- ビールを一つください。
- 例2. Ich hätte gern ein Brötchen.
- イッヒヘッテゲルンアインブロートヒェン
- 丸パンを一つください。
3【女性名詞】: 4格不定冠詞”eine”
- 例1. Ich hätte gern eine Pizza.
- イッヒ ヘッテ ゲルン アイネ ピッツァ
- ピザを1枚ください。
- 例2. Ich hätte gern eine Brezel.
- イッヒ ヘッテ ゲルン アイネ プレッツェル
- プレッツェルを一つください。
【ich hätte gern ~】日常会話で使う便利表現
名詞の性別に関係なく使える魔法の便利表現: Ich hätte gern + eine Tasse + 全名詞
- eine Tasse Kaffee, Wasser… 1カップ(1杯)のコーヒー、水・・・
- ein Glas Bier, Wein … 1グラスのビール、ワイン
- einen Becher Kaffee, Tee… 1紙コップ(持ち帰り用入れ物)コーヒー、紅茶・・・
- eine Kanne Kaffee, Tee… 1ポット(3-4人用)のコーヒー、紅茶・・・
- eine Flasche Wein, Wasser …1ボトルのワイン、水・・・
- ein Stück Kuchen, Torte …1切れのケーキ、トルテ・・・
★この言葉を使えば、後ろがどの性の名詞がきても冠詞変化の必要なし!
- Ich hätte gern ein Glas Bier. : グラスビールを下さい
- Ich hätte gern ein Glas Wein.: グラスワインを下さい
- Ich hätte gern eine Flasche Bier/Wein,/Wasser. : ビンビール・ワインボトル・水をボトルで一つください
名詞の性別に関係なく使える万能ドイツ語【einmal / アインマ―ル】
- “einmal”の意味 : 「ひとつ」
- これを使えば定冠詞は必要ない。
- 使い方は”einmal”の後ろに欲しいものの名前をいうだけ。
例【Ich hätte gern einmal Schnitzel/Rindstake/Lachsfilet/Frikadelle …】
ドイツで必ず聞かれる【店内飲食 / テイクアウト】の言い方:
- zum hier Essen / zum hier Trinken bitte : ここで食べます / ここで飲んでいきます
- zum Mitnehmen bitte: 持ち帰りでお願いします
万能表現【Ich hätte gern das!】これください!
欲しいもの・メニューの名前・写真などを指して「これください」
- Ich hätte gern das. : イッヒ ヘッテ ゲルン ダス
- Ich hätte gern das bitte. : イッヒ ヘッテ ゲルン ダス ビッテ
個数を伝える時に使える万能表現: 【…mal bitte!】/ xxx マール ビッテ!
- einmal/アインマール(一つ)
- zweimal/ツヴァイマール(二つ)
- dreimal/ドライマール(三つ)
- viermal/フィアマール(四つ)
- fünfmal フュンフマール(五つ)….
★名詞の性に関係なく使えます
何が欲しいかわからない場合【ich hätte gern etwas …】を使う
“Ich hätte gern + etwas” (エトヴァス/何か)
- Ich hätte gern etwas zu trinken. : 何か飲み物が欲しいです
- Ich hätte gern etwas zu essen. : 何か食べるものが欲しいです
- Ich hätte gern etwas Kaffee. : 何かコーヒーが欲しいです
- Ich hätte gern etwas Gutes. : 何か良いものが欲しいです
更に付け加えてもっと詳しく言う
- Ich hätte gern etwas Gutes für mich.: 何か自分のために良いものを欲しいです
- Ich hätte gern etwas Gutes für Geschenke.: 何かプレゼントに良いものが欲しいです
★作り方: “etwas” の後ろが名詞の時はそのまま、動詞の時は”zu”を加える
【Ich hätte gern~】を使ったシミュレーション
例: パン屋さん:
- Hallo! Ich hätte gern Brötchen und einen Kaffee bitte.
- こんにちは。丸パンとコーヒー一つください。
- Ja, gerne. Wie viel Brötchen möchten Sie haben?
- はい、喜んで。丸パンはいくつですか?
- Zweimal bitte.
- 二つお願いします。
※何個?と聞かれた場合は【xx個】の万能用語“mal”を利用。「einmal/zweimal/dreimal bitte!」(1個/2個/3個お願いします)
- zum Mitnehmen oder zum hier Essen?
- 持ち帰りですか、それとも店内飲食ですか。
- Zum Mitnehmen bitte.
- テイクアウトでお願いします。
※持ち帰り: 【zum mithenmen bitte ツーム ミットネーメン ビッテ】/ 店内飲食:【zum hier essen bitte ツーム ヒア エッセン ビッテ】
- Das macht 3.50 Euro bitte. Zahlen Sie Bar oder mit (EC)Karte?
- 3ユーロ50セントになります。支払いは現金ですか、それとも(EC)カードですか。
- Mit der Karte bitte.
- カードでお願いします。
- Danke schön. Schönen Tag noch.
- どうもありがとうございました。よい一日を。
- Danke, gleichfalls. Tschüss.
- ありがとう、あたなも。さようなら。
ドイツ語で先に聞かれそうなことを予測しておく
聞かれそうなことを先に伝えておく:
- 例【Ich hätte gern das einmal zum Mitnehmen bitte.】「これを一つ、持ち帰りでお願いします。」
同じ内容を一つの文ではなく分けて言うのもあり。
- 例【Ich hätte gern das bitte. Einmal. Zum Mitnehmen. 】
「これを下さい。1つです。持ち帰りで。」
★アイスを買う時聞かれる: “Becher oder Waffel?” 「カップとコーンどちらに入れますか。」の返事:
- 【Im Becher bitte. / イム ベッヒャー ビッテ】カップでお願いします。
- 【In der Waffel bitte. /イン デア ヴァッフェル ビッテ 】コーンでお願いします。
★前言撤回するときの例:
【Oh, das war falsch, nicht einmal, sondern zweimal bitte.】(あ、間違えました。1つじゃなくて2つお願いします。)
【Oh, sorry nicht zum Mitnehmen, sondern zum hier essen bitte.】(すいません、持ち帰りじゃなくてここで食べていきます。)
【Entschldigung, ich habe es mir anders überlegt, nicht zum hier essen, sondern zum Mitnehmen bitte. 】(すいません、考え直しました。ここで食べるのではなく、持ち帰りでお願いします。)
※【nicht xxx, sondern ○○ / ニヒト xxx, ゾンデルン○○】の意味:【xxxではなく○○で】
いかがでしたでしょうか。
この記事で少しでもドイツ語の【ich hätte gern~】の使い方をわかっていただけると嬉しいです。
効率よくドイツ語を学ぶには
ドイツ語は英語に比べて文法がややこしい、と言われています。
確かにざっくり見てもドイツ語には英語にないこれだけの文法上の決まりがあります。
ドイツ語と英語の文法上の違い:
- 名詞に女性名詞・男性名詞・中性名詞の3つの性があること(英語にはない)
- 主語によって動詞の形容が変わること(英語には3人称単数のsのみ)
- 様々な形の複数形が存在すること(英語の複数形はsが大半)
- 形容詞の形も変化すること(英語は変化なし)
- てにをは、によって定冠詞と不定冠詞が変化する(英語はtheとa/anのみで変化なし)
ここでつっかかってドイツ語学習を挫折してしまう人が多いのも事実です。
しかし、それではもったいなすぎる。
日常ドイツ語でこれらをすべて覚える必要はありません。
それではどれを覚えればいいのか???
ドイツ語の日常会話で最低限覚えればいい文法とは?
私はその一定の答えを出しました。
ドイツ語学習中の方、またはこれからドイツ語学習を始めようと思っている方はまず最初にこの記事をご一読下さい。
今後のドイツ語の学習効率があがると思います。
記事を読んでもっと詳しく知りたい、と思った方はこちらもご覧ください。