2021年3月にドイツ商工会議所主催の【ドイツ認定管理会計士】セミナーを受け始めて早くも3回が終了しました。
初回から3回目までの様子はこちら。
新しいことを学ぶのはもちろん難しいこともありますが、刺激になります。
何もやってなかったらゼロなのですから、少しでも覚えればその分プラスと思えばプレッシャーにもなりません。
今回はセミナーの第4回から第7回までご紹介します。
これでイースター前の前半が終了です。
ドイツの会計基準セミナー第4回【商品販売】
前回の第3回は【商品購入】がテーマでした。
日本とは違う仕訳方法だったので、ついて行くのがちょっと難しかったです。
正直言うと、全部ちゃんとわかったとはいえない状態。
しかし授業は先に進みます。
第4回目は購入した商品をお客さんに売る【商品販売】がテーマです。
前回学んだ商品購入と対になる業務内容です。
業務内容としては反対ですが、会計手順としては重なることも多いので
前回の【商品購入】で少し学んでいる分全く新しく始めるよりは理解しやすいです。
しかし前回の購入テーマできちんと把握していなかった部分は、ここでもちょっと難しい。
つまり、単純な仕訳はわかるけど、そのあとのドイツ独特の会計処理手順の理解にちょっとてこずっている、という状態です。
それでも授業から、次のようなことがわかりました。
ドイツ会計【Warenverkauf/商品販売】仕訳手順:
- 商品を売った時の勘定科目は【Warenverkauf/商品販売】売上計上→利益【GuV(Gewinn und Verlust-Kto)/損益科目】: 勘定科目番号は【8010】
- 商品販売に関連する他の勘定科目は商品販売科目の下位勘定科目番号【80xx】で表す。(商品返品【8050】・値引き(不良品等)【8060】・ボーナスポイント(売上増加等)【8070】)
- 年度が終わったら勘定科目を閉める。
- まず下位勘定科目の【80xx】を閉めて出てきた残高を上位勘定科目の商品販売【8010】に集約する(振替)。
- 下位勘定科目の残高を集約した商品販売【8010】を閉める。その残高を次のステップ→【Warenverkaufserlös/売上高】に振り替える。
- 【Warenverkaufserlös/売上高】を更に次のステップ→【GuV-Kto/損益対照表】に振り替える。
商品販売は直接売り上げにつながるので損益関連科目になります。
これは商品購買と違い、日本と同じでした。
その他日本との違いとして目につくのは、値引き・返品・ノルマ達成ボーナスなど、売り上げ関連で起こるであろう関連科目を売り上げの下位勘定科目として設置しているところ。
そして、その下位科目を年度終わりにいったん全部閉めて上位勘定科目である”商品売り上げ”科目にまとめるところです。
これと同じような関連科目を下位勘定科目として扱う仕訳が前回の”商品購買”でもありました。
前回と今回で2回学んだので、その流れがなんとなく理解できるようになりました。
説明を受けた後は実際に簡単な課題をやってみます。
講師の説明を聞いている時はわかっているつもりでも、実際に課題をやってみるとちょっと混乱してきます。
“わかる”と”できる”はやっぱり違います。
商品仕入れの時も思いましたが、ドイツでは一つ一つの勘定科目を年度末に閉める、という考え方をするようです。
日本で会計業務をしていた時は、一つ一つの勘定科目を閉める、という感覚はありませんでした。
まずこれに慣れること。
そしてこれは商品売買だけに限ったことではないですが、もう一つ混乱するのは、授業で知識として学ぶ【全体→細部】・【ゴール→出発点】という方向性です。
つまり知識として学ぶのは、年度末に決算資料として【貸借対照表を作成】というゴールを目指す→そのためにどんな手順で日々の会計業務を行うのか、という順番です。
しかし、実際の作業としてはその逆で【細部→全体】・【出発点→ゴール】、つまり”日常の一つ一つの仕訳”→”決算の貸借対照表”の順に進めます。
知識と実際の手順が逆なので、そこでちょっと混乱が生じるみたいです。
混乱の原因には見当がついたものの、もちろんすぐ理解できるわけではありません。
とりあえず授業中は集中して聞いていないとおいていかれるので、細かいところは後回し。
混乱点については今日のセミナーが終わったら、週末にちょって復習しよう・・・
この日は今までの3回と比べて、解説よりも課題を解く時間が多かったです。
3時間のセミナーのうち、後半1時間は課題を解いていました。
その課題は結局時間内には全部は終わらずに授業は終了。
残りは宿題になりました。
課題内容は以下の通り:
- 年度開始貸借対照表数値を出す。
- 商品販売を中心としていくつかのGeschäftsvorfall(事業取引)を仕訳
- 各勘定科目を閉める
- 年度末貸借対照表作成
会計は算数のようで最初の仕訳を一つを間違えると、次の過程も次々と間違えてしまいます。
後半に間違いを見つけてしまうと、全部遡って間違いを修正するのは大変です。
修正するにも一つ一つの仕訳内容、その意味をちゃんとわかってないと正しく修正できません。
だから結局最初の仕訳が大切になってくるのです。
一ヵ所仕訳を修正するとそれに伴っていくつも修正箇所がでてきます。
確認すべきポイントはわかっているので、知識のある人なら修正できますが、
会計未経験者にはなかなか難しく、変に一つの仕訳をいじると辻褄が合わなくなります。
面倒ですが、そこが複式簿記の利点といえば利点です。
誰かが帳簿操作で不正を試みた場合発見しやすいのです。
週末の宿題と復習で理解できたこと
週末は宿題に取り組みました。
授業で気が付いた混乱の原因を解決するために、逆順で習った会計の流れを実際に行う手順通りに整理してみました。
会計に関する全体的な考え方:
- 最終目的: 決算の貸借対照表(SBK : Schlussbilanzkonto)の作成
- そのための手順
- 昨年度末の貸借対照表の残高を今期の初期に移行する
- 今期の一つ一つの商取引を仕訳する(Grundbuch/仕訳帳)
- 各仕訳を各勘定科目(Sachkonten)に記帳→Hauptbuch/総勘定元帳+Nebenbuch/補助元帳)
- 各勘定科目は損益勘定(Erflogskonten)と在庫勘定(Bestandskonten)に分類される
- 年度が終わったら個々の損益勘定科目を閉めて、残高を損益対照表に振り替える
- 損益対照表で出た利益(損失)を自己資本科目(Eigenkapitalkonto)に振り替える
- 自己資本科目の残高を決算の貸借対照表(Schlussbilanzkonto)に振り替える
- 在庫勘定科目の各科目を閉める。閉めた残高を決算の貸借対照表に振り替える
基本的な会計年度の開始から終了までの基本的な流れはこのような感じ。
この流れを基本として、その他に今回や前回習った、商品販売、商品購買では下位勘定科目が加わります。
また、個人で商売をしている場合などは、更にプライベート勘定科目などの処理も加わります。
そして前回の商品購買と今回の商品販売を通してクリアになってきた【商品購買/商品販売】は資産ではなく経費扱いにするドイツの仕訳についてもまとめました。
ドイツの商品購買・在庫仕訳
- 商品購買(Wareneinkauf) →費用: 例500.000ユーロ
- 年度末実際の在庫数と在庫額を確認(Warenbestand/資産科目): 例120.000ユーロ(年度末在庫額)
- 年度初期の在庫額と比較し、差額を算出(資産科目): 例 年度初期150.000ユーロ
- その差額を【在庫調整/Warenveränderung】という勘定科目を使って資産科目(Warenbestand)から商品購買科目(Wareneinkauf)に振り替える→費用科目の調整完了: 例 減少した差額30.000ユーロを費用として加える(在庫が少ない場合は費用から減らす)→費用合計 530.000ユーロ
※日本の商品購買・在庫仕訳
- 商品購買→在庫(資産) 500.000ユーロ
- 商品販売→(売上)例700.000ユーロ
- 販売した分の商品を算出→(費用) 例: 530.000ユーロ
- その分を資産から費用に振り替え→費用科目の調整完了 資産合計初期在庫150.000ユーロ+500.000(今年度購入分)-530.000(仕入れ原価費用)=120.000(年度末在庫額)
確かに最終結果は日本もドイツも同じになります。
年末の締め日に棚卸をして在庫を確認。
年度初めのままだった在庫額を年度末の値に調整するために使う【在庫調整/Warenveränderung】という勘定科目。
そのために行う二つの仕訳:
- 【在庫(Warenbetand)】- 【在庫調整(Warenveränderung)】(在庫の増減によって反対仕訳の場合もあり)
- 【在庫調整(Warenveränderung)】- 【在庫購入(Wareneinkauf)】
これが資産である在庫を正しく調整するキーポイントだったのです。
授業では軽く流していただけの”在庫調整”処理が実はとても大切だったことに授業中は気が付きませんでした。
これで、方法が違うだけで日本方式でもドイツ方式でも結果は同じだと自分で納得できました。
後は宿題をやって理解したことを定着させるだけです。
授業の最後にヒントももらったし、途中までみんなで一緒にやったのでそんなに時間をかけないでも終わるはず・・・
と思ったのですが。。。
①最初の仕訳は問題なし。
②各勘定科目を閉めるのもOK。
②a_商品購買・販売に関しては関連科目の下位勘定科目を閉めて上位勘定科目である商品購買・販売科目に振り替えることも資料を見ながらですができました。
しかしその後、各勘定科目を閉めて損益対照表にまとめる?→損益対照表から算出された利益額を貸借対照表に持ってくる??→最終目的である貸借対照表に反映させる・・・???
途中で怪しくなってきて、どうも合っている気がしなくなりました。。。
どうも頭がぼんやりして途中で思考がストップしてしまいます。
ひょっとしたらドイツ語より最初にざっくり日本語でまとめた方がいいか、と思いましたがすぐ断念。
理由はドイツ語で習っている会計の専門用語を日本語でなんていうかわからないから。
ドイツ特有の会計用語の日本語訳があるとも限らないし、考えてみれば当たり前。
あるかもわからない日本語訳を探す暇があったら、その分ドイツ語で普通に勉強する方が効率がよいに決まっています。
わかっちゃいるんですが、たまについつい日本語に頼ろうとする悪い癖です。
そんなこんなで、結構こういう宿題は最後までやる方なんですが、今回は途中で終了。
わかってない、ということがわかりました。
一応わからない箇所がわかっただけでもよしとします。
次回の授業での答え合わせを集中して聞いていれば理解できるはず。
ドイツ会計セミナー第5回【預金・現金】
そして次の5回目のセミナーがやってきました。
まずは簡単に前回の復習をした後、いよいよ宿題の答え合わせです。
一応宿題をやってみてわからない部分を集中して聞いていたので、答えを知った時にちゃんと理解できた気持ちになりました。
宿題をやっていないで漫然と聞いていたらこうはならなかったでしょう。
言葉だけではなく、答えの図を見せてもらえるのでそれを見るとわかりました。
ただ、回答の図を見ないで次回自力で解けるまではもうちょっと練習が必要です。
そして本日のテーマに入ります。
今回のテーマは預金と現金の扱い方、仕訳の仕方です。
ちなみにドイツの銀行口座制度は日本とは少し違います。
日本ですと、企業でつくる銀行口座は当座預金といって一般の人が作る普通預金口座とは異なります。
大きな違いとしては、企業の当座預金には利息がつきませんが、一般の人が作る普通預金は少しですが利息がつきます。
ドイツでは一般の人が作る口座も企業が作る口座も差がありません。
どちらも利息はないですし、毎月口座管理手数料を取られます。
利息をつけたければ定期預金のような特別な口座を作る必要があります。
そのような扱いをのぞけば、企業会計の視点からいうと授業を聞いている限り、
ドイツの銀行と現金の会計上の扱いは日本とほぼ同じでした。
私にとってはそれほど理解に苦しむ点はなくて良かったです。
預金と現金の扱い方の基本的な決まりをまとめるとこんな感じです。
ドイツ会計上のルール: 預金-勘定科目【Bank/銀行】:
- 残高がマイナスになることはあり得る
- 残高がマイナスになったときは借入金として資産ではなく負債勘定になる
ドイツ会計上のルール: 現金―勘定科目【Kasse/現金】:
- 金庫の帳簿はマイナスはあり得ない(最低でゼロ)
- マイナスにならないので常に資産勘定になる
- 現金は毎日チェックしなくてはいけない
- 担当者が休暇中は代理の人がチェックすること
確かにあまり会計の知識がない人が現金の帳簿を付けていると、たまにマイナスの帳簿になってしまうことがあります。
実際に現金を出し入れすることを考えればマイナスはあり得ないとわかるのですが、帳簿の上だけだと一瞬マイナスになっても違和感を感じないのかもしれません。
この日もセミナーの後半1時間くらいは課題を解きました。
今日の内容は大体理解できたかな、と思いました。
次のセミナーは2日後です。
平日はなかなか復習する時間がないので、あまり疑問点がなくて助かりました。
ドイツ会計セミナー第6回【消費税と売上税】
第6回のセミナーです。
いつものように最初の30分くらいは前回の銀行・現金の復習です。
簡単なルールと仕訳のおさらいなどをやりました。
そして今日のテーマである【Vorsteuer(消費税)】と【売上税(Umsatzsteuer)】に入ります。
“Vorsteuer”と”Umsatzsteuer”って日本語でなんて訳すのが自然なのでしょう。
ドイツ語の意味から考えて、仮に”消費税”と”売上税”と訳しましたが、要は支払いした時に払う消費税と、売り上げがあった時に受け取る消費税のことを指しているので【仮払い消費税】と【仮受け消費税】がよいのかもしれません。
ドイツでも日本でも仮払い/仮受け消費税という名の通り、最終的に支払うのは最終消費者である個人です。
仮払い消費税と仮受け消費税に関して日本と違ったのは、またしても仕訳から決算までの手順です。
仮払い消費税と仮受け消費税の会計上の決まり:
Vosteruer(仮払い消費税)と売上税/仮受消費税(Umsatzsteuer):
- ドイツで一般的に使われている”標準勘定科目表(SKR)による勘定科目番号はVorsteuer(1410), Umsatzsteuer(1810)※いずれも税率19%の場合
- 企業は税務署に申告の義務はあるが、最終的に支払いをするのは最終消費者
- 税務署に仮払い消費税額と仮受け消費税額の申告を行い相殺された差額を税務署から受け取る/支払う
- 所得税申告の期限は翌月10日だが、一定の条件を満たしていれば、申請すれば期限を一か月伸ばすことができる。※売上税法 §20 UStGによる“Soll-Versteuerung”原則(サービス発生時・商品販売時に税金が発生する原則)→”Ist-Versteuerung”(税金発生は支払い時)への変更。
- 会計の仕訳手順は①事業取引を仕訳する②仮払い消費税(Vorsteuer)の勘定科目を閉める。そして“Vorsteuer”の残高を売上税/仮受消費税(Umsatzsteuer)に振替える。③売上税/仮受消費税の勘定科目を閉める。④税務署への支払いが多い場合(Zallast)は”Sonstige Verbindlichkeiten(その他未払金)”へ、受取りが多い場合(Erstattung)は”Sonstige Forderung”科目へ振替える。
実務上気を付ける点は、ちょっと特殊な手順になる「Vorsteuer(仮払い消費税)を先に閉めて、その残高をUmsatzsteuer(売上税)に振替処理」という手順を忘れないこと。
このテーマについてはそう複雑なこともなく、授業は予定通りに進み最後はいつものように課題の時間。
ちょっと問題が起きたのはここからです。
授業の最後に課題の答え合わせが大体終わった後、ある生徒から質問がありました。
それは今回のテーマとは直接関係ない、第3回目の授業で学んだ【商品購買】の仕訳について。
自分がわからない点を結構長いこと講師に説明していたのですが、焦点は【商品購買は資産として貸借対照表に入ると思っていたのに経費勘定に入るのがわからない】ということでした。
あ、私が疑問に思ったことと同じことを思っている!
やっぱりこの点があまりクリアになってない人が他にもいたんだなあ。
あまりにも全然理解できないうちは、質問をすることもできません。
質問が出だしたということは、それだけわからない箇所が絞れてきたのかもしれません。
それをきっかけに他の生徒たちからも購買関連の質問がたくさん出てきました。
今までであればたいてい疑問点があっても講師の説明で納得していたのですが、
在庫関連の仕訳に関してはやはりちょっと複雑だったせいもあり、説明を受けてもわからない人も出てきました。
しばらくそれぞれの質問について説明を重ねていた講師ですが、なかなか全生徒の疑問がクリアにはならずそのままセミナーの終了時間になってしまいました。
講師は私たちの疑問点はわかったので、次の授業までに何か理解しやすい方法を考えてみる、と言ってくれてその日の授業は終わりました。
授業が進んでいくうちに、対面授業であれば簡単に説明できるようなことも、リモートではなかなか把握しにくいことがあるのがわかってきました。
学習する私たちもそうですが、授業でいつもと違う工夫が必要な講師も大変です。
授業で終わらなかった宿題の残りは週末にやりました。
今週は先週と違い最後まで一通り終わらせることができました。
ドイツ会計セミナー第7回【税金】
週明け、今週は変則で月曜日の授業です。
イースター前の授業は今日が最後になります。
早いもので今日はもうセミナーの折り返しです。
前回の授業の最後に質問がたくさん出て終わらなかった時に、講師は今日重点的に復習をするといっていました。
一体どのような授業になるのでしょうか。
まずはいつものように先週の復習をした後、宿題の答え合わせをしました。
そして本日の新しいテーマとしてちょこっと「通常の事業課程における税金」の説明を受けました。
これは仕訳云々というよりは、税金とは何か、税金を支払わなかった場合のリスク、税金の種類、支払い期日など、税金について知っておくべき基礎情報の授業でした。
これがその内容です。
Steuern(税金)とは:
- 国の予算をまかなうための歳入
- 法規制によって課税されるもの
- 国民の義務
- 現金で納めなくてはいけない
- 公的機関から徴収される
税金を期限内に支払わなかった場合のリスク:
- Verspätungszuschlag (後払い追加税) の発生
- Säumniszuschläge (遅延ペナルティ)の発生
- Zinsen(利息): 税務署から特別な利息通知が来る
- Zwangsgelder (罰金): 納税申告がされなかったなど悪質な場合
税金の種類には「個人が支払うもの」と「企業が支払うもの」の2種類があります。
ほとんどの税金は日本と重なりますが若干違うものもあります。
例えばドイツには住民税はないのですが、教会税や犬を飼っている人が支払うドッグ税などはあります。
税金の種類: “個人管轄”と”企業管轄”の2種類
個人が支払う税金の主なもの
- 所得税 (Einkommensteuer)
- 相続税・贈与税 (Erbschaftssteuer・Schenkungsteuer)
- 私有財産の固定資産税(Grundsteuer)
- ドック税 (Hundsteuer)
- 個人所有の自動車税(Krz-Steuer)
企業が支払う税金の主なもの
- 法人税 (Körperschaftssteuer)
- 地方税 (Gewerbesteuer)
- 企業所有資産の固定資産税
- 企業所有分の自動車税
そして、企業が支払う法人税と地方税では支払期日がそれぞれ異なることも学びました。
ざっとこのような事を説明した後、講師がおもむろに言いました。
これが前回の授業の最後に起きたことを受けて講師が私たちのために考えてくれたことです。
前半の総復習
講師が授業プランの変更をしたといって、セミナーの新しい予定表を見せてくれたのです。
前回の最後の様子で私たちが思ったより理解していない箇所がある、と感じたのでしょう。
いくつかの新しいテーマは割愛され、全体の復習の時間が多くなっていました。
本来この会計セミナーは直接対面で行うべき内容のセミナーです。
ですが、コロナ渦でやむを得ずリモート授業になっているという背景があります。
通常であれば、講師が直接生徒の仕訳や課題の進捗状況を見て、各生徒がどこに問題があるのか、どの点で躓いているのかすぐわかります。
しかし、リモート授業では直接指導をすることはできませんし、講師は生徒の問題になかなか気が付けません。
生徒も疑問点はもちろん質問しますが、それでもやはりリモートでは限界があります。
しかも出版会社の都合で、教科書ですら実物が手に入らず、電子書籍になってしまいました。
手に取って書き込みもできないし、本をパラパラとめくって調べることもできません。
このような学習するには不利な点が重なってしまったことによって、講師はいくつかの学習ポイントを割愛し、復習の時間を多く割くプランに変更したのです。
「今この状態では先に進むより基礎を理解することが大切です。今回いくつかのポイントを学習しなかったとしても、それは次のセミナーで簡単に取り戻すことができます。
それより今回は復習の機会を増やして基礎をしっかり理解することが大切です。
このプランでも最終試験には充分ですし、ちゃんと資格証明書を受け取ることはできます。」
そして、前半終了の本日のプランは「これまでの復習」となっていました。
そう思って週末にオリジナルビデオを作成しました。手作りなので決して洗練されたものではありません。
でも、これで少しでも会計手順を理解してもらえればと思って作成しました。
いい講師です。
私たちのために時間を割いて作ってくれたオリジナルビデオは、確かに今までのように前もって準備された綺麗な資料ではありません。
でも手書きで最初の仕訳→下位勘定科目を閉めた残高を上位勘定科目に振替え→各勘定科目を閉めて→最終貸借対照表までの過程を見せてくれた映像は、とても参考になりました。
実際に見せてもらったことで私が持っていた疑問点がかなり解決しました。
そして、ビデオに引き続き、これまでの学習で使った資料を使って、もう一度第1回から6回までのテーマの復習をしてくれたのです。
2回目なので頭に入ってきやすかったです。
日本だったら当初の計画を最後まで変更することなく突っ走ったかもしれません。
でもドイツにはこういう臨機応変さがあります。
大学の講義やセミナーでも、当初の計画が先送りになったり、結局最後まで終わらなかったとしても全く問題になりません。
計画通りにいかないことよりもその場で活発な意見が交わされてた方が有意義だ、と考えるのです。
最初は「え、最後まで終わらなくてもいいの?学ぶべき大切なことを逃してしまったのでは?」と非常に心配になった私です。
でも誰も充分理解しないまま先に進んだところで確かにそれは意味がありません。
ドイツでは全体にそういう考えや教育方針が定着していて、これまでも最初の予定にこだわらず、現状に合わせて臨機応変に対応する様子を何度もみてきました。
それがその場に一番合った解決方法を見つけられることも多いのです。
そんな経験から私もだんだん「計画したところまで無理してでもやる」のではなく「限られた時間でできるだけのことをする」という方針に慣れてきました。
習うより慣れろ、水は川下にしか流れない、というのは真理です。
そしてセミナーの前半は終了しました。
イースター明けの次の授業までに、改めて今までの課題の復習をしておこうと思います。
まとめ
セミナーの第4回から第7回まで学んだことをまとめます。
第4回【商品販売】
ドイツ会計【Warenverkauf/商品販売】仕訳手順:
- 商品を売った時の勘定科目は【Warenverkauf/商品販売】売上計上→利益【GuV(Gewinn und Verlust-Kto)/損益科目】: 勘定科目番号は【8010】
- 商品販売に関連する他の勘定科目は商品販売科目の下位勘定科目番号【80xx】で表す。(商品返品【8050】・値引き(不良品等)【8060】・ボーナスポイント(売上増加等)【8070】)
- 年度が終わったら勘定科目を閉める。
- まず下位勘定科目の【80xx】を閉めて出てきた残高を上位勘定科目の商品販売【8010】に集約する(振替)。
- 下位勘定科目の残高を集約した商品販売【8010】を閉める。その残高を次のステップ→【Warenverkaufserlös/売上高】に振り替える。
- 【Warenverkaufserlös/売上高】を更に次のステップ→【GuV-Kto/損益対照表】に振り替える。
第5回【預金・現金】
ドイツ会計上のルール: 預金―勘定科目【Bank/銀行】:
- 残高がマイナスになることはあり得る
- 残高がマイナスになったときは借入金として資産ではなく負債勘定になる
ドイツ会計上のルール: 現金-勘定科目【Kasse/現金】:
- 金庫の帳簿はマイナスはあり得ない(最低でゼロ)
- マイナスにならないので常に資産勘定になる
- 現金は毎日チェックしなくてはいけない
- 担当者が休暇中は代理の人がチェックすること
第6回【仮払い消費税・売上税/仮受消費税】
Vosteruer(仮払い消費税)と売上税/仮受消費税(Umsatzsteuer):
- ドイツで一般的に使われている”標準勘定科目表(SKR)による勘定科目番号はVorsteuer(1410), Umsatzsteuer(1810)※いずれも税率19%の場合
- 企業は税務署に申告の義務はあるが、最終的に支払いをするのは最終消費者
- 税務署に仮払い消費税額と仮受け消費税額の申告を行い相殺された差額を税務署から受け取る/支払う
- 所得税申告の期限は翌月10日だが、一定の条件を満たしていれば、申請すれば期限を一か月伸ばすことができる。※売上税法 §20 UStGによる“Soll-Versteuerung”原則(サービス発生時・商品販売時に税金が発生する原則)→”Ist-Versteuerung”(税金発生は支払い時)への変更。
- 会計の仕訳手順は①事業取引を仕訳する②仮払い消費税(Vorsteuer)の勘定科目を閉める。そして“Vorsteuer”の残高を売上税/仮受消費税(Umsatzsteuer)に振替える。③売上税/仮受消費税の勘定科目を閉める。④税務署への支払いが多い場合(Zallast)は”Sonstige Verbindlichkeiten(その他未払金)”へ、受取りが多い場合(Erstattung)は”Sonstige Forderung”科目へ振替える。
第7回【税金】
Steuern(税金)とは:
- 国の予算をまかなうための歳入
- 法規制によって課税されるもの
- 国民の義務
- 現金で納めなくてはいけない
- 公的機関から徴収される
税金を期限内に支払わなかった場合のリスク:
- Verspätungszuschlag (後払い追加税) の発生
- Säumniszuschläge (遅延ペナルティ)の発生
- Zinsen(利息): 税務署から特別な利息通知が来る
- Zwangsgelder (罰金): 納税申告がされなかったなど悪質な場合
税金の種類: “個人管轄”と”企業管轄”の2種類
個人が支払う税金の主なもの
- 所得税 (Einkommensteuer)
- 相続税・贈与税 (Erbschaftssteuer・Schenkungsteuer)
- 私有財産の固定資産税(Grundsteuer)
- ドック税 (Hundsteuer)
- 個人所有の自動車税(Krz-Steuer)
企業が支払う税金の主なもの
- 法人税 (Körperschaftssteuer)
- 地方税 (Gewerbesteuer)
- 企業所有資産の固定資産税
- 企業所有分の自動車税
これまでセミナーで学んだ会計専門用語と日本語訳を表にまとめました。
色の違う部分が今回の付け足しです。
ドイツの会計用語の日本語訳
ドイツ語の会計専門用語:
- GOB (Grundsätze ordnungsmäßiger Buchführung): ドイツ会計の基礎・根拠となる規則)
- HGB (Handelsgesetzbuch): 商法 (ドイツの商法の中核の規則がまとめられたもの)
- AO (Abgabeordnung): ドイツの税法の基本法
- Standard-Kontanrahmen(SKR): 標準勘定科目表 (※最も一般的なのはSKR03とSKR04)
- Rückstellung: 引当金
- T-Konto: 仕訳の勘定科目伝票のこと。左右に分かれる複式簿記仕訳の形が”T”の形に似ているので”T-アカウント”と呼ぶ。
- Verbindlichkeiten aus L.+L (L.+LはLieferungen und Leistungenの略) : 買掛金/未払金
- auf Ziel: 請求書払い(後払い)
- Inventur : 現実の商品の在庫
- Inventar : Inventur の結果をもと作られる会計上の数値としての在庫(貸借対照表のもとになる数値)
- Buchungssatz: (複式の)仕訳け
- Hauptbuch: 総勘定元帳
- Nebenbuch: 補助元帳
- Konto: 勘定科目
- Bilanz: 貸借対照表
- Aktiva / Passiva: 資産 / 負債
- Anlagevermögen: (有形)固定資産
- Umlaufvermögen: 流動資産
- Forderungenaus L.+L. (L.+LはLieferungen und Leistungenの略): 売掛金
- Eigenkapital: 自己資産(自己資本)
- Soll / Haben: 借り方 / 貸方
- GuV (Gewinn und Verlust): 損益計算書
- EBK(Eröffnungskonto) 年度初めの開始貸借対照表
- WEK(Wareneinkauf) 仕入れ品購入
- BGA(Betriebs- und Geschäftsausstattung) 資産勘定になる機器(備品扱い)
- Warenbestend: 在庫
- Warenveränderung: 在庫調整
- Warenverkauf: 商品販売
- Bar: 現金
- Kasse: (勘定科目としての)現金・レジ
- Bank: 銀行
- Vorsteuer: (仮払い)消費税
- Umsatzsteuer: 売上税(仮受け消費税)
- Umsatz: 売上
- Vorauszahlungen: 前払い
- Nachzahlungen (Vorhaure) : (前年分の) 後払い
- Gewerbesteuer: 営業税(地方税)
- Körperschaftssteuer: 法人税
- Est (Einkommensteuer): 所得に関する税金
- Kfz-Steuer: 自動車税
- Erbschaftssteuer: 相続税
- Schenkungssteuer: 贈与税
- Grundsteuer: 固定資産税
- Hundsteuer: ドック税
これからもセミナーで新しいドイツ語会計用語が出てきたら、リストに追加していこうと思います。
みなさんもこれを読んで少しでもドイツの会計に興味を持ったり、役に立ったと感じてもらえると嬉しいです。
引き続きセミナーで学んだことをリポートしたいと思います。
続く。
ドイツの労働制度に興味のある方はこちらもぜひ。
ドイツ語をもっと学びたいという方はこちらもぜひ。