ドイツの会計基準を知る【2か月会計集中セミナー】①

2021年3月になりました。

1年以上にもわたるコロナ渦での制限措置。

 

店も開いてなければ旅行もできず人とも会えないとなれば、

いつもより自由時間が多くなります。

 

この時間を利用して、ドイツ会計の基礎知識と

実務を学ぼうと思い立ち、よいセミナーをリサーチした結果、

ドイツ商工会議所で行われる2か月間のセミナーに参加することにしました。

 

参加しようと決めたものの、人気コースでいつもあっという間に席が埋まって

しまうのでウエイティングリストで待機。

 

すると希望のコース開始の数日前に席に空きが出たということで、

急遽希望していた時期のセミナーを受講することができました。

 

ラッキーです。

 

コロナのご時世柄、すべての授業がオンラインにて行われます。

急遽だったので、準備にばたばたしましたが無事に第一回目から

参加することができました。

 

日本とは違うドイツの会計基準に興味のある人もいるかもしれません。

ドイツの日系企業勤務で、決算書の確認に四苦八苦している人もいるかもしれません。

ドイツ語の会計用語を日本語で何というのか気になる人もいるかもしれません。

 

今回はそんな方たちのために、そして自分の復習のためにも

セミナーで学んだ事をご紹介しようと思います。

 

実況に近くなりますので、セミナーの途中で分かったことや

感じたことをリアルタイムでつづっていきます。

 

最後は試験もあるようです。

果たしてどうなるのか・・・

 

今回は、まず私がどのような経緯でこのセミナーを受けることにしたのか、

その背景を簡単にご説明した後、第1回目から第3回目までのセミナーの

様子をご紹介します。

 

セミナー初日はドイツの会計の基盤となる”GOB”の大切さから始まりました。

“GOB”とは何か?

 

セミナーは当然ですがドイツ語の会計専門用語が盛りだくさん。

同じ単語でも日常会話のドイツ語とは違う意味を表す用語も出てきますので

それも最後にリスト化してご紹介します。

 

久々のドイツ語セミナーで脳が活性化されます。

 

ドイツの会計基準セミナーを受けるまでの背景

ドイツの日系企業で働く方たちは、日本の本社にドイツの月次や決算の

報告をすることもあるかもしれません。

 

私もこれまでそのような機会がたくさんありました。

 

その時日本とドイツの会計や決算基準に対する根本的な考え方が違う事がたびたびあり、

片方だけしか知らない人たちに説明をするのが困難な事が多々ありました。

 

ドイツの会計士さんは日本の会計基準を全く知らない、

逆に日本の経理はドイツの会計事情は全くわからない、

間にいる私がどちらも知っていないと日独間での

やり取りに無駄な時間を費やすことになります。

 

逆に真ん中にいる私が両方の基準に精通していればやり取りは簡単です。

 

「日独両方の知識をちゃんと持っていたら便利だな」

と思ったのがそもそもの始まりです。

 

日本での経理経験・会計知識

私は日本で10年以上、現在ドイツでも10年近く経理関連の仕事をしています。

 

日本では経理専門でずっと実務をやっていて、当時は手で複式伝票の仕訳をして

総勘定元帳も手で記帳する時代。

 

日報や金庫を合わせるのも電卓をたたいて計算。

実務で子会社の簡単な決算は税理士を通さず自分で担当。

固定資産の償却などもコンピューターが自動計算してくれるわけでもなく、

決算ごとに自分たちでやっていた覚えがあります。

エクセルが登場したのも10年以上の経験の最後の1-2年でしょうか。

 

知識として学んだのは建設業経理事務士の講習くらいでしたが、

今のように会計ソフトがなんでもしてくれる時代ではなかったので、

自分で内容をきちんと理解していないと仕訳一つできない時代でした。

 

手作業で手間はかかりましたが、そのおかげで今でも日本で経験した

経理業務の内容は体が覚えているので、それが今でもとても役に立っています。

 

ドイツでの経理経験・会計知識

経理専門でやっていた日本と比べて、ドイツでの業務範囲は多岐にわたっていました。

 

会社や自分のポジションが変わるたびにもちろん業務内容も変わりますが、

会計・経理の他に翻訳・通訳、総務・貿易・経営・人事・ビザ取得など、

営業や商品に直接かかわる以外の事務方を一人でこなす事もありました。

 

経理業務にだけ集中するのが不可能な状態だったため、

自分で経理の仕訳は行わず、月次資料作成や決算業務は会計事務所、

または社内の担当者に任せ、私はそれらのチェックをしていました。

 

チェックといっても、ドイツの会計に精通していたわけではなく、

日本での経理知識と経験を応用して対応していました。

 

もちろん会計の基本原則は日独共通ですが、ドイツならでは考え方、

実務上の仕訳方法や決算手順は日独で違いがあるのも確かです。

 

先ほど説明したように、そのために日独の間に挟まって説明に

困ることもありました。

 

例えば簡単な例を出すと隣国との間接税処理。

欧州独特のVAT処理法【オランダから商品が届いた場合】

多くの国と隣接している欧州はEUという一つの経済圏を確立しています。

そのため欧州域内の商品の流通は国をまたいで簡単に行われますが、

税率や会計基準は各国ごとにことなります。

 

例えばドイツのアマゾンで買った商品が実はドイツからではなく、

オランダやイタリアから発送されていて、受け取ってからそのことに気が付く、

というのはよくあることです。

それだけ国外ということを意識せずに商品がスムーズに移動するのです。

 

しかし会計処理は商品がドイツ国内から届くのか、オランダから届くのかで

大きく変わってきます。

 

欧州で商品を購入すると消費税がつきます。

オランダとドイツでは消費税率は違いますが、

どちらも消費税があります。

 

消費税とは何かというと、間接税の一部です。

消費税を最終的に支払うのは最終購入者の顧客なのですが、

税務署に税金を納めるのは間にいる企業です。

 

つまり、企業がいったん消費者が支払う税金を立替えるので、間接税と呼ばれます。

 

通常、ドイツの企業はVAT番号というものを持っています。

そして消費者に代わって納めた消費税を、VAT番号を使って

還付申請を行い税務署から返金してもらいます。

 

しかし、それはドイツ国内の取引の話です。

購入先がオランダだった場合どうなるのでしょうか。

こんな疑問が湧いてきます:

  1. オランダから購入した商品の消費税をドイツ企業が支払う義務があるのか?
  2. 支払った場合、税務署から還付は受けられるのか?
  3. 受けられるならドイツとオランダの税務署のどちらから還付されるのか?

 

EU諸国の物の移動は簡単です。

しかし、実は会計処理は物の購入のように簡単にはいきません。

どの国から購入したかによって、処理方法が大きく変わるのです。

物の移動が非常に簡単なため、会計処理も同じように考えると大変な事になります。

 

結論をいうと、ドイツ企業はオランダから送られてきた商品の消費税還付を受けることはできません。

 

オランダで購入した商品の還付を受けるにはオランダのVAT番号が必要になるのです。

そのためドイツのVAT番号しか持っていないドイツ企業は、新たにオランダのVAT番号を取得しない限り、オランダから来た商品の消費税還付は受けられません。

 

それではいったん支払ってしまったオランダの商品の消費税はどうなるのか。

企業が払い損になってしまうのか?

 

答えはその通りです。

一回消費税を支払ってしまうと還付請求はできず、払い損になってしまいます。

 

しかし、ドイツのアマゾンには便利機能があり、企業登録をしておけば、

ドイツの企業はドイツ以外の欧州諸国からの商品を購入する場合、

最初から消費税なしの請求書をもらうことができるのです。

 

この方法を取れば消費税の払い損は防げます。

しかし、そういう方法があると知らなければ、ずっと消費税を支払い続けることになります。

 

簡単な一例ですが、このように正しい知識があれば

無駄な出費を減らすことができるのです。

 

このような会計処理も隣国と陸続きの欧州独特のものです。

 

会計事務所の役割

基本的に会計・税務上の質問は、会計事務所に問い合わせれば教えてくれます。

しかし、日本では全く問題ないので、質問しようとも思わなかった点が

実はドイツの会計上では重要なポイントだったとき。

会計処理の間違いが後から発覚することがあります。

 

場合によっては追徴課税の可能性もあり、知らなかったではすまされません。

 

 

このような理由から私も「ドイツの会計基準をいつかちゃんと勉強したいな」

という思いはありました。

自分ですべての処理をする必要はありません。

ただ、“確かこの点はドイツ会計・税務上で重要なポイントだったはず”、という認識さえあれば「ここは専門家に質問するところだ」とわかります。

それが重要なのです。

 

とわかってはいたものの、なかなか重い腰が上がらず・・・

 

このコロナ渦をきっかけにやっと今回実行に移したのでした。

 

第1回ドイツ会計セミナー

いよいよ今日から第一回目のセミナーが始まります。

 

セミナーの初日開始の数時間前に突然「用意してずっと前から注文していた教材が出版社が紙媒体での出版を中止したために提供できなくなった」という衝撃の連絡。

 

紙媒体で提供できない代わりに電子データで教材を手配してくれたのですが、

これがライセンスの問題でダウンロードも印刷もできず、ただインターネットで

閲覧ができるのみという電子データ。

 

暫定的な措置であればいいのですが、いつかはちゃんとした本の形で

手に入れたいものです。

 

ドイツ商工会議所の担当講師の紹介 → 会計の基本姿勢・基本法

毎回17時半から20時半までの3時間のセミナーです。

初回は商工会議所の担当者が2か月のセミナーの概要と、

突然出版社の都合で用意できなくなった教材の説明、そして

これから2か月間お世話になる講師の紹介をしてくれました。

 

講師の先生は熟練で経験たっぷりという感じで良さそうな人でした。

 

自己紹介が終わった後は、会計とは何かの説明がきます。

 

まず初めにドイツ会計の基準法が詰め込まれた、会計上の経典ともなるべきGOB(Grundsätze ordnungsmäßiger Buchführung) の紹介。

そしてドイツの商法HGB§§238と239条の重要性、そしてドイツ税法の基本法である

AO (Abgabeordnung)の§§140と141条

 

会計の大原則【正確さ・わかりやすさ・完全性・時系列・書類なしの見切り仕訳厳禁】

などと共に会計を行う目的・理由、誰に向かって行うのか、などの会計の

基本姿勢の説明がありました。

 

日本でも”恣意性のない一環性のある会計”が基本となりますので、

この辺の基本的概念は世界で共通だと思います。

 

ドイツの会計基準・仕訳→決算までの流れ

会計の基本概念、経典となる基準法の説明の後は、「実際の会計の流れ」の説明です。

 

ここから具体的な会計業務が関係してくるので、日本とは違う方法も出てきます。

 

印象に残ったのは自己資産の比較でその年の利益を出す、というドイツ税法【§4(1)EstG】(Einkommensteuergesetz)の決まり。

今までそんな決まりがあることを全然知りませんでした。

新しい発見。

 

こんな風に算出するらしいです。

【今年度末の資産合計-前年度の資産合計+プライベート目的の使用分-プライベート目的入金分=今年の利益】

ざっくりした理解によると、オーナー企業など、会社の形態によってプライベート目的での会社資産利用が許されているようです。

しかしプライベート目的のお金の移動は会社の利益とは無関係ということで、引き出した分会社の資産に上乗せされるそうです。

逆に会社のお金が足りず、個人資産を投入した場合、それも会社の資産とは無関係なので、会社の資産からはマイナスされます。

表にするとこんな感じ。

ドイツ税法【§4(1)EstG】(Einkommensteuergesetz) – 自己資産の比較でその年の利益を出す:

→【今年度末の資産合計-前年度の資産合計+プライベート目的の使用分-プライベート目的入金分=今年の利益】例:

  • 2019年12月31日(前年)の自己資産: 500000ユーロ
  • 2020年12月31日(今年)の自己資産: 550000ユーロ
  • 自己資産の増加: 550000 – 500000 = 50000ユーロ
  • +プライベート引出し: 30000ユーロ
  • -プライベート入金: 5000ユーロ
  • 最終利益(2020年12月31日): 50000ユーロ+30000ユーロ-5000ユーロ=75000ユーロ

 

今の私ではふーん、そうなの?と話においつくのが精いっぱい。

 

でも”自己資産の比較”と言われてみると、ドイツの貸借対照表には必ず【前年の数値】が載っています。

これも”前年度と今年度の資産を比較して利益を出す”という手順から来るものなのかもしれません。

 

日本の貸借対照表には前年分を入れる習慣はないと思うので、

これもドイツならではですね。

 

 

続いてのテーマは1年の会計年度が終わって決算書の作成の仕方。

 

ドイツでは会計資料は必ず全部電子データで作成して税務署に送ることが

義務付けられています。

 

ドイツ中で圧倒的に使われているのはDATEVという会計プログラムです。

そこから毎月電子データを直接税務署に送ります。

 

毎月の消費税や売上税の申請、給与計算の所得税申告もすべて

DATEVを通じて電子データで税務署に送られるシステムが構築されているのです。

 

ですから社内会計でブッキングした売り上げ・仕入れ・給与・経費の経理資料が

そのまま税金の支払いに直結します。

 

ここでまたまた私にとって新しかったのは、ドイツの決算方法の手順。

“各勘定科目を閉める→残高が出る→各残高を損益→損益で出た利益を貸借の利益欄に移す”

というのがざっくりとした閉め方らしいですが、話を聞いているとこれは手順の一部のようです。

貸借対照表も昨年末の残高を移行して開始貸借対照表を作成から始まって色々あるみたい。

まだ今の私には難しいということでいったんスルー。

繰り返し出てくるうちにそのうちわかるようになるはず。

 

そしてドイツ語の単語として”Inventur”と”Inventar”の違いも習いました。

どちらも”在庫”という意味なのですが、”Inventur”とは実際手に取って見える現物の商品の在庫を表します。

そして“Inventar”とはそれをもとにして作成した会計上の数値としての”在庫”のことだそうです。

古くなった商品の価値の調整などもこの段階で行われます。

この会計上の在庫価値の数値が貸借対象表”Bilanz”に記載される在庫額として使われます。

「Inventur なくしてInventar はない、InventarなくしてBilanzはない」だそうです。

 

そして、”t-konto”という単語もならいました。

Kontoとは会計用語で勘定科目を表しますが、昔ながらの複式簿記の仕訳伝票の形がアルファベットの”T”の文字に似ていることから”T-konto”と呼ぶそうです。

 

 

ドイツ会計は「仕訳は常に最低でも二つの箇所に現れなくてはいけない」ということも習いました。

つまり、複式簿記ということです。

ドイツの複式簿記(ダブルブッキング)システム:

  • どの仕訳も少なくとも二つの勘定科目に記帳されなくてはいけない
  • どの仕訳も少なくとも二つの元帳に記載されなくてはいけない(基本となる、全商取引が時系列に沿って記帳されている大元帳【Grundbuch/Journal】とそれを勘定科目ごとに個別に割り当てた【総勘定元帳 (Hauptbuch)】
  • このシステムなしでは貸借対照表も損益計算表のどちらも作成することはできない

 

いっている内容はわからないこともないですが、理解度はまだままだ漠然と、という感じ。

これから落とし込んで定着させないとなー・・・

 

日本とは違うドイツの独特の経理手順は、頭でなんとなく理解しても

日本語で一言で説明するとしたらなかなか難しいです。

ドイツ独自の経理基準の会計用語は日本語にないものもありますし

翻訳した単語に含まれる意味も日本語とドイツで多少違います。

 

本質だけ理解して、必要があった場合に適宜日本語にするしかないです。

 

 

在宅ワークが続き、店舗閉鎖、移動制限で外界との接触がほぼなかったので、

リモートとはいえ、久しぶりにドイツ世界の中にどっぷりつかった感じ。

久し振りにいつもと違う脳が活性化され、ちょっと疲れました。

 

この感じ、ハイデルベルク大学で学んだ主専攻の言語学の専門用語だらけの

講義を懐かしく思い出しました・・・

 

第2回会計セミナー

2回目のセミナーは1回目のセミナーの二日後です。

あっという間だったのと第1回目は宿題もなかったので復習などもせず・・・

 

セミナーが始まる前にオンラインでつながった他の生徒さんと少し雑談をしましたが、

ドイツ人のみなさんもやはり3時間の勉強は疲れたようです。

疲れたのは私だけではなかった・・・

2回目の今日はちょっと慣れることを期待します。

 

セミナーの最初の30分くらいは前回の復習から始まったのですが、

ドイツ人の理解が早いのか、復習しなかった私が悪いのか、講師からの

質問の答えが私が思っている答えとなんだか違って焦りました・・・

 

後からみたら講師からもらっていたテキストにその事が書いてあったりして

復習してなかった自分にちょっと反省です。

 

今までの経験があるので習う仕訳自体は難しいわけではないのですが、

一応これは基礎コースのはずなんですが・・・私だったら経理の基礎がなくて

いきなりこのコースを受けてたらきっと難しかったろうと思います。

 

初めての宿題【auf Ziel】ってどんな会計用語?

セミナーが始まって初めての週末。

やっとゆっくりテキストを読んだり宿題をする時間ができました。

セミナー中だと時間が制限されているので、一つ一つわからない箇所を

調べている時間はなく、とにかく要点を理解して問題を解きます。

 

セミナーでは飛ばしていたわからない箇所を調べてみました。

一つわからなかった「auf Ziel」という箇所。

“Ziel”というのは日常のドイツ語では目的、とかゴールという意味です。

でも会計仕訳で「目的???」って意味がわかりません。

何か専門用語なんだろうなー、と思ってもそういう専門用語って辞書に出ているわけでもないですし、調べるのになかなか時間がかかるのです。

ネットを駆使して調べてみたところ「後日決められた時期に」という意味で、

つまり「請求書で後払い」という意味でした。

 

仕訳の問題でこれが出て来るってことは、つまりは「未払金/買掛金」扱いにしろ、ってことですね。

ちなみに日本では仕入れ関係かそれ以外かで買掛金・未払金に勘定科目を使い分けたりしますが、ドイツの仕訳では”Verbindlichkeiten aus L.+L.” とひとまとめにするのがスタンダードです。

(ちなみに”L.+L.”とは”Lieferungen und Leistungen”の略です。

ドイツ語はとにかく長い単語が多いのです。)

 

これも日独両方の仕訳基準を知っていれば、親会社との連結決算の時に便利かもしれません。

3時間のセミナーですが、半分でいったん休憩がありました。

10-15分の休憩をはさんで後半。

もちろん講師の説明が中心ですが、わからないところは積極的に質問が出るので

一方的な講義というよりは質疑応答も多いです。

ちょっとした課題が出されてそれに答えることもあります。

毎回出欠を取りますし最後の試験に合格したいですから、

学ぶ方も真剣です。

 

最後の15-20分は仕訳の練習問題。

そこで終了の時間になったので答え合わせは次週の初めに。

その他にも次回までの簡単な宿題が出ました。

 

セミナーが始まって最初の週末なので、宿題と共に

今まで追いつけてなかったカ所の復習をします。

復習と言ってもザーッと資料に目を通すくらいで

時間をかけてじっくりするわけではないですが、

それでも自分なりに落とし込むと理解度が

大分変わります。

 

 ドイツの会計セミナー第3回

第3回目のセミナーは前回の復習に宿題の答え合わせ。

仕訳自体は理解できるものの、ドイツ特有の決算資料の出し方になかなか慣れません。

でも今までドイツでの会計事務所さんとの話でちゃんとは理解できていなかった

ドイツの仕訳の流れがわかってきました。

 

会計事務所さんに質問するにも、基礎がわかっていれば質問すべきポイントがわかりますし、答えを受け取るのも楽になります。

会計の知識があるのとないのとでは質問の仕方も回答の仕方も変わってきます。

時には質問の仕方がポイントを押さえていないことによって、同じ会計士さんから

全く違う答えが返ってくることもあるのです。

それくらい基本を理解して質問することは重要です。

 

 

そしてセミナーでもう一つ気が付いたのは、会計用語の省略形がとても多い事。

ドイツ語は長い単語が多いので省略形にしないと短い仕訳スペースに収まらないのもあると思います。

 

例えばEBK(Eröffnungskonto),WEK(Wareneinkauf),BGA(Betriebs- und Geschäftsausstattung)などなど・・・

カッコ内が正式名称なのですがとても長いですよね。

略称を使う気持ちはわかります。

でも会計事務所さんから略称がいきなりポンポンと出てきてもなかなかわからないので、ここで学んでおくのはやっぱりためになります。

 

ちなみに、EBKとは年度の始まりの開始貸借対照表のこと。

WEKは商品仕入れ用の勘定科目、BGAは直接経費算入ではなくいったん資産勘定に入れるもの、例えばコピー機とか高額コンピューターとかフォークリフトなどの機器の勘定科目です。

正式名称をみれば意味は推測できますが、みんな略称を使うので覚えておくと便利です。

ここで習って後は実践で慣れるしかない。

 

本日のドイツ会計テーマ【商品仕入れの仕訳】

初回はドイツの会計、2回目は簡単な仕訳を学びました。

今回のテーマは商品の仕入れ関連です。

 

仕入れの仕訳はやや複雑になります。

実際の商品が絡んでくるとそれに伴って色々なケースが関連してくるからです。

 

起こりうるメインの仕訳は”Wareneinkanf(商品購入)”です。

そしてそれは請求書で後払いなので、”商品購入-買掛金”の勘定科目、

それを支払うときは “買掛金-銀行”という勘定科目が登場します。

 

しかし、それだけではなく、商品の移動に従って以下のようなケースも起こります。

単純売買ではなく、このようは時はどの勘定科目を使ってどうやって仕訳するのか?

  • 購入した時にかかる送料は?
  • 割引を受けたときは?
  • 間違った商品が届いたときは?
  • 不良品で返品したときは?
  • 割引を受けたときは?
  • 商品が盗難にあった時は?
  • 商品が古くなって価値が下がった時は?
  • 商品の種類は?商品そのものか付属品か、包装用なのか?
  • 実際の棚卸の商品数が会計上の数字と合わないときは?

 

このようなケースについての仕訳を学びます。

日本では返品の場合など購買した時の勘定科目の逆仕訳をするような気がするのですが、

ドイツでは割引用、ボーナス用、返品用の勘定科目がちゃんと決まっていて、

購買で使った時の勘定科目とは違う勘定科目を使います。

 

そしてそこから決算資料の作成の手順も習いました。

 

  1. 1年の動きの仕入れを記帳したら勘定科目を閉めます。
  2. 勘定科目の残高を年度初めの残高と合計して最終残高を出す。
  3. その数値を貸借対照表の材料の箇所にいれる。

なんだか日本とやり方が違う・・・

 

どうも①その年度が終わったらいったん各勘定科目を閉める→②貸方か借り方どちらかが多くなるので、その差額を貸方借り方のどちらか多い方に計上→③それを損益計算書に反映→④損益が確定したらその数値を貸借対照表の利益の欄に入れ込む

って感じのようです・・・

 

でも実のところはまだ私にはイメージができません。

日本の決算手順とはなんか思考が違う感じでまだ理解できないのです。

 

結果は同じになるのでしょうが・・・

 

 

このセミナーではこれから練習仕訳も色々やっていくと思うので、だんだん慣れて自分の中で腑に落ちることを期待します。

 

それから、”商品購入”の仕訳で私が今まで勘違いしていたことがありました。

それは【Wareneinkauf/商品購入】は損益計算用の勘定科目だったということ。

つまり、買った時には費用扱いになる仕訳ってことです。

 

商品を買ったとしてもお客さんに売れるまでは倉庫にあるわけですし、

会社の資産だと思っていたから、てっきり貸借対照表の仕訳だと思い込んでいました。

 

日本ではお客さんに売るまで資産扱いにしてたと思うのですが、

ここが日独の違いなのかなあ・・・

 

もちろんドイツでも決算では倉庫に残っている商品の在庫は資産になるので、

最後は日本と同じ結果にはなるのですが・・・

 

結果は同じだけど、そこに至るまでの手法が異なるようです。

 

決算の閉め方というか、そこにいくまでの思考が違うな、とは感じます。

でも実のところ、まだちゃんと腑に落ちてないのが正直なところです。

 

そういえばドイツと日本は小学校でも割り算のやり方とか違いますし、

最後の答えはもちろん一緒なのですが計算の過程が違って、日独両方の学校に

通っている子供たちはそれで迷ってしまうことも結構あるみたいです。

 

私も今そんな気分です。

 

今は自分で決算資料を作成していないとしても、

ドイツの決算資料の作り方の背景を知っておけば委託先との話もスムーズです。

 

やはり色々ためになります。

このセミナー中にだんだん理解できたらそれが成長ということです。

※商品購買仕訳についてその後

その後の勉強で、このときはわからなかった疑問の以下のことがわかりました。

ドイツでは商品を買った時に仮に全額費用にして、期末または年度末に在庫金額を確定されてから、前回在庫チェックした時の差額の振り替え仕訳を行います。

それと比べて、日本では商品購入時は在庫扱い、そして実際商品が売れた後その分の商品を在庫から費用に振り替える方式です。

ドイツでは売り上げと費用に直接の関連性はなく、年度初期と年度末の在庫額の違いから費用を算出。

日本では売り上げた商品の原価を費用に振り替え、その結果として年度末の在庫額が決定、というのが基本のようです。

もちろん古くなった商品価値変更や、不良品の処理など、調整はあります。

でも最終的には、日独のやり方は違えど在庫額と費用の結果が同じなのは理解できました。

あとは慣れるだけです。

ドイツの商品購買・在庫仕訳

  1. 商品購買(Wareneinkauf) →費用:  例500.000ユーロ
  2. 年度末実際の在庫数と在庫額を確認(Warenbestand/資産科目): 例120.000ユーロ(年度末在庫額)
  3. 年度初期の在庫額と比較し、差額を算出(資産科目): 例 年度初期150.000ユーロ
  4. その差額を商品購買科目に振り替える→費用科目の調整完了: 例 減少した差額30.000ユーロを更に費用として加える(在庫が少ない場合は費用から減らす)→費用合計 530.000ユーロ

※日本のスタンダード仕訳

  1. 商品購買→在庫(資産) 500.000ユーロ
  2. 商品販売→(売上)例700.000ユーロ
  3. 販売した分の商品を算出→(費用) 例: 530.000ユーロ
  4. その分を資産から費用に振り替え→費用科目の調整完了 資産合計初期在庫150.000ユーロ+500.000(今年度購入分)-530.000(仕入れ原価費用)=120.000(年度末在庫額)

まとめ

会計上の経典ともなるべきGOB(Grundsätze ordnungsmäßiger Buchführung)

そしてドイツの商法HGB§§238と239条の重要性、そしてドイツ税法の基本法である

AO (Abgabeordnung)の§§140と141条

 

会計の大原則【正確さ・わかりやすさ・完全性・時系列・書類なしの見切り仕訳厳禁】

ドイツ税法【§4(1)EstG】(Einkommensteuergesetz) – 自己資産の比較でその年の利益を出す:

→【今年度末の資産合計-前年度の資産合計+プライベート目的の使用分-プライベート目的入金分=今年の利益】例:

  • 2019年12月31日(前年)の自己資産: 500000ユーロ
  • 2020年12月31日(今年)の自己資産: 550000ユーロ
  • 自己資産の増加: 550000 – 500000 = 50000ユーロ
  • +プライベート引出し: 30000ユーロ
  • -プライベート入金: 5000ユーロ
  • 最終利益(2020年12月31日): 50000ユーロ+30000ユーロ-5000ユーロ=75000ユーロ

 

ドイツの複式簿記(ダブルブッキング)システム:

  • どの仕訳も少なくとも二つの勘定科目に記帳されなくてはいけない
  • どの仕訳も少なくとも二つの元帳に記載されなくてはいけない(基本となる、全商取引が時系列に沿って記帳されている大元帳【Grundbuch/Journal】とそれを勘定科目ごとに個別に割り当てた【総勘定元帳 (Hauptbuch)】
  • このシステムなしでは貸借対照表も損益計算表のどちらも作成することはできない

 

ドイツと日本の購買仕訳方法の違い。

ドイツの商品購買・在庫仕訳

  1. 商品購買(Wareneinkauf) →費用:  例500.000ユーロ
  2. 年度末実際の在庫数と在庫額を確認(Warenbestand/資産科目): 例120.000ユーロ(年度末在庫額)
  3. 年度初期の在庫額と比較し、差額を算出(資産科目): 例 年度初期150.000ユーロ
  4. その差額を商品購買科目に振り替える→費用科目の調整完了: 例 減少した差額30.000ユーロを更に費用として加える(在庫が少ない場合は費用から減らす)→費用合計 530.000ユーロ

※日本のスタンダード仕訳

  1. 商品購買→在庫(資産) 500.000ユーロ
  2. 商品販売→(売上)例700.000ユーロ
  3. 販売した分の商品を算出→(費用) 例: 530.000ユーロ
  4. その分を資産から費用に振り替え→費用科目の調整完了 資産合計初期在庫150.000ユーロ+500.000(今年度購入分)-530.000(仕入れ原価費用)=120.000(年度末在庫額)

 

ここまでのセミナーで学んだ会計専門用語をざっくり表にまとめました。

ドイツの会計用語の日本語訳

ドイツ語の会計専門用語:

  • GOB (Grundsätze ordnungsmäßiger Buchführung): ドイツ会計の基礎・根拠となる規則)
  • HGB (Handelsgesetzbuch): 商法 (ドイツの商法の中核の規則がまとめられたもの)
  • AO (Abgabeordnung): ドイツの税法の基本法
  • Rückstellung: 引当金
  • T-Konto: 仕訳の伝票のこと。左右に分かれる複式簿記仕訳の形が”T”の形に似ているので”T-アカウント”と呼ぶ。
  • Verbindlichkeiten aus L.+L (L.+LはLieferungen und Leistungenの略) : 買掛金/未払金
  • auf Ziel: 請求書払い(後払い)
  • Inventur : 現実の商品の在庫
  • Inventar : Inventur の結果をもと作られる会計上の数値としての在庫(貸借対照表のもとになる数値)
  • Hauptbuch: 総勘定元帳
  • Nebenbuch: 補助元帳
  • Konto: 勘定科目
  • Bilanz: 貸借対照表
  • Aktiva / Passiva: 資産 / 負債
  • Anlagevermögen: (有形)固定資産
  • Umlaufvermögen: 流動資産
  • Forderungen aus L.+L. (L.+LはLieferungen und Leistungenの略): 売掛金
  • Eigenkapital: 自己資産(自己資本)
  • Soll / Haben: 借り方 / 貸方
  • GuV (Gewinn und Verlust): 損益計算書
  • EBK(Eröffnungskonto) 年度初めの開始貸借対照表
  • WEK(Wareneinkauf) 仕入れ品購入
  • BGA(Betriebs- und Geschäftsausstattung) 資産勘定になる機器(備品扱い)

 

“EBK”とは前年度繰越後のその年度の開始貸借対照表のこと。

“WEK”とは商品仕入れ用の勘定科目、BGAは直接経費算入ではなくいったん資産勘定に入れる有形資産、例えばコピー機とか高額コンピューターとかフォークリフトなどの機器の勘定科目です。

これからもセミナーで新しいドイツ語会計用語が出てきたら、リストに追加していこうと思います。

 

セミナーの最初の3回を受けた印象は、月並みですが「新しい知識を学ぶのは役立つ上に楽しい」。

みなさんもこれを読んで少しでもドイツの会計に興味を持ったり、役に立ったと感じてもらえると嬉しいです。

引き続きセミナーで学んだことをリポートしたいと思います。

続く。

 

ドイツの労働制度に興味のある方はこちらもぜひ。

ドイツは日本と比べると社会保障制度がしっかりしています。 無料の医療費、無料の大学の学費、5年間支払えばもらえる年金、数年支払えば少なくと...

 

ドイツ語をもっと学びたいという方はこちらもぜひ。

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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。

記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。

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