2022年4月下旬。
1年前に受講したドイツのデュッセルドルフ商工会議所主催のドイツ認定管理会計士セミナー1。
今日からその上級コースである、ドイツ認定管理会計士2(Finanzbuchhalter II)が始まりました。
期間は約2か月、3時間セミナー13回と最後の試験で計14回のコースです。
前回のセミナーからもう一年経ったとは早すぎます。
この一年、コロナ渦とロシアウクライナ問題の中ばたばたと2回日本に行き、
コロナ渦が沈静化した隙を狙い色々とドイツ国内を旅行し、
趣味のテニスも自分史上なかなか上達し、更に自己ステップアップに
転職も決めるという、1日1日の変化は小さくても一年スパンで見ると
自分なりに進んでいるかな、と思います。
今回受ける会計セミナーも自己発展の一つ。
一年前の会計セミナーと違うのは、対面授業があること。
前回はコロナ渦の最中で最初から最後まで全部オンラインだったのです。
とはいっても現在もまだコロナが完全終息したわけではないので、
対面とオンラインの併用授業になります。
それでも対面授業があるのは嬉しいです。
会計の知識だけではなく、デュッセルドルフに来てから格段に減った
ドイツ語を使う機会でもあります。
今回も前回と同様、自分の復習も兼ねて授業の様子をご紹介します。
第一回セミナー【初めての対面授業】
4月末日、会計セミナー第一回。
セミナー場所はデュッセルドルフの中央駅近くのドイツ商工会議所セミナー専用の建物。
中央駅の近くなんて、今まで何度通ったかわからないのに、こんな建物があるとは
全然知りませんでした。
受付を通って教室に入るとテーブルの上に各参加者の名前が記載されている札が置いてありました。
自分の名前の札を取って好きな席へ。
一番前の左が空いていたのでそこの座って自分の名前の札を出します。
各席にセミナー用のぶ厚いテキスト、ボールペン、フォルダー、メモ帳、
付箋などが置いてありました。
事務用品全部に商工会議所のロゴが入っています。
前回のオンライン授業の時は何ももらえなかったのに、対面だと色々もらえるみたいです。
更に私と同時に教室に入った人がセミナーの講師だったようで、その人に
教科書を持っているか、と聞かれました。
持っていない人には教科書もプレゼントしてくれるようです。
私は前のセミナーで使ったものがあるので必要ありません。
参加者は15人。
教室は15人で満席です。
これくらいの人数出ないときちんと教えられないのでしょう。
対面授業は初めてで、講師も前回の基礎セミナーで習ったのとは
違う人ですが、それでも2回目ということで初回より気楽です。
初回はオリエンテーションと自己紹介から
17時半から20時半までの授業ですが、初回の30分は商工会議所の全セミナーの調整を
してくれる職員さんが来て、全体の説明をしてくれました。
今までオンラインとメールや電話ではコンタクトを取っていましたが、
顔を見たのは初めてです。
やっと対面の授業を再開することができて非常に嬉しい、でもオンラインを希望する人もまだいて
調整が難しく、その結果対面とオンラインの併用になったこと、各人にきちんとオンライン授業の
リンクは届いているか確認し、予定の勘違いが起きないように対面授業とオンライン授業の予定表を
全員に配ってくれました。
商工会議所職員さんが帰った後はいよいよ最初の授業開始です。
とはいっても最初は講師の自己紹介から。
それを聞いていると多くの生徒がこの講師の元で基礎クラスを受けたようで
既に顔見知りのようです。
私も前の講師の元で次のセミナーを受けたかったのですが、人数オーバーで
待機リスト入りのあと、結局入ることができませんでした。
同じ会計セミナーの基礎コースでも講師によって若干教える内容に違いがでます。
なので同じ講師の元で次の発展コースを受けた方が抜けがなく学習できるのです。
でもセミナーのプログラムは同じなので、基本的に教えることは同じはず。
まあ違う講師でもそれほど大きな問題にはならないでしょう。
講師の自己紹介が終わったあとは、各受講生の自己紹介。
私は最初に当たったので適当に話して終了。
最近ドイツ語を話す機会がめっきり減ったこともあり、
ドイツ語の会計用語結構忘れていて口からとっさに出てきません 🙁
あららー、という感じで非常に簡単な自己紹介になってしまいましたが、
まあよしとしましょう。
受講者全員の自己紹介を終え、いよいよ授業開始です。
会計の原則(Prinzip)から
講義はスライドを使いながら行います。
スライドと同じ内容のテキストが各自の机の上に用意されています。
講師作のテキストのようです。
教科書とは別に、こちらのテキストを使ってこれからのセミナーを進める模様。
教科書はあくまで付属で、各講師のオリジナルテキストを使う方式は前の基礎コースと同じです。
講師も「テキストを前から順になぞるだけの授業は退屈だし、自分のする授業はそういうものではない。」と言っていたので受講生の様子をみて臨機応変に対応してくれるのでしょう。
前のセミナーとは違う講師ですが、どちらの講師も今のところ良い印象です。
その他にボードがあり、講師は説明中ボードにも書き込みします。
我々はそれを板書します。
板書なんてすごく久しぶりです。
これもオンラインセミナーではできなかったこと。
対面授業ならではの良さでしょう。
初回の講義とあって、会計の原則から始まります。
原則はドイツ語ではPrinzipと言いますが、たくさんの会計の原則を学びました。
決算とは何から成り立っているか
最初のお題はまず「決算とはどんな構成要素から成り立っているか」です。
流石月次を中心にやっていた基礎コースから発展した応用コース。
決算の説明から入るようです。
まず、どんな規模や形態の会社でも必須な会計資料とは貸借対照表(Bilanz)です。
そして貸借対照表には4つのブッキングがある、と学びました。
- 資産内での移動: 例えば車両を銀行振込にて購入など
- 負債内での移動: 例えばサプライヤー買掛金を長期借入金に変更するなど
- 資産も負債も減る: 例えば機械を後払いで購入など
- 資産も負債も増える: 例えば借入金の返済など
貸借対照表の左右の合計の数字は同じと決まっていますが、その中でも
4つのバリエーションがある、というわけです。
そして次に学んだのは、貸借対照表以外の決算資料の構成要素は
会社の形態・規模によって異なるとのこと。
貸借対照表の次に思い浮かぶ決算資料は損益計算書(PL)ですが、これが
会社規模によって記載内容や公開義務など細かい違いがあるようなのです。
①Einzelunternehmer, Persongesellschaft (OHG, KG)、つまり個人的な小さい会社は
貸借対照表+損益計算書=決算書(公開の義務はない)
②-1: Kapitalgesellschaft, Persongesellschaft (自然人がフルの責任を負わない形)、つまりGmbHやCo KGの形の会社は、
貸借対照表+損益計算書+Anhang(アタッチメント)=決算書
となって、大規模会社だと決算書には貸借・損益に加えてもう少しAnhangという名の会計内容の詳細を加えた資料が必須となります。
②-2: 更に、会社の規模が大きいところはLagerbericht(現在の経営状況説明・情報を加えた経営レポート)も必須になるそうです。
決算書にLagerberichtを加えた4点セットをGeschäftsbericht(年次報告書)と呼びます。
貸借対照表+損益計算書+Anhang(アタッチメント)+Lagerbericht(経営レポート)=Geschäftsbericht(年次報告書)
加えて、個人企業と違って、大企業には決算報告を公に公開する義務があります。
講師曰く「個人企業や小企業にとって売り上げや利益などの詳細を発表すると、すぐライバルに原価など大切な情報を知らせてしまい、それが直接経営危機に結びつきかねない。
そのため小企業保護のため、会計情報を事細かに公にする必要はない。逆に大企業はそのような保護は必要なく、細かい会計情報まで公にする義務がある。」とのこと。
そのため損益計算書と一言で言っても、会社規模や形態によって記載内容が異なるのです。
そんな講義を聞きながら、久しぶりのドイツ語講義に私はだんだん眠くなってきました…
意識がちょっと飛びそうになったところ、ちょうどよく休憩が入りました。
3時間の講義ですから、途中休憩も必要です。
休憩後は【Vorsichtsprinzip】予防原則
休憩でリフレッシュした後は、会計の原則の一つ【Vorsichtsprinzip】について学びます。
Vorsichtsprinzipを日本語にすると【予防原則】という感じでしょうか。
簡単にいうと安全策を取って、決算数値に選択の幅がある時はより価値の低い数値を
選択するという原則です。
安全策を取ってより価値が低い数値を選んでおいて、いざ会社に何かあった時に最低決算書に乗っている基準価格分を下回る価値になってしまうことがないように、という配慮だそうです。
つまり、債権者が最低決算書に載っている価値は保証される、ということです。
確かに、もし決算書を良く見せようと思って考えられる幅で価値が高く見える数値を選んでしまうと、いざ会社の買収や倒産があって債権者が企業の資産価値を計算したとき、決算書に載っている企業価値が保証されない、というまずい事態が起きてしまいます。
予防原則には大きくわけて以下の5つある、ということを学びました。
五つの予防原則
- Anschaffungskostprinzip: 取得原価の原則
- Realisationsprinzip: リアル原則
- Niederstwertprinzip (NWP) auf der Akktivseite: 資産最低価格の原則
- Höchstwertprinzip auf der Passivseite: 負債最高価格の原則
- Imparitätsprinzip: 資産と負債の不均等評価の原則
これだけではどうしてこのような原則が必要なのか、そしてこの5つの原則が一体何のことを言っているのかピンとこないと思います。
一言でいうと、このような原則は、債権者にとって安全を期すために、貸借対照表の資産はできるだけ低く、負債はできるだけ多く見積もるために必要のようです。
そしてこれらの予防原則の細かい内容は第2回のセミナーで詳しくやるとのことで、ここでは大体こういう原則がある、くらいの理解で大丈夫みたいです。
私もこの時点では全部の説明がすっきり理解できたわけではありませんでした。
次回のセミナーで詳細を学べばわかるようになるはずです。
前払い金(Anzahlung)のブッキング
最後に頭の体操がてら、前払い金のブッキングの仕方を学びます。
例題 1: 前払い金として1万ユーロが顧客より入金されたときのブッキングを答えよ。
解答: 銀行 10000,00 / 前払い 8403,36
仮受消費税 1536,64
合計 10000,00 / 10000,00
例題 2: 数日後商品発送が終了し、税抜き20000ユーロの請求書を発行した時のブッキングは。
解答: 売掛金 23800,00 / 売上 20000,00
仮受消費税 3800,00
合計 23800,00 / 23800,00
これで売り上げは立ちました。
更に例題1で処理した前払い金を会計処理します。
逆仕訳してあげればゼロになりますね。
解答: 前払い 8403,36 / 銀行 10000,00
仮受消費税 1536,64
合計 10000,00 / 10000,00
例題3: 数日後顧客から残金が振り込まれた場合のブッキング。
解答: 銀行 13800,00 / 売掛金 13800,00
合計 23800,00 / 23800,00
これで一連のブッキングが完了です。
こういう実務をやると受講生の議論も活発になるので、元気も出てきます。
私も実をいうと先ほどの理論の説明の後半は睡魔と戦っていました…
理論に交じって実務の例題があると、習ったことも身に着きやすいし眠気も飛びました。
そんなわけで後半はあっというまに終了で、これにて3時間の初回セミナーは終了です。
次回は1週間後、今度はオンラインセミナーになります。
認定管理会計士セミナーII 第2回
初回のセミナーから一週間後、第2回目のセミナー日です。
今回は対面ではなくオンラインセミナーです。
17時半のセミナー開始までに急いで家に帰り、オンラインリンクにオン。
無事にネットにつながりました。
一回つながってしまえば、仕様は一年前に受けた会計基礎セミナーと同じです。
前回とは講師とセミナー内容が違うだけ。
しかし、初回から講師の家に突然Wifiの工事が入るとかで、本来3時間の授業は1時間短縮で2時間に。
その代わりに休憩なしで2時間できるところまで進めるそうです。
初回からこんな事があるなんて、ドイツあるあるというか・・・
5つの予防原則
1時間短縮授業で時間がないので授業はとっとと進みます。
しかしその前にちょっと事務的な説明がありました。
今回の講師を基礎コースでも受講していた人たちにはメーリングリストが
あって、講師が毎回講義で作成したテキストを講義後送っていたそうなのです。
それで今回から新しく参加した人でテキストが欲しい人は改めてメールアドレスを
教えてほしいとのこと。
前の講師の時はそういうやり方ではなかったので、やっぱり講師によって色々なんですね。
もちろん私もメーリングリストに加えてもらうつもりです。
その後は早速先週ちょこっと説明があった5つの予防原則について深堀していきます。
- Anschaffungskostprinzip: 取得原価の原則
- Realisationsprinzip: リアル原則
- Niederstwertprinzip (NWP) auf der Akktivseite: 資産最低価格の原則
- Höchstwertprinzip auf der Passivseite: 負債最高価格の原則
- Imparitätsprinzip: 資産と負債の不均等評価の原則
予防原則1【取得原価の原則】
取得原価の原則とは、「資産評価の上限は購入時の価格とする」という意味です。
例えば、ある土地を1万ユーロで購入した場合、仮に年度末の決算日にその土地の評価が
上がっていたとしても、最高評価額は購入した1万ユーロまでとする、という原則です。
予防原則2【リアル原則】
予防原則その2はリアル原則です。
これはどういう意味かというと「未実現な利益を考慮してはいけない」という事です。
例1: 2010年にドイツのD市である物件を50万ユーロで購入した。2020年12月31日現在の
市場価格は100万ユーロである。
→このような場合でも会計上のこの物件の評価額は100万ユーロではなく、50万ユーロである。なぜならいくら今の市場価格が100万ユーロだとしても、来年には下がっているかもしれないから。物件を実際売却して利益を確定するまではこの利益は現実(リアル)ではない。
例2: 10ユーロで買った株が年末に1株20ユーロに値上がりしていた。
→このような場合も帳簿総額は10ユーロのままである。なぜなら売るまでは完全に利益が確定してないから。
予防原則3【資産最低価格の原則】
これはどういう意味かというと「資産は出来る限り低い価値で評価する」ということです。
資産は高く見積もった方がよい決算書ができるのにどうして低く評価するのか。
その理由は債権者が少しでも損をしないように、ということらしいです。
例えば、会社を売りに出す、または倒産してしまって、債権者が資産を売却して貸付金回収する場合など。
もし決算書の評価額より資産が安くしか売れなかった場合、債権者は予想していたよりも更に低い金額しか回収できません。
しかし、資産の評価額をできる限り低く見積もっていた場合、実際の資産を売却した時に、決算上の評価額より高く販売できて、債権者は予想より多い金額を回収することができます。
この方が双方にとっていいですよね。
例: 汚染により、ドイツD市のK地区の不動産の市場価格は50万ユーロから5万ユーロに下がった。
→この場合決算上はより低い市場価格の5万ユーロが適用される。
この場合注意しなくてはいけないのは、資産が固定資産であるか、流動資産であるかです。
固定資産の場合は、長期的にみて資産の価値が下がったと判断された場合に適用されます。
長期的というのはこの場合1年以上の事を指します。
一方、流動資産の場合はもっと厳格です。流動資産の場合は価値の下落が一時的なものであっても、
より低い市場価格を適応します。
また、資産最低価格の原則とはいっても、反映の時期によって見直しも必要です。
例えば価値を低く見積もっていた理由が解消された場合、その時は再び以前の資産価値に戻す必要があります。
それを“Grundsatz der Wertaufholung”(価値復活の規則)といいます。
最後の原則の説明は、終わりが尻切れトンボ気味で早足で終わってしまいました。
いつ突然工事が始まってインターネットが切断されるかわからなかったので今日は致し方なしです。
本日はこれにて終了。
次回セミナーも一週間後で今日と同じオンラインになります。
第3回セミナー
3回目のセミナー、今回も前回に引き続きオンラインセミナーです。
2日ほど前に、講師が送ってくれると約束してくれた、セミナー中に講師が作成した
エクセル資料(理論やセミナー中にみんなで解いた問題の解答など)がメールで届きました。
その資料をみてなんとなく今後のセミナーの進め方が把握できたので、
今回からはセミナー中に講師が作成する資料をノートに写すことはせず、
その分の労力を講師の説明をじっくり聞いたり問題を解くことに使うことにします。
予防原則4【負債最高価格の原則】
負債最高価格の原則とは、負債はできるだけ多く見積もる、という原則です。
前回習った資産最低価格の原則とは全く逆の原則になります。
負債を高く、資産を低く見積もることによって、より債権者が決算上の数値以上の
回収が見込めるようにしているのです。
予防原則5【資産と負債の不均等評価の原則】
予防原則の最後は資産と負債の不均等評価の原則です。
これだけ聞くと「一体どういう意味?」と思ってしまいますが、簡単にいうと
資産と負債を均等な方法で評価しない、という原則です。
これは今習った原則3と4をみればわかります。
平等に「資産も負債も高く見積もる」とか「資産も負債も低く見積もる」のではなく、
不均等に「資産は低く見積もり、負債は高く見積もる」という原則です。
全ては債権者が決算資料以下しか回収できなという最悪の事態を避けるための処置です。
決算書は単なる数字を正確に並べる、というだけでなく債権者の事も考えて作成されているのです。
予防原則の全ての説明が終わったあと、本日のテーマに入ります。
本日のテーマ【Periodenabgrenzungen/期ずれ区分処理】の意味
今日のメインテーマは決算をする上で重要な、期ずれの区分とその処理方法です。
今更わざわざいうまでもない当然のことですが、会社は休みなしに企業活動をしています。
活動がストップするときは会社が閉鎖する時のみ。
当然ですが、会社が活動しているということは、同時に経済活動が行われているということ。
そして、経済活動には会計処理が伴います。
資産購入、材料支払い、借入、給与支払い、旅費精算その他もろもろの費用。。。
金銭や資産が動かない企業活動は存在しないといっていいでしょう。
毎日の活動の中で、例えばある備品購入時期が12月でも1月でも大きな違いはありません。
必要と思った時に買えばよいのです。
出張に行く時期が12月でも1月でも都合のよい時に行けばいい。
客先への商品発送の時期が12月31日になっても1月1日になっても体制に影響はない、
5月1日の発送が2日にずれるのと同じで、たった1日の差ではないか。
そんな些細なことは気にせず、通常と同じタイミングで業務遂行すればいい。
もちろん費用だけでなく、利益も同様です。
お客さんが12月31日に商品を買いに来たけれど合うサイズがなく、
取り寄せ後の購入でお持ち帰りは明日の1月1日になる。
12月購入でも1月購入でもお客さんからしたら重要ではありません。
気に入った商品が手に入ればそれでよいのです。
ある経済活動の遂行が12月でも翌年の1月でも、それは会社の日常業務の一環の流れで
取り立てて時期に留意する必要はない。。。
毎日の営業活動ベースで見ると、確かにその通りかもしれません。
ただ、決算という視点からみるとそのままではいけない。
毎日毎日その会社が閉鎖される日まで永遠と続く企業の経営活動を、1年という期間に分け、
その特定の期間の会社の経済活動にフォーカスして結果をまとめるのが決算という作業なのです。
つまり決算には”当期”という一年の決まった期間の売上と費用、資産と負債の増減を切り取る作業です。
そのために何が必要かというと、かかった費用または得た利益が今フォーカスしている期間、つまり”当期”の費用/利益に該当するのか、否か。
それをきちんと区別し、”当期”からはみ出している時期の費用/利益は当期処理分からは外す処理をします。
当期から外れた、つまり”期”がずれているものを正しく会計処理するので【期ずれ処理】というのです。
それらの費用は来年の費用かもしれない、または昨年の費用だったかもしれない。
会計をするにあたって、毎月行われる月次処理が終わった後、いわゆる「期末の決算処理」という作業が発生します。
ここで説明したような”期ずれ”対応が必要な費用/利益を正しく判別し、前期や後期などふさわしい期間に移動させる作業がいわゆる「年末の決算処理」の一部に該当するのです。
4種類の期ずれ内容とその会計処理
期ずれ処理の意味と意義がわかったところで、具体的な内容を学習しました。
内容別にみると、期ずれの種類は、2グループ、4種類に分かれます。
その前に一つ重要な前提があります。
【会計上、費用/利益計上義務が発生する時期は、実際の支払い時期とは全く無関係である】
そうなのです、会計をやってない人はもとより、会計業務に従事している人でも時々、ある経済活動の会計計上時期を、実際お金が動いた時期と同じく考えてしまうことがあります。
これは全く間違いで、例えば1月1日に商品を買ったとして、どんな支払い方法を取ったとしても、
その商品の売り上げ計上日は1月1日になります。
その場で現金で支払っても、ECカードで翌日銀行から引き落とされても、クレジットカードで翌月引き落としになっても、売り上げ日は1月1日で変わりません。
この前提を忘れると、いざ自分が期ずれ処理をする時、例えば支払い請求書の日付は12月だけど支払いは1月の場合、または売上請求書の日付は12月だけど入金は1月の場合など、一体何が当期分なのかそうでないのか、区別に迷ってしまう事態になりかねません。
この期ずれの種類を、①お金の動きと②書類発生観点の2グループに分けます。
期ずれグループ1【Transitorische Rechnungsabgrenzungsposten】繰延処理
まず第一のグループは【繰延処理】グループ。
繰延べとは当期中に収入・支出があっても利益・費用会計処理は当期以外に行う会計処理を
いうのですが、なんだか日本語でもよくわかりにくいですね。
一言でいうと【お金の動きは今期、しかし費用/利益計上は今期以外】という事です。
例えば、1月分の事務所賃貸料を12月に支払った、とか来年1月~3月分の貸付利息を先にもらった、
などの場合です。
このグループは更に2種類の下位カテゴリーに分類されます。
1-1. 支払いは今期、しかし費用計上は来期
例. 来年1月分の事務所家賃を12月に支払った。
これが会計年度の当期で起こったことなら、1月でも2月でも月ずれは気にしません。
通常仕訳: 賃貸料 50000EUR ― 銀行 50000EUR
しかし、決算期をまたぐ期ずれの場合は”賃貸料”の代わりに特殊な勘定科目を使います。
それがこちら: => Aktive Rechnungsabgrunzungsposten (ARAP) / 資産繰延勘定
ドイツ語でそのまま使うと非常に長いので通常は短縮形”ARAP”を使います。
ここでは日本語で資産繰延勘定と訳しましたが、もっとうまい訳があるかもしれません。
賃貸料は当期の経費ではないので、賃貸料の代わりにARAPを使うわけです。
通常仕訳: 賃貸料 50000EUR ― 銀行 50000EUR
期ずれの場合当期仕訳→ 資産繰延勘定(ARAP) 50000EUR ― 銀行 50000EUR
そして、当期が終了し、年度が変わったあと、再び当期経費として振替え仕訳をします。
翌期に振替え仕訳: 賃貸料 50000EUR ― 資産繰延勘定(ARAP) 50000EUR
ARAP勘定が期を超えた時点で相殺処理され、その後に残るのはピンクで残った
賃貸料 50000EUR ― 銀行 50000EUR
つまり、通常仕訳と同じになるわけです。
次は2つ目。
1-2. 入金は今期、しかし利益計上は来期
例. 顧客から来年1月~6月分の保険料3万ユーロが12月に入金になった。
入金は今期、しかし該当の保険料は来年1月~6月分のため利益計上は来年になります。
もしこの入金が当期利益分であれば仕訳は簡単:
通常仕訳: 銀行 30000EUR ― 保険料 30000EUR
しかし、決算期をまたぐ期ずれの場合は先ほど同様、この仕訳は使いません。
当期の”保険料”ではないのですから、その代わりに特殊な勘定科目を使います。
それがこちら: => Passive Rechnungsabgrunzungsposten (PRAP) / 負債繰延勘定
これもこのまま使うと非常に長いので通常は短縮形”PRAP”を使います。
期ずれの場合の当期仕訳 → 銀行 30000EUR ― 負債繰延勘定(PRAP) 30000EUR
そして、当期が終了し、年度が変わったあと、再び当期利益として振替え仕訳をします。
翌期に振替え仕訳: 負債繰延勘定(PRAP) 30000EUR ― 保険料 30000EUR
PRAP勘定が期を超えた時点で相殺処理され、その後に残るのはピンクで残った部分
銀行 30000EUR ― 保険料 30000EUR
つまり、最初の例と同じく通常仕訳と同じになるわけです。
最初のグループの説明が終わったので、次は2つ目のグループに行きます。
期ずれグループ2【Antizipative Rechnungsabgrenzungsposten】見越し処理
またしても日本語の小難しい会計専門用語が出てきました。
“見越し”とはいったい何のか。
会計的には【見越し】とは、当期中に入出金がなくても証拠資料があれば当期の収益/費用として処理する事。
簡単に言うと【費用/利益計上は今期、お金の動きは来期】というパターンです。
このパターンもこれまた二つの下位カテゴリーに分かれます。
2-1. 費用計上は今期だが、支払いは来期
例. 12月分の事務所賃貸料10000EURを翌月の1月に支払った。
期ずれがない場合の通常仕訳はこちら:
通常仕訳: 賃貸料 10000EUR ― 銀行 10000EUR (支払い日が仕訳日)
しかし期ずれがある場合、支払いがあってから会計計上しては翌期の費用になってしまいます。
そうならないために、お金の動きとは無関係に当期12月31日までに費用計上を行います。
その場合に使う期ずれ用特殊感情科目はこちら: => Sonstige Verbindlichkeiten(その他未払金)
期ずれの場合の当期仕訳 → 賃貸料 10000EUR ― その他未払金 10000EUR
そして、当期が終了し、年度が変わったあと、再び翌年の当期費用として振替え仕訳をします。
翌期の振替え仕訳: その他未払金 10000EUR ― 銀行 10000EUR
期ずれ用の特殊勘定科目【その他未払金】は期を超えた時点で相殺処理され、
その後に残るのはピンクで残った部分
賃貸料 10000EUR ― 銀行 10000EUR
となり、今までの例と同じく通常仕訳と同じになるわけです。
2-2. 利益計上は今期だが、入金は来期
例. 今期10月~12月分の貸付金の利息の入金3000EURが翌年の1月にあった。
「利益計上今期で入金来期」これが4種類の期ずれ処理の最後になります。
この時に使う期ずれ用特別勘定科目はこちら: => Sonstige Forderungen (その他売掛金)
期ずれがない通常仕訳の場合はこちら: 銀行 3000EUR ― 貸付利息 3000EUR (入金日に仕訳計上)
しかし、お金の流れと費用/利益計上に期ずれがある場合は、もちろん今までの3つと同様、
調整処理をしなくてはいけません。
期ずれの場合の当期仕訳 → その他売掛金 3000EUR ― 貸付利息 3000EUR (当期付けで計上)
そして、当期が終了し、年度が変わったあと、再び翌年分の当期利益として振替え仕訳をします。
翌期の振替え仕訳: 銀行 3000EUR ― その他売掛金 3000EUR (入金日に仕訳計上)
期ずれ用の特殊勘定科目【その他売掛金】は期を超えた時点で相殺処理され、
その後に残るのはピンクで残った部分は通常仕訳と同じ結果
銀行 3000EUR ― 貸付利息 3000EUR となります。
説明を聞くとなんとなく理解できた気がします。
一通り説明が終わった後は、学んだ知識を定着させ、実践でもスムーズに使えるように教科書にある練習問題を解いていきました。
練習問題を解いていると時間があっという間に過ぎてしまいます。
最初の数問は全員で解いて、ある程度慣れた後は各自で解いていくスタイル。
解く手順として、いくつかバリエーションがありますが一番効率的なのはこれ。
1. まず当期に初めて会計上何らか動きがあった時点(お金の動き/請求書発行等書類の発生)で
最初の仕訳を行う。
その際、当期分に該当しないものは期ずれ用の会計仕訳処理をしておく。
2. 来期の初日、または再び会計上の何らかの動きがあった場合、1の処理を踏まえた会計処理を行う。
まあ、理屈ではわかっていても、いざ具体的な練習問題を解いて行くと細かい疑問点が色々出てきます。
習うより慣れろで、とりあえず自分なりの解答を書いたらあまり悩まずどんどん先に進みます。
ある程度各自で解いたら、その後はまた全員で答え合わせをしていくスタイルです。
理論の説明と実際練習問題をやって定着させていく時間のバランスも
ちょうどいい感じです。
最初は理屈はわかっているはずなのに、解くのは非常にゆっくりしか進まなかった
練習問題も、だんだんスピードアップして自動的に解けるようになってきました。
問題の出し方に特徴があるというか、ひっかけがあるというか、表現が紛らわしい箇所が
いくつか出てくるので、これも習うより慣れろで、どんどん練習問題を解いていくしかありません。
答え合わせの時にそういうひっかっけっぽい表現についての議論もあるので
それも頭に定着させるのに役立っています。
練習問題を10問解いた後本日のセミナーは終了しました。
第4回セミナー
4回目のセミナーは対面授業のはずでしたが、当日になって急遽オンライン授業にする、
という連絡がありました。
なぜならこの日に悪天候注意報が出たからです。
何人かの受講生から悪天候で行かれないかもしれないという連絡があったようで、
その結果対面授業からオンラインに変更になったのです。
私にとってはセミナー場所に行く方が家に帰るより近いので、急遽オンラインになって大慌て。
急いで家に帰りなんとか時間に間に合いました。
オンラインに変わった事以外はプラン通りの授業です。
まず初めに、軽く前回の復習です。
前回来られなかった人もいたので、その人のためにももう一度先週やったことを軽く
復習しました。
前回の授業でも感じましたが、このコースは会計の基礎がわかった上での発展コースなので
授業の展開が早く、進み方もスムーズです。
基礎がわかった上でより専門的に深く学ぶので、質問の幅も限定的ですし理解もしやすいです。
20-30分の復習が終わったら、本日のテーマに入ります。
今日のテーマは“Rückstellung” 日本語でいうと“引当金”です。
引当金処理については私は今でも仕事でよく使っています。
実際に仕事で運用していると、セミナーで理論を学んでいても頭によく入ってきます。
理論と実践の併用が一番理解への早道ですね。
引当金
まず引当金の定義を習いました。
引当金とは、簡単にいうと「金額のはっきりしない負債」です。
「今期の費用になるべきものだけれど、まだ請求書が来ておらず、はっきり金額がわからない。」
請求書が来ていて金額が決まっていれば、未払金や買掛金として計上できるけれど、
金額がはっきりしないので支払いを証明するものがない。
【証明書なくしてブッキングするべからず(No Evidence No booking)】という会計ことわざが
あるくらい、証明書なしで会計計上はありえないのですが、一方で支払いがあるとわかっているのに
金額がはっきりしないからといって当期計上しておかないと会計の正確性にも欠けるし、
債権者の立場に立つと、費用隠しと受け取られかねません。
前回のセミナーで習った【資産は低く、負債は高く】の原則からも外れてしまいます。
そんな時に使うのが【引当金】という勘定科目なのです。
この説明を聞いて、私は今までなんとなくやっていた引当金の定義がはっきりとわかりました。
とりわけ買掛金/未払金との違いがクリアになったのが新しい発見でした。
同じ来期費用の未払でも、請求書があって金額がはっきりしていれば【買掛金/未払金】
支払いがあることは確かだけど今期中に金額がはっきりしない時は【引当金】になるのです。
引当金の計上義務
それでは引当金計上しなくてはいけないのは、一体どんな場合なのか。
以下のみっつがあります。
引当金の計上義務:
- 決算期の最終日に第三者への何らかの支払いがある場合
- 法人税や地方税、税理事務所への年度末決算費用など、公法上の支払い
- 客先の倒産危機など、営業上損失の危険性がある場合
注意事項: 引当金は査定可能であること。つまり、支払い義務のリスク金額算出の根拠があること。
確かに1も2も3も納得です。
1の例としては、請求書はまだ発生しておらず、はっきりした金額はまだわからないものの、当期内に車を修理に出した場合など
2の例で典型的なのは、税理士や会計事務所などに支払う決算委託費用が挙げられます。例えば2021年の決算処理を開始するのは、2022年になってからなので、2021年12月31日には、費用がいくらになるのかわかりません。しかしその費用は明らかに2021年分の費用となるので、概算で2021年の引当金として計上しておくのです。
3の例は、取引先の倒産などで、売掛金の回収ができない可能性を考えて、いくらかを引当金計上しておくものです。経営に携わる人は【貸し倒れ引当金】という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
貸し倒れ引当金を計上するかしないかは企業の入金形態によります。客先からの支払いを前払い金でもらっている場合は必要ありませんし、L/C取引や取引信用保証会社に客先倒産時の保険をかけている場合も必要ありません。そうでない場合は売掛金の決まったパーセントを貸し倒れ引当金処理している会社が多いと思います。
とはいっても、やみくもに何の根拠もなく引当金処理を行うことはできません。
計上する時は何らかの方法で金額の試算ができる根拠を提示の上、引当金計上をします。
セミナーではいくつか例をやったのですが、ここでは仕訳例として地方税の引当金計上を一つだけ紹介します。
引当金仕訳例: 地方税還付
1. 企業Aは2022年決算後、地方税の支払いが見込まれます。金額は1万ユーロ。
2022年12月31日の仕訳:
- 地方税 10000 EUR – 税金引当金 10000 EUR
2. 2023年4月10日、市は企業Aから地方税を引き落した。金額は以下の3通り。
- ①引落税額 10000 EUR (引当額が確定税額と同じ)
- 仕訳: 税金引当金 10000 EUR – 銀行 10000 EUR
- ②引落税額 12000 EUR (引当額が確定税額より少ない)
- 仕訳: 税金引当金 10000 EUR – 銀行 12000 EUR
- 当期外費用/前年度地方税 2000 EUR
- ③引落税額 7000 EUR (引当額が確定税額より多い)
- 仕訳: 税金引当金 10000 EUR – 銀行 7000 EUR
- 引当金取崩利益 3000 EUR
なるほど、引当金は金額が未確定のまま計上する仕訳です。
ですから実際に支払いが確定した時に、引き当てた金額とのずれが生じることもあります。
そのため、引当金が実際の支払い額と①同じ場合、②少ない場合、③多い場合の
3つの仕訳バリエーションが存在するわけです。
今まではっきり理論ではわからないままなんとなく引当金計上をしていた費用の数々。
この説明で基準がよりはっきりとわかりました。
やっぱり実務を伴った理論というのはわかるとすっきりします。
説明と例題を一緒にやったあとは教科書の練習問題を解いていきます。
今回は全問全員で考えながら解きました。
まとめ
ドイツ商工会議所主催のドイツ認定管理会計士(Finanzbuchhalter II)発展コースの
全15回中、初回~4回目の内容をご紹介しました。
ここではこのセミナーで出てきたドイツ語の会計専門用語の日本語訳をまとめます。
少し重なる単語もありますが、下の方には1年前にドイツ認定管理会計士(Finanzbuchhalter I)の
基礎コースで学んだ会計用語の日本語訳を載せています。
ドイツの会計用語の日本語訳
ドイツ語の会計専門用語(発展コースより):
- Vorsichtsprinzip: 予防原則
- Anschaffungskostprinzip: 取得原価の原則
- Realisationsprinzip: リアル原則
- Niederstwertprinzip (NWP) auf der Akktivseite: 資産最低価格の原則
- Grundsatz der Wertaufholung: 価値復活の規則
- Höchstwertprinzip auf der Passivseite: 負債最高価格の原則
- Imparitätsprinzip: 資産と負債の不均等評価の原則
- Periodenabgrenzungen: 期ずれ区分処理
- Transitorische Rechnungsabgrenzungsposten: 繰延処理
- Aktive Rechnungsabgrunzungsposten (APAP): 資産繰延勘定
- Passive Rechnungsabgrunzungsposten (PRAP): 負債繰延勘定
- Antizipative Rechnungsabgrenzungsposten: 見越し処理
- Anzahlung: 前払い金
- Rückstellung: 引当金
ドイツ語の会計専門用語(基礎コースより):
- GOB (Grundsätze ordnungsmäßiger Buchführung): ドイツ会計の基礎・根拠となる規則)
- HGB (Handelsgesetzbuch): 商法 (ドイツの商法の中核の規則がまとめられたもの)
- AO (Abgabeordnung): ドイツの税法の基本法
- Standard-Kontanrahmen(SKR): 標準勘定科目表 (※最も一般的なのはSKR03とSKR04)
- Rückstellung: 引当金
- T-Konto: 仕訳用の各勘定科目ごとの伝票。左右に分かれる複式簿記仕訳の形が”T”の形に似ているので”T-アカウント”と呼ぶ。
- Verbindlichkeiten aus L.+L (L.+LはLieferungen und Leistungenの略) : 買掛金/未払金
- auf Ziel: 請求書払い(後払い)
- Inventur : 現実の商品の在庫
- Inventar : Inventur の結果をもと作られる会計上の数値としての在庫(貸借対照表のもとになる数値)
- Buchungssatz: (複式の)仕訳け
- Hauptbuch: 総勘定元帳
- Nebenbuch: 補助元帳
- Konto: 個々の勘定科目
- Grundbuch/Journal: 各事業取引の時系列仕訳表(会計仕訳資料の土台となるもの)
- Sachkonten: 総勘定元帳/補助元帳のもとになる各勘定科目
- Personenkonten: 取引先別勘定科目(補助元帳用で各顧客・サプライヤー・支払い先)
- Bilanz: 貸借対照表
- Aktiva / Passiva: 資産 / 負債
- Anlagevermögen: (有形)固定資産
- Umlaufvermögen: 流動資産
- Forderungenaus L.+L. (L.+LはLieferungen und Leistungenの略): 売掛金
- Eigenkapital: 自己資産(自己資本)
- Soll / Haben: 借り方 / 貸方
- GuV (Gewinn und Verlust): 損益計算書
- EBK(Eröffnungskonto) 年度初めの開始貸借対照表
- WEK(Wareneinkauf) 仕入れ品購入
- BGA(Betriebs- und Geschäftsausstattung) 資産勘定になる機器(備品扱い)
- Warenbestend: 在庫
- Warenveränderung: 在庫調整
- Warenverkauf: 商品販売
- Bar: 現金
- Kasse: (勘定科目としての)現金・レジ
- Bank: 銀行
- Kontokorrent: 当座預金
- Vorsteuer: (仮払い)消費税
- Umsatzsteuer: 売上税(仮受け消費税)
- Umsatz: 売上
- Vorauszahlungen: 前払い
- Nachzahlungen (Vorhaure) : (前年分の) 後払い
- Gewerbesteuer: 営業税(地方税)
- Körperschaftssteuer: 法人税
- Est (Einkommensteuer): 所得に関する税金
- Kfz-Steuer: 自動車税
- Erbschaftssteuer: 相続税
- Schenkungssteuer: 贈与税
- Grundsteuer: 固定資産税
- Hundsteuer: ドック税(犬を飼っている人への税金)
- Aufwandskonto: 費用勘定科目
- Bestandskonto: 在庫勘定科目
- Bruttolohn: 総支給額
- Nettolohn: 手取り給与
- Arbeitnehmeranteil zur Sozialversicherung: 個人負担分社会保険
- SV: Sozialversicherung (社会保険)の略称
- Gesetzliche soz. Aufwendungen: 法定福利費
- Verbindlichkeiten LSt/KiSt: 所得税・教会税用預り金
- LSt: Lohnsteuer (所得税・賃金税)の略称
- KiSt: Kirchensteuer (教会税)の略称
- SV-Vorauszahlung: 社会保険前払い金
- Löhne: 変動給与・賃金
- Gehälter: 固定給与
- Aushilfelöhne: 短期アルバイト用給与
- Gez. Soziale Aufwendungen: 法的強制社会保険・法定福利費
- Freiw. Soz. Aufwendungen: 任意社会保険・法定福利費
- Vermögenswirksame Leistungen: 資産蓄積形
- Forderungen an Mitarbeiter – Verrechnung Vorschüsse: 社員前払い
- SV-Vorauszahlung – Verbindlichkeiten gesetzliche Sozialversicherung: 前払い法定社会保険
- Verbindlichkeiten aus Steuern: 税金用負債/預かり金
- Verbindlichkeiten aus Vermögensbildung : 財産・資産関連預かり金
- Immaterielle Vermögensgegenstände: 無形固定資産
- Sachanlagen: 有形固定資産
- Finanzanlagen: 金融資産
- Anlagevermögen(AV): 固定資産
- Umlaufvermögen(UV): 流動資産
- Geringwertige Wirgschaftsgüter (GwG): 少額資産
これを読んで少しでもドイツの会計に興味を持ったり、役に立ったと感じてもらえると嬉しいです。
引き続きセミナーで学んだことをリポートしたいと思います。
続く。
ドイツ会計の基礎から興味のある人はこちら。
ドイツの労働制度に興味のある方はこちらもぜひ。
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