ドイツで働くということ - 有給や病欠

今回は、ドイツの労働条件についての話です。

 

私はドイツの企業で7年間働いてました。 

7年のうち、前半の4年は従業員として、後半の3年は代表として、

社内だけでなく社外の人との付き合いも多かったです。

 

今回はそれらの経験を通じて感じたドイツ人の働き方について書きたいと思います。

有給100%消化は義務

これは有名かもしれませんが、ドイツの有給消化率100%、というのは本当です。

会社によって多少差がありますが、だいたい一年に25日から30日くらいです。

有給は権利ではなくて義務なので、全員が一日も余さず100%とります。

 

しかも、”最低一年に一度は1週間以上の連続した休暇を取らないといけない”、

という決まりまであります。

 

大抵のドイツ人は”一週間なんて短期休暇は却って疲れる”と、

2週間くらい続けて取ったりします。

 

もちろんその間、自宅にいるわけもなく、100%旅行に行きます。

 

そもそもドイツ語の”休暇(Urlaub)”という単語にすでに

旅行”という意味が含まれています。

 

ですから、ドイツ人は、

”今度の休暇(Urlaub)どこに行くの?”

という使い方をします。

 

どこにも行かない休暇(Urlaub)なんていうのは存在しないのです。

 

よく”ドイツ人は旅行好きで世界のどこに行ってもドイツ人がいる”

なんて言われたりもしますが、これには心から納得です。

 

(余談ですが、用事があって一日有給を取りたい場合は違う言い方をします。

“frei nehmen” つまり、”自由時間とっていい?”みたいな言い方をします。

こういう時に”休暇(Urlaub)”という単語は使いません。)

 

企業も従業員に休暇を消化させないと、国に罰せられますから、

これは本当に徹底します。

 

そして有給消化システムは全ドイツに浸透しているので、

社外の人も休暇に関して非常に寛大です。

 

お客さんが用事があって連絡をしてきた時も、担当者が休暇中だと伝えると、

”問題ないよ、それなら休暇後に連絡するよ。よい休暇を”、

という感じです。

 

一応社内に代理は立てているのですが、

社外のお客さんとは個人間の信頼でつながっていることも多く、

少しでも込み入ったことを話したい時は、

代理とは話さず担当が休暇から戻るまで待っています。

病欠の義務

更にドイツでは、有給とは別に”病欠制度”があります。

 

有給は純粋に自分のプライベートな時間を楽しむための時間で、

病気また別、という考えです。

 

体調が悪くなった時医者に行くと”労働不可能証明書”なるものが発行されます。

この証明書をもらってしまうと、会社に出てくるのは禁止です。

 

出てこなくていい、ではなくて、”出てきてはいけない”、のです。

 

もし無理をして出てきて何かあっても、保険対象外なので、

会社側も出てくるのを禁止します。

 

ドイツ人同僚も、病気の人に出てこられてもうつったら困るので、

病人には当然治るまで家で待機を薦めます。

 

病人に”今仕事が立て込んでいるから出てこい”

なんて思う人はどこにもいないのです。

 

この考えもドイツ全体で徹底されていますので、

お客さんからも苦情を聞いたことがありません

 

しかも病欠でも休んだ本人は減給されませんし

会社も保険会社からその分の補填金を受け取れます

 

これらの条件は、労働契約書にも明記されています。

 

徹底して従業員にやさしい仕組みになっています。

 

経営者の責任

そして、これほど個人のプライベートを充実させても、

(更に付け加えるならば、残業時間も一日最高2時間まで、

週の上限も決められています)、

ドイツは経済が回っている

そこが凄いところ。

 

ドイツでは基本的な考えとして、

責任の少ない従業員の給与はそれほど高くないが、

その分プライベートの生活を楽めるようになっています。

 

ただ、経営者自身はこのような労働条件の保護の対象外です。

 

経営者も流石に休暇は取りますが、

休暇中も最低限のメールチェックなどはして、

急ぎの要件には対処します。

 

私は仕事上、会計事務所や弁護士と連絡を取っていましたが、

特に弁護士さんとは締め切りがある案件が多かったので、

そういう時には彼らは休暇中でも要件に対処してくれました。

 

日本とは労働の対する考えが根本的に違うのかもしれません。

 

根底にどういう考えがあって、この行動があるのか、

そこを考えるとドイツが何となくわかるかもしれません。

 

(とは言っても私も未だにたまに忘れてしまって、”あーっ”てなります)

 

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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。

記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。

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