北ドイツのハンブルクに2017年1月、新名所が誕生しました。
新しいコンサートホール、エルプフィルハーモニーです。
すでに存在していた倉庫の上に新しいコンサートホールを建設するということで、地盤沈下の問題など、設計の変更、建設費の上昇、建設の遅れ等の紆余曲折があり、2017年にやっと完成したのです。
オープン当初から、一度ぜひコンサートを聴きに行きたいと思っていましたが、オープンしてからチケットは常にソールドアウト状態。
落ち着いてから行った方がいいな、と思ってしばらく保留していました。
しかし、2019年1月にデュッセルドルフへの引っ越しが決まり、行くなら今しかないだろう、ということで2018年の大みそか、ついにエルプフィルハーモニーのコンサートに行ってきました。
今回はエルプフィルハーモニーと、そこで行われたコンサートをご紹介します。
大みそかの昼のコンサート・指揮【Kento Nagano】
大みそかに私が取ったチケットは、昼間のコンサートです。
指揮は日本人のKento Naganoさん。
今までハンブルクでコンサートに何度か行ったときに、気にはなっていたのですが彼の指揮にはあたりませんでした。
今回、初のエルプフィルハーモニーで初の日本人指揮者さんでとても楽しみです。
エルプフィルハーモニーのホールの特徴
エルプフィルハーモニーのコンサートホールは、お客さんのことをとことん考えて設計された、と言われています。
- その結果の一つが360度の客席。
- 来てくれたお客さん全員がよく見えてよく聞こえるように設計されている。
- 音響効果が優れている。
それに対して思い浮かんだ私の疑問はこちら:
- 360度の観客席だと、後ろのお客さんは演奏者の背中しか見えないのでは?
- 大抵のコンサートホールでは、後ろのお客さんは柱の陰などで、音響が悪かったり、演奏者がよく見えなかったり、横だと身を乗り出さないと舞台が見えないけど、その点は問題ないのか?
- 大ホールだと、後ろの席は演奏者が豆粒のようにしか見えないが、その点はどうなのか?
多分、最初で最後のエルプフィルハーモニーになると思うので、今回は手に入る一番いい席を買いました。
正面の前から7列目の席です。
エルプフィルハーモニー【コンサート当日】
チケットを購入したのは10月末でした。
コンサートはやはり曲を知っている方が断然楽しいです。
チケットを購入して、そのうち演目の予習をしていこうかと思いつつも時間がどんどん経ってしまいます。
まだ時間があるから余裕と思って怠けていたら、あっという間に大みそかのコンサート当日になってしまいました。
結局予習は全然していきませんでした。
知っているのは、エルプフィルハーモニーオーケストラとコーラスとのコラボで指揮者が日本人のKento Naganoさん、バッハとブラームスとモーツアルトの曲をするんだな、
楽曲が多いから短い曲が多いのかな、と思ったくらいでした。。。
開始時間は11時です。
ネットには開始時刻の30分前には来ることがお薦めされていました。
私は普段、コンサートが始まる前にゼクトを飲んでゆっくりするタイプなので、1時間くらい前に着く予定で家を出ます。
混雑するだろうし、ホールの見学したりクロークにコートを預けたりしたらあっという間に時間が過ぎてしまうのでそれくらいがちょうどいいのです。
当日、予定よりちょっと遅れで到着
当日は余裕を持って家を出るはずが、ちょっと遅れてしまいます。
昼間のコンサートだったことも関係しているかな。
この日はあいにくの霧雨。
最寄りの駅を降りると、前方に霞がかったエルプフィルハーモニーが見えます。
途中、港を通り過ぎ、橋を渡ります。
世界遺産になっている、ハンブルクの港の倉庫街を通って。
エルプフィルハーモニーに到着です。
予定のコンサート開始の1時間前よりは遅れましたが、40分前には余裕で到着です。
もうチケットの所には人が並んでいます。
ちょうどいいくらいかな。
入り口のエスカレーターがきらきらしていて、もうちょっとわくわくします。
流石こだわりの設計だけあります。
この日は霧がすごかったですが、普段は外のテラスに出て360度の景色を楽しむことができます。
コンサートホールに入る前の中を見ているだけでもとても楽しいです。
中の写真はアップできないのですが、建物全体が曲線でできています。
階段も一段が長くゆったりしています。
中二階や中三階なのか、階数がはっきり分かれていない感じ。
真ん中から左右に分かれる階段も丸みを帯びていて、本当は自分の席とは違って行く必要のない方も行ってみたい気持ちになります。
思わず両方行って一周してしまいました。
バルセロナのサクラダ・ファミリアで有名なアントニオ・ガウディの建築【カサ・ミラ】を思い出します。
チケットが完売しているだけあって、込み合っています。
クロークにコートを預けて、ラウンジで一杯シャンパンを飲むとちょうどいい時間になりました。
なんと、シャンパン地方の本物シャンパンでした。
たいていはゼクトと呼ばれる他の地方の炭酸のお酒が多いのです。
しかも赤もピンクもありました。
シャンパンは白でしょ、という思い込みからつい白を頼んでしまいましたが、他の色にしてみればよかったかなあ。。。
日常から離れて、コンサートを楽しもうっていう気になるのです。
せっかくコンサートに来るのですから、あわただしく来て帰るだけではなく、ちょっとこんな優雅な時間も楽しみたいのです。
エルプフィルハーモニーのコンサート大ホールへ
いよいよコンサートの開始です。
中に入ると、大ホールなのに、想像していたより小さく感じられます。
舞台と客席の間が近い気がするのです。
他のホールのように、大ホールと言えば3階くらいに分かれていて、1階は何十列も席があり後ろの人舞台が見えづらいという感じはしません。
私が座っている1階の真ん中も、それほど後ろはありませんし、他の席もそれほど後ろに席がありません。
それは上の階にいっても同じです。
上の階の作りも垂直に伸びている感じで、舞台との距離が近く感じます。
そしてなにより、全体がカッコいい!
撮った写真は載せられないので、エルプフィルハーモニーの公式サイトのリンクを張っておきます。
https://www.elbphilharmonie.de/de/
360度客席だと、全部のお客さんがこんなに近くでオーケストラを楽しめるんだなあ。
360度が客席だと、後ろのお客さんは演奏者の後ろ姿しか見られないかと心配しましたが、演奏者の席も工夫されていました。
全員が背を向けてまっすぐ並ぶのではなく、端の演奏者はななめに座るようになっていました。
これだったら、後ろのお客さんも演奏を見ることができます。
なにより、前からはいつも背中しか見えない、指揮者を真正面から見ることができます。
今度見ることがあったら、後ろ側にも座ってみたいなあ。
大みそかコンサート演奏開始
いよいよ、コンサート開始です。
時間の遅延もなく、スムーズに始まりました。
本日のメインの指揮者、Kento Naganoさんはすごくほっそりした方でした。
こちらが、当日のプログラムです。
エルプフィルハーモニー大ホール: 2018年12月31日プログラム
Toshio Hosokawa
Introduktion I und II aus der Oper »Stilles Meer«
Johann Sebastian Bach
Orchestersuite Nr. 3 D-Dur BWV 1068
Johannes Brahms
»Warum ist das Licht gegeben« für Chor a cappella op. 74/1
O Heiland, reiß’ die Himmel auf op. 74/2
Edgard Varèse
Octandre
Wolfgang Amadeus Mozart
Missa brevis C-Dur KV 196b »Spatzenmesse«
演奏も打楽器だけの短い曲から始まり、コーラスあり、オーケストラありでバラエティに富んで楽しめました。
さすが大みそかコンサートです。
ただ予習をしていかなかったこともあり、私が知っていたのはプログラム2曲目のバッハだけでした。。。
やっぱり知っている曲だと、楽しさが倍増です。
ちょっと怠けてしまったツケが来てしまいました・・・
Nagano Kentoさんのスピーチ
指揮者のNaganoさんは、前半はひたすら指揮をしていました。
一曲やって他の指揮者と交代することもあったのですが、誰も一言も言葉を発しませんでした。
このまま終わるのかな、と思っていたのですが、休憩をはさんで後半が始まったところで、Naganoさんがドイツ語で長いスピーチを始めました。
最初は手に事前に用意していたメモを片手に始めたのですが、だんだん興に乗って、最後の方はメモをほとんど見ずに話していました。
内容は、今日のコンサートのこと、そしてこれから後半にやるモーツアルトの曲が今日の日にいかにピッタリか。
さらにエルプフィルハーモニーの一環で子供たちと一緒に音楽したとき、4人の子供に「今年どんな年だったか」を質問したときの返事について。
もちろん外国人なので、ドイツ人母国語者とは違いますが、真面目に話すだけではなく、観客を笑わせる場所を盛り込むところも堂に入ったスピーチでした。
とても楽しいコンサートでした。
ちょっと意外だったのは、アンコールがなくサクッと終わってしまったこと。
普通は数度舞台に出てきた後、最後にちょこっとアンコールをすることが多いのですが、この日はアンコールがなかったのです。
拍手は鳴りやまなかったので、その都度舞台に出てきたのですが挨拶をお礼をして、最後に戻っていきました。
コンサートは13時ごろ終わるスケジュールになっていて、終ったのは13時15分くらいでした。
エルプフィルハーモニーではこの日は夜もコンサートがあります。
私が出口から出ようとしたら、入り口のところで、もう次のお客さんが入場するために並んでいました。
ひょっとしたら、夜の前にもう一回コンサートの予定があったのかもしれません。
エルプフィルハーモニーのコンサートで思ったこと
エルプフィルハーモニーのコンサートの大みそかコンサートのご紹介をしました。
私がコンサートが始まる前に心配していたことは、全然問題ありませんでした。
かえって既存のホールよりいいと思う点もたくさんありました。
- 360度の観客席だと、後ろのお客さんは演奏者の背中しか見えないのでは?→演奏者の席に工夫有り
- 大抵のコンサートホールでは、後ろのお客さんは柱の陰などで、音響が悪かったり、演奏者がよく見えなかったり、横だと身を乗り出さないと舞台が見えないけど、その点は問題ないのか?→緻密な曲線設計のおかけが、柱の問題などはぱっとみ見当たらない。かえって他のホールよりも問題がないかもしれない。
- 大ホールだと、後ろの席は演奏者が豆粒のようにしか見えないが、その点はどうなのか?→360度観客席のおかげで、後ろに席は少ない。どちらかというと上に延びる感じでどの席からでも舞台が近く見える。
一つだけ思ったことがあります。
注意点
- 事前に曲の予習をしていった方が倍楽しめる!
とはいえ、素晴らしいコンサートでした。
コンサートも建物も素敵でしたし、旅行するわけでもなく、ほんのちょっと外出するだけで非日常感が楽しめるのもとてもいいです。
みなさんも、機会があったらぜひ一度行ってみてください。
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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