ドイツで日本人として働いている以上、必ずドイツ人と日本人の仲介をすることがあります。
例えば、”日本本社とのやり取り”、”ドイツオフィスの意見を日本に伝える”、”日本人出張者が来た時の通訳”、間に入る人の働き一つで方針が変わることもあり得ます。
そんな”国際間中間管理職”の仕事で多くの人が難しいと思うのは【日本とドイツのお互いの考え方の違いを、それぞれに理解してもらうこと】ではないでしょうか。
【そもそも根本的な考え方が違う】ということをお互いにわかってもらうのが一番難しい!
そんな時【どうすれば”国際間の板挟みストレス”を少しでも軽くできるのか】
慣れない異国の地、しかも地球半周するくらい遠くまで来て、なかなか現地に馴染めないうえに仕事上のストレスが重なり、精神的に病んでしまう日本人はたくさんいます。
これから書く内容が少しでもストレス解消のお役に立てれば嬉しいです。
ドイツと日本の【商習慣】が違うとき合わせるのはどっち
ヨーロッパで商品を売る場合、日本とヨーロッパの戦略・マーケティング方法・商品の好み等、商習慣が違うことがあります。
【どちらも決して間違っているわけではない】そんなとき、どちらを優先すればいいのでしょうか?
なぜなら【ここはドイツだから】
【重要】ヨーロッパで商品を売る場合、できる限りヨーロッパの商習慣にあわせるべき
日本本社がいくらヨーロッパの商習慣を知らなくても、いくら日本のやり方をヨーロッパで推し進めたくても、それは無理です。
現地にあわせるべき根拠:
1.日本の理屈をどんなに説明したとしても、それを納得してくれるのは、せいぜいあなたの説明を聞いた社員の関係者だけ。
2.ヨーロッパで物を売る場合、社内ではなく、ヨーロッパの取引先や顧客があなたのやり方や商品を気に入ってくれないと売れません。そして、日本本社はヨーロッパの顧客に自分たちの方針を説明するチャンスはありません。
3.ヨーロッパをターゲットにする以上、ヨーロッパの好みや商習慣に合わせるべきです。
4.【例外】: 例えば購買や輸送方法、または社内やヨーロッパの工場のシステム化等、改革や説得の範囲が、本社の影響力の及ぶ範囲、つまりドイツオフィスの社内ですむ案件でしたら、その方法が理に適うと思えば、日本の方式を採用しても機能する可能性はあります。
日本が本社だし、現地が何言っても全然聞く耳持たないときがある。
それが問題。
疑問:
- ヨーロッパの現地の傾向を肌で知ることができるのが現地事務所の強みなのに、本社がその意見生かさなかったら、何のためにあるの?
- 経費の無駄にしか思えない
確かに、日本側も言い分はあるでしょう。
言い分はだいたい以下のパターンだと思います。
日本の言い分の例:
1.予算がない
2.効率が悪い(商品によってはアジア/ヨーロッパの2パターンを作る必要性も)
3.ヨーロッパに合わせて本当に正解か自信がもてない(だから判断できない)
4.前例がない(いちから始めるの面倒/ノウハウない/技術的に無理)
5.何が問題なのかわからない/そもそも現地の言うことに耳を傾ける気がない
ほとんどの問題は、真摯に向き合えば、何らかの解決策が見えてくるでしょう。
両方がきちんと話し合う気があれば、ベストではないにしても、双方からベターと思われる方法が生まれる可能性は高いです。
一番やっかいなのは、5のパターンです。
日本がそもそも問題を認識していない、無意識でも意図的でも、とにかく現地の言うことに耳を傾ける気がない時です。
シルバーの商品出してもいいけど、あくまで黒を出すことが前提の話です。
ここはブランド力回復のためにもハイエンドの商品を作ってください。
日本ではブランド力落ちてない。
それに日本ではハイエンド商品売れないから。
古い商品との互換性を維持すれば、これは他社より強みになります。
互換性維持すると、原価が0.1ドル高くなっちゃうからさ。
問題の根源: 経験不足からか、想像力の欠如からか、とにかく日本を比較に出す
ヨーロッパ人に商品を売るのに、アジアの傾向を出されても意味ないし・・・
ヨーロッパ人の好みに沿った商品出したほうが売れますよ!
うちは日本の会社なんだから、日本を引き合いに出して何が悪い!
俺に意見させない気か!
もちろん、こんな人ばかりじゃないのはわかってますが(そうだったら会社潰れます)、こんなギャグみたいなことも起きたりもします。
ドイツと日本のインターナショナル中間管理職
こんな時、どんな解決方法があるのでしょう。
1.一生懸命日本の上司に説明して理解を求める
2.一生懸命ドイツ人に日本の状況を説明する
1.【一生懸命日本側に説明する】
- 問題点: 基本的に人を変えるのは難しい、ましてや考えが固まりがちで、海外の経験がなく、言語もあまり理解しない年上の上司の考え方を変えるのは余計難しい
- 地道な作業が必要
2.【一生懸命ドイツ側を説得する】
- 自己主張の激しいドイツ人の説得もなかなか重労働。それに加えてたとえ社内ドイツ人を納得させたとしてもその影響力は社内のみ。そもそもそれではヨーロッパのニーズに合う商品が出せないので、ヨーロッパの業績は下がりドイツ事務所の存亡の危機。
- 根本的な問題の解決策にはならない
そうなのです。日本人はこういうとき真面目なので、自分ですべての責任をしょい込んでしまいがち。
あなたは、あなたの努力の及ぶ範囲で頑張ればそれで充分なんだよ。
誰もそれ以上はあなたに求める権利はないよ。例え会社の社長でもね。
ここであなたがいなくなったことで会社がつぶれたら、ここはそれまでの会社ってこと。
それに、会社には自浄作用があるんだよ。
ずーっと続いている会社をみて。
カリスマ社長が交代しても会社はつぶれずに存続してるでしょ。
自分がいなければつぶれるなんてことはないから、会社より自分の人生を最優先に考えて!
ヨーロッパに住んで思うことは、日本人は必要以上に自分に負荷をかけすぎです。
しかもプラスのプレッシャーではなく、マイナスの方向に。
仕事上の問題でうつ病になって自殺する日本人のなんと多いことか。
外国人にもうつで命を絶ってしまう人はいますが、原因は圧倒的にプライベートの生活です。
仕事上ストレスがある外国人は、病気になる前に転職します。
会社より自分の方が優先順位が高くあるべきに決まっています。
逆に、いざとなったらやめてもいい、くらいの気持ちで働いたほうが、気持ち的に楽だし、健康な範囲内で、ぎりぎりまで頑張れます。
最後に【ドイツ・日本の架け橋対策】まとめ
1.商品は現地の意向に沿ったほうが売れる。やむを得ない事情で現地の意向に沿えない場合も、ドイツの立場と意向はきちんと日本側に伝え続ける
2.ドイツと日本間の交渉をしても、達成感を得られず、いくらやってもむなしさしか感じないとき:
- 開き直れ。自分の影響の及ばないところはすっぱり諦め手を出さない。所詮できることしかできないと割り切ること。その代わりできる範囲内は全力で。
3.ドイツと日本の文化の違い、考え方の違い、好みの違いがあるのは当たり前なんだと肝に銘じておく。むしろ問題がある方が普通。
4.いざとなったら会社より自分を大事にすること。自分が辞めても会社はつぶれない。退職したって死ぬわけではない。そこにいるのが自分にとって時間の無駄と思えたら去ってもいい。会社は人生ではない。
心の病気にかかる前に覚えておいて。
そう思ってたら、大抵のことは乗り越えられるよ。
当ブログの人気記事「ドイツ語会話で必要な文法はこれだけでいい!」を改良し、わかりやすくまとめました。
テキスト部分と学習ノートの2部にわけ、例文も盛りだくさんです。
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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