本日、久しぶりにドイツの社会人対象の講習会に参加しました。
参加していて、「あー、やっぱりここはドイツだった」としみじみ思うとともに、ドイツの大学の講義を思い出しました。
そこで今回のテーマは、”ドイツの大学の講義の様子、日本との違い”についてです。
学期当初の授業プランは最後までいかなくてもいい
大学では、どの講義でもそうですが、学期初めに学期の終わりまでの授業プランが配られます。
学生が各自発表のテーマを選ぶ時も、その予定に沿って選択します。
でも、驚くことに、ドイツではプラン通りに進めることは重要視されていません。
あら、今日は予定より進まなかったですね。
でも、その分活発な議論ができたから良かったです。
予定通りに進ませるより、そちらの方が重要ですから。
しかも、これが一度だけで、次の講義で追いつく、というわけではなく、結局最後まで予定通りには進まず学期が終了することもあります。
もちろん次の学期に補修があるわけでもなく、来期は新しいテーマが始まります。
でもどこからの苦情もなく、何の問題もないようです。
ドイツの大学の講義:
1.ドイツの大学では予定通りに最後まで終わらせるより、積極的な質問や、活発な議論が行われる方が重要視される
2.その結果、学期の最後に当初予定してたテーマが終わらなくても気にしない
私は日本人のせいか、ついついテーマ最後まで行くこと優先に考えがちなんですが、ドイツでは、【積極的に活発に議論が行われる】方が大切なのです。
講師も教授も板書しない/手書き文字はナミナミ【~~で読解不能】
さらに、ドイツ人(というか、アルファベットを母国語とする人たち全部かも)は字が下手です。
むしろ、【上手に書こう】という意志が誰からも感じられないレベル。
教授も「わたし、字が下手だから」と平気でいいますし、とにかく、手書きのアルファベットは判別不能レベルなので、ほとんど板書がありません。
たまに書いても「n,m,u」が全部同じなので、区別化のために、本人が後から上に傍線引いたりして印をつけることもあります。
ほんとに全然読めないんだよー。
それなのに、なんとアルファベットが母国語の人は、ナミナミのアルファベットもイメージでわかるみたいなんです。
(思うにアジア人のアルファベットが異常にきれいなのは、きれいに書かないと自分でも読めないからなんででしょうね。新たな発見!)
なので授業は【もっぱら口頭】で行われます。
学生は聞いたことを頑張ってノート取りますけど、今思うと、一生懸命ノートをとっても結局テストであまり使った覚えがない。
そっちが本当に自分の【身についたこと】だから応用が利くよ。
講義で大事なこと:
1.【講義をよく聞いてその場で理解する】ことが板書より大事
2. その場で内容を大まかに把握し、お勧め文献を読んでおけば、わけもわからず板書したり、ノートとるより、試験の時に応用が利く(試験は全部、自分の言葉で記述する方式。どうやって採点してるのかな。。。)
暗記ではなく、考えさせて話し合いをさせる
ただ、発言といっても高度な内容を要求されたことは一度もないです。
というか、話を聞いていても、「そのことはもうすでに言ってるじゃん」とか、「それはここでわざわざ時間割いてまで聞くことじゃないのでは???」と思う質問も多数。
たまーに、学生間でも、【その議論に時間使いたくない】という空気が流れることはあります。
だだし、質問している本人は平気で、【きちんと苦情を言われたら、もちろん対処するけど、はっきり言われないうちは、自分の好きなようにする】というスタンスなのです。
全員がこうなので、ある意味平等です。
そして、教授や講師も積極的に質問してくる学生をもちろん優先しますし、質問の内容で評価はしません。あくまでアクティブということで、質問した、という行動を高評価します。
ペーパー試験のできがよくても、普段の授業態度が消極的だとなかなか、真面目なよい学生と思ってもらえません。
大学でも高校でも、小学校でも幼稚園でも、とにかく一貫した教育姿勢:
1.【発言した】という行動が素晴らしいし、【質問に間違え】というのは存在しない
2. 回答として明らかに間違っていても、それをきっかけに議論に発展するので、回答しないよりよっぽどいい
3.どんな小さな質問でも決してばかにしない、その代わり何も質問しない人は評価ゼロ
自分が自分を好きになって肯定しないで、一体だれがしてくれるのか。
こっちには自己否定がないのはいいと思う。
ドイツの教育まとめ
これらの授業傾向は、小学校から変わらないみたいです。
小学校から暗記はほとんどなく考えさえる授業が多い。
子供は自分で考えられるようになりますが、弊害として、日本では常識として知られる基礎知識が不足していることも多い。
一度、語学学校のドイツ語の先生が、”時差”の概念をあまり知らなくて【ヨーロッパの真下がアフリカで、時差がない】ことを信じなかったことがあってびっくり。
という弁明でした。。。
どっちがいいか悪いかは別にしてね。
1.暗記より議論重視
2.どんな小さくても、たとえ間違ってても、質問や意見をした【行為】を好意的に受け止める
3.どんなに真面目に授業を受けていても、真剣に考えていたとしても、【発言しないとゼロと同じ】で、評価されない
ただ、私は暗記重視の日本の学校制度よりは、こっちの考えるタイプの方が性に合っていた気がします。
“本好き”が幸いしたかな。
これはドイツにきて良かったと思うことのひとつ。
両方経験して、自分に合ったほうが選べるっていうのはやっぱりいいよ。
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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