何気ない日常会話の中でよく使う表現。
知ってしまえばとっても簡単な表現なのに辞書に載ってない!
外国で生活しているとこういう事がよく起こります。
このサイトではそんな問題を解決するべく「辞書に載ってない日常会話でよく使うドイツ語」をご紹介しています。
今回の表現は【あ、それ私持ってるよ】です。
このように何か【自分が物を携帯している】時に「それ、私持ってるよ。」と誰かに伝えたい時ありますよね。
今回はこんな時ドイツ語でなんていうのかご紹介します。
とっても簡単で役に立つ表現なので、覚えてぜひ使ってみて下さい。
Ich habe es dabei / イッヒ ハーベ エス ダバイ
- ハサミ持ってる?
- → あ、あるよ。
- ボールペン持ってる?
- → うん、持ってるよ。
- あ、ノート忘れちゃった!
- → 私持ってるよ。使う?
【自分が物を携帯している】時に「それ、私持ってるよ。」と誰かに伝えたい時。
そんな時、ドイツ語ではこういいます。
「私それ、持ってるよ」:
- Ich habe es dabei. (イッヒ ハーベ エス ダバイ)
とっても便利な表現で、会話の中でよく使われます。
1つ1つの単語の意味とネイティブの発音
各単語の意味:
- Ich : 私は
- habe : 持っている
- es : それ
- dabei : da + bei の融合: “da: そこ”+ “bei: そばに” で「この場に」
単語を一つ一つ説明するとこのようになります。
”私は””持ってる””それ””この場に”を全部合わせて「私それここに持ってる/今携帯してる。」という意味で使われるのです。
ドイツ語を少し勉強している人なら”Ich habe es dabei”の一つ一つの単語は知っている人も多いかもしれません。
でもひょっとしたらこういう人も多いかも。
- 単語の省略・発音の融合
ドイツ語は英語ほどではありませんが、話し言葉では単語を省略する時があります。
そんな時、大抵のドイツ語ネイティブの人はこのように発音します。
Ich habe es dabei の省略形:
- Ich hab’s dabei. (イッヒ ハプス ダバイ)
“habe” → ”hab” に、そして”es”が”s”に省略されてそれにくっつきます。
”habe es” → ”hab’s” になるのです。
発音は”ハプス”です。
自分で発音するときは”habe es”でも構いませんが、”hab’s”とわかっているとネイティブが言ってることが聞き取れるようになります。
実は”ich habe es” だけじゃない【名詞の性別】
代表として「ich habe es dabei」をご紹介しましたが、実はこの一つだけの表現で全部を説明できるわけではありません。
他に「ich habe sie dabai」と「ich habe ihn dabei」の2つの使い方があります。
意味は全く同じで、「それ、今私持ってるよ」なのですが、「それ」が具体的に何を指すかによって、”es,sie,ihn”のどれを使うか変わってくるのです。
どのように区別するかというと、名詞の性で区別します。
ドイツ語の名詞には「男性名詞/女性名詞/中性名詞」の3種類があります。
「それ」が指す名詞の性によって”es,ihn,sie”の使い分けがされます。
「それ」を指す名詞が中性名詞の場合は【Ich habe es dabei】、
男性名詞の場合は【Ich habe ihn dabei】、
女性名詞の場合は【Ich habe sie dabei】、となるのです。
ここがドイツ語のちょっとやっかいなところです。
と思う気持ちはよくわかります。
名詞の性別は確かに感覚的なところもありますし、新しい単語などはドイツ人ネイティブでも違う性別を使うこともあります。
また、同じ単語でも地方によって違う性別を使うものなどもあり、外国人の私たちが完ぺきに名詞の性別を判断するのは確かに無理かもしれません。
しかし、よく使う単語にはやはり法則があり、これは外国人の私たちでもマスターすることができます。
しかも少しくらい間違えても文章の意味がわからない、ということはなく、ドイツ人はちゃんとわかってくれます。
使っているうちに覚えることも多いので、ちょっとくらい間違えてもなんてことありませんので、どんどん試してみて下さい。
ちなみにドイツ語で名詞の性別の判断の仕方を知りたい方はこちらを参考にしてください。
ドイツ語名詞区別に関する重要点を簡潔にまとめるとこんな感じです。
名詞の性別ここに注目:
- 女性名詞の語尾に特徴があるので最初に女性名詞を区別する
- 男性名詞と中性名詞の2格と3格は同じ形なので実はどちらの性か知らなくても正しく話せることが多い
- 複数形は女性名詞の変化とほぼ同じ
要は省エネで使う所だけ覚えろ、ってことです。
テストじゃないんですから全部の変化をまんべんなく覚えようとするのはやめましょう。
これをやってしまうとドイツ語学習が嫌になること間違いなしです。
例文を訳すとこうなる
先ほどの例題をドイツ語で表現するとこうなります。
- ハサミ持ってる?
- → あ、あるよ。→ Ja, Ich habe sie dabei.
- ボールペン持ってる?
- → うん、持ってるよ。→ Ja, ich habe ihn dabei.
- あ、ノート忘れちゃった!
- → 私持ってるよ。使う? → Ich habe es dabei. Willst du das benutzen?
全部の三つの性が使えるように例題を選びました(ちなみに複数形は女性名詞の活用を使ってください)。
はさみは”Schere” シェーレ と発音します。これは女性名詞です。「エ」の発音で終わる単語は女性名詞が多いのです。
女性名詞の定冠詞はdieなので“die Schere” と覚えます。
ボールペンは”Kugelschreiber”クーゲルシュライバーで男性名詞です。
名詞の終わりが”-er”で終わるのは大抵男性名詞です。
男性名詞の定冠詞はderなので“der Kugerschreiber” と覚えます。
ノートはHeftでヘフトと発音します。これは中性名詞です。
発音に特に主だった特徴がない時は中性名詞の時が多いのです。
中性名詞の定冠詞はdasなので“das Heft”と覚えます。
気持ちはよくわかりますが、間違えてもどってことないので神経質にならずにじゃかじゃか使ってみましょう。
名詞の性は発音で決まることが多いので単語の発音を聞いて勘で勝負です!
先ほど言った特徴を覚えていれば結構な確率で勘も当たります。
名詞の性の特徴:
- 最後が”e”で終わる名詞は女性名詞が多い “die Schere” →女性名詞
- 最後が”er”で終わる名詞は男性名詞が多い “der Kugelschreiber” →男性名詞
- 語尾にこれといった特徴がない場合は中性名詞が多い “das Heft” →中性名詞
人称代名詞の”er/sie/es”
【ich habe es/sie/ihn dabei】のどれを使うかは名詞の性によって変わる、
というのはわかっていただけたと思います。
確かに少しわかりにくいかもしれません。
ここで【代名詞】という概念が出てきます。
「はさみ」「ボールペン」「ノート」の代わりに「それ」で置き換えできるのです。
例 はさみある? → “それ”持ってるよ。
”はさみ“という名詞を”それ”という単語で代用するので”代名詞”なのです。
ドイツ語の代名詞には色々種類があります。
“er/sie/es”で表す代名詞を「人称代名詞」と呼んでいます。
日本語ではどの単語を代用するのも「それ」一つで済んでしまいますが、
ドイツ語の場合は名詞の性によって3パターンの言い方があるよ、ということなのです。
各性別ごとの人称代名詞(4格の場合): このように置き換えが可能
- 女性名詞 die Schere → 代名詞 sie
- 中性名詞 das Heft → 代名詞 es
- 男性名詞 der Kugelschreiber → 代名詞 ihn
先ほどの例でいうと、以下のような名詞→指示代名詞の書き換えが行われます。
名詞→指示代名詞置き換え:()の中は置き換え前の元の単語
- ハサミ持ってる?
- → あ、あるよ。→ Ja, Ich habe sie (die Schere) dabei.
- ボールペン持ってる?
- → うん、持ってるよ。→ Ja, ich habe ihn (den Kugelschreiber) dabei.
- あ、ノート忘れちゃった!
- → 私持ってるよ。使う? → Ich habe es (das Heft) dabei. Willst du das benutzen?
名詞はそれぞれ1格から4格までの形を持っています。
それに合わせて代名詞も1格から4格の形があります。
「ich habe es dabei」はの”es”は「私は~を持っているよ」の”~を”の部分になります。
これは4格で表現するので、代名詞も4格の形を使うのです。
女性名詞と中性名詞は1格と4格の形が同じですが、男性名詞だけ1格と4格の形が違います。
それと対応して男性名詞も人称代名詞も4格に合わせます。
各性別の名詞の人称代名詞の1格と4格の形:
- 女性名詞 sie/sie
- 中性名詞 es/es
- 男性名詞 er/ihn
初めに代名詞を覚える時には1格の形を覚えると思います。
男性名詞だけ4格の形が違うので少しややこしいですが、他の性でも形がたまたま1格と
同じだけで、「ich habe es/sie/ihn dabei」で使われているのはすべて4格です。
「ich habe es/sie/ihn dabei」の一言に実はこれだけたくさんの文法上の決まりが含まれています。
とても使いこなす自信がない・・・
でも実はそんな心配はありません。
ネイティブの子供は文法上の決まりを考えながら言葉を覚えるわけではありません。
「ich habe es/sie/ihn dabei」(私それ今持ってるよ)
文法は「ふーん、そんな風になっているんだな」程度に届けめておけば充分です。
この文だけ暗記して、使って覚えるのが一番早く身につきます。
騙されたと思ってぜひ試してみて下さい。
【Ich habe es dabei】まとめ
今回はドイツ語で【Ich habe es dabei】の意味と使い方についてご紹介しました。
重要点をまとめると以下のようになります。
各単語の意味: ich habe es/sie/ihn dabei
- Ich : 私は
- habe : 持っている
- es/sie/ihn : それ
- dabei : da + bei の融合: “da: そこ”+ “bei: そばに” で「この場に」
sie/es/ihnは名詞の置き換え:
各性別ごとの人称代名詞(4格の場合): このように置き換えが可能
- 女性名詞 die Schere → 代名詞 sie
- 中性名詞 das Heft → 代名詞 es
- 男性名詞 der Kugelschreiber → 代名詞 ihn
使い方の例:
名詞→指示代名詞置き換え:()の中は置き換え前の元の単語
- ハサミ持ってる?
- → あ、あるよ。→ Ja, Ich habe sie (die Schere) dabei.
- ボールペン持ってる?
- → うん、持ってるよ。→ Ja, ich habe ihn (den Kugelschreiber) dabei.
- あ、ノート忘れちゃった!
- → 私持ってるよ。使う? → Ich habe es (das Heft) dabei. Willst du das benutzen?
”Ich habe es/sie/ihn dabei” の代名詞は4格の名詞の置き換え
各性別の名詞の人称代名詞の1格と4格の形:
- 女性名詞 sie/sie
- 中性名詞 es/es
- 男性名詞 er/ihn
名詞の性別について考える時:
名詞の性別ここに注目:
- 女性名詞の語尾に特徴があるので最初に女性名詞を区別する
- 男性名詞と中性名詞の2格と3格は同じ形なので実はどちらの性か知らなくても正しく話せることが多い
- 複数形は女性名詞の変化とほぼ同じ
各名詞の性別の特徴:
名詞の性の特徴:
- 最後が”e”で終わる名詞は女性名詞が多い “die Schere” →女性名詞
- 最後が”er”で終わる名詞は男性名詞が多い “der Kugelschreiber” →男性名詞
- 語尾にこれといった特徴がない場合は中性名詞が多い “das Heft” →中性名詞
名詞の性の特徴、区別の仕方を^もっと詳しく知りたいかたはこちら:
実際自分だったらどんな状況で使うか頭の中でシュミレーションしてみましょう。
具体的なイメージが湧くと、実際の状況でスムーズにこの表現が出てきますよ!
“dabei”を使った他の表現を知りたい方はこちら!
おまけ
今は知らないドイツ語の単語が出てくるとすぐインターネットで調べられます。
わからない表現が出てきても、ある程度はインターネットでカバーできます。
それでも、頭の中にしっかり定着させたいとき、手元にある辞書を片手にじっくり例題などを見ながらゆっくり反芻する時間を持つのはとても有効です。
耳も口も目も使って、とにかくいろんな方向から覚えると定着しやすいのです。
ドイツ語を勉強する人は、一冊だけでいいから辞書は持っていた方がいいと思います。
騙されたと思って一回だけ試してみてください。
単語数、例文、使いやすさ、どれをとってもダントツです。
最初にこれ一冊あればその後辞書を買い足す必要はないですよ。
ドイツ語を勉強する人にお薦めの一冊です!
当ブログの人気記事「ドイツ語会話で必要な文法はこれだけでいい!」を改良し、わかりやすくまとめました。
テキスト部分と学習ノートの2部にわけ、例文も盛りだくさんです。
最短で効率よく実用ドイツ語をマスターするために、ぜひお役立てください。
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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