ドイツと日本を比べると、考え方や習慣など、いわゆる【文化の違い】がたくさんあります。
企業の面接でもその違いがみられます。
今回は、ドイツの企業で働くときのベストな面接の受け答えをシェアします。
自分で面接を受けたり、逆に私が会社の代表として、実際多くのドイツ人と日本人の面接を行った経験などから得たものです。
ドイツの会社に応募するとき必要なもの
ドイツでは、求職者が企業に応募するときに提出するいくつかの書類があります。
日本では履歴書だけの場合が多いですが、ドイツではそれより多く、以下の書類を最初に提出します。
最近は、メールでのやり取りが多いですが、郵送でも構いません。
企業の人事担当者は、これらの書類をみて、応募した人を面接に呼ぶかを決定します。
1.履歴書(学歴と職歴で写真付きが望ましい)
2.過去の職場で書いてもらう【職歴証明書】
3.資格証明書【大学の卒業証書や職業訓練証明書など】
4.外国で取った就職に関するライセンスがある場合はオリジナルのコピーとドイツ語か英語で翻訳したもの(日本の調理師免許など)
5.その他(外国人ですでに労働ビザを取得している人はそのビザのコピーなど)
【仕事証明書】とは、会社を退職するときに、雇い主から働いた期間やそれまでの仕事の態度や成果を書いてもらった証書のことです。
ドイツの会社ですと必ずもらえますが、日系の会社ですと頼まないともらえないかもしれません。
普通はドイツ語だけですが、インターナショナルの会社に就職を考えている場合などは、ドイツ語・英語両方の表記の成績証明書があるとベストです。
日系企業で勤めていて【仕事証明書】がないときは仕方ないですが、ある場合は必ず先方に提出しましょう。
ドイツの会社で面接する前の準備
書類が無事に通り、面接に呼ばれました。
面接に行く前に以下のような準備をします。
1.履歴書等、最初に送った書類を持参する(面接で必要に応じて面接官に見せるため)
2.面接に行く先の情報を調べる(インターネットで会社にWEBを見るなど)
3.服装や髪型を考えておく(職種によっては必ずしもスーツでなくてもいいが清潔感のある服を。)
4.自分の強みと弱みを把握しておくこと
5.面接のとき聞かれるであろう質問を予想して答えを考えておく
6.面接の際、数分自分について自己紹介を求められることがあるので、前もって内容を考えて予習しておく
この中で一番予習しておかなくてはいけないのは、6の面接で自己アピールをする内容です。
ドイツでもある時とない時がありますが、面接の最初に面接官から「まず初めに自己紹介をお願いします」といわれることがあります。
自分が面接を申し込んだ会社、職種、求められていることに絡めて、最初の数分で自分をアピールできる内容を前もって考えておきましょう。
内容だけでなく、実際面接のつもりで自分で話しておくことも大切です。
面接はドイツ語か場合によっては英語で行われると思いますので、話すだけでなく、笑顔、身振り手振りがあるか鏡の前か、誰かに見てもらいましょう。
面接で話す自己紹介の内容
自己紹介の内容ですが、以下の点に気を付けて準備しましょう。
自己紹介とは、自分のよい点を会社にアピールする時間です。
自分からマイナスになることは言わずに、会社にとってどれだけ自分が役に立つ存在になれるのか、プラスの点だけをまとめます。
基本的に以下の点をアピールします:
1.面接官が自分の履歴書を見直す必要がないように、仕事上相手にとって、一番興味があると思われる部分を4-5文で簡潔にまとめる
2.大学で学んだ学科や、職業訓練等でとった資格などを述べる。卒業/終了したかを伝えるのも大切
3.面接で一番重要で自分がアピールできると思う点について述べる。言語やパソコンスキルなど
4.面接に受かったらその会社でするであろう仕事に合うと思う自分の能力や可能なことを述べる。
5.自分の性格の良い点を述べる: 責任感がある、チームワークを必要とする仕事が得意、締め切りを守る、コミュニケーション能力があるなど、できたら具体的なエピソード付きで。
それから、自分からいう必要はありませんが、もし聞かれたら答えるために以下の質問の答えを前もって準備しておくとよいでしょう。
準備といっても面接のために嘘をつくわけではなく、あくまで本当のことから一番よいと思う回答を考えます。
質問された場合だけ回答
自分の弱点 : 伝えても差しさわりにない弱点、またはその仕事にとって大事でない、履歴書にすでに書いてある弱点などを述べる。
(例: 車が必要ない職場で免許がないなど。英語がそれほど必要ないところで英語があまりできないことなど)
個人的なこと: 家族構成や趣味などを聞かれる場合がある。子どもがいる場合は子どもの人数や年齢。趣味は一般的な趣味(テニスやサッカーなどの一般的なスポーツ、読書、音楽など)
前職を退職した理由: 詳細を語る必要はないので、会社都合など一般的な理由を述べる
聞かれない限りネガティブなことをいう必要はありません。
ヨーロッパ人は面接で常にできることをアピールします。
いざ雇ってみて、できるといったことが全然できていないなど、面接を自己アピールの場ととらえて、できるだけ高く買ってもらおうとする傾向にあります。
それに引き換え、日本人は総じて控え目で、できると思う事でも、後から困ることのないように、面接の場で控え目に表現することが多いです。
そのため、実際の能力は日本人の方が高いのに、面接の場では低く評価されてしまい、内定を逃すこともあります。
できないことをできるという必要はありませんが、できるだけ自信があること、内定後すぐ戦力になれることをアピールすることを心がけましょう。
面接日【ドイツ人と面接するときの心構え】
面接当日は、以下の点に注意しましょう。
1.面接の場に10分くらい前に到着するのがベスト: 遅刻は厳禁だが、早すぎるのもよくない。余裕を持って到着して、近所の様子を一通りみてから面接先に行くくらいのつもりでいこう。
2.室内に入るとき面接官と握手をかわす: 相手の手全体を強すぎず弱すぎず握ること。相手の目をみる。距離は50センチくらいが理想。
3.面接で場を和ますための形式的な質問について: ”問題なく会社に来られたか””お茶を飲むか”などの質問があるが、笑顔を絶やさずに受け答えしよう。これもすでに面接の一部です。
ドイツ人の面接官は、初めに挨拶として握手をします。たいてい相手が手を差し伸べてくれるので、相手の目をみて手の全体を握るようにして、握手しましょう。
面接のあいだはできるだけ【相手の目を見てにこやかに話す】こと。
目を伏せたり、握手が弱すぎると、自分に自信がないように受け取られてしまいます。
相手の目をみて、にこやかにすることを心掛け、好ましい印象を与えましょう。
面接官が複数いる時には、主に話す人だけでなく、たまには他の人の目もみて話しましょう。
ドイツ人との面接をするときの話の内容
例:
”免許がないから”と発言するのが、ネガティブなので言わないほうがいいようです。
単に【地下鉄ですぐ来られる場所にあるのはとてもありがたいです。】という方が好ましいです。
ただし、なんでも”はい”というのではなく、無理なことは伝える
何でもポジティブに言えばいいかと、面接官のいうことすべてに”はい、大丈夫です”といえばいいわけではありません。
できないことは、失礼にならない範囲で、面接できちんと伝えましょう。
ドイツに家族がいるので、異国を拠点としては働くことはできません。
ただし、出張でメッセや会議などが行われる際に、出張でイギリスやインドに行くのは全く問題ありません。
今のところフルタイムではなくてどれくらいで考えていますか。半日ジョブですか、それとも4分の3でしょうか。
それで生活できるレベルの給与であれば考えられます。
また、いつかフルタイムに変更する予定はありますか。
このように、話し合って妥協点を見つけられるか、自分が譲れる境界線を示しつつ、相手の言うこともある程度受け入れる用意があることを示しましょう。
面接で希望の給与について聞かれたら
面接では、はっきりとではなくても給与の話が出てきます。
相手から提示してくれればそれに対して反応すればいいので、簡単なのですが、面接官から希望の給与について質問されることがあります。
これはなかなか難しいですが、こちらから高すぎる給与を言って断られても困りますし、逆に低すぎる給与を言うと、相手がそれ以上を考えていた場合、低い給与で決まってしまう可能性があります。
回答としては、次のパターンが考えられます。
1.自分では言わずに、面接官の口から言わせるパターン
2.自分の前職の給与を伝える(その金額が希望とはっきり言わずに、あくまで事実として伝え、先方に考えさせる)
3.大まかな希望の月給を伝える(最低これだけあれば生活できるし、内定を受けるという額)
希望給与と伝える時の注意点!
★給与額を言うときは、できるだけ交渉の余地を持たせるために、年収ではなくて、月給をいうこと!
月給を伝えておけば、あとからボーナスの話をできたり、その他の報酬の話を交渉することもできます。
年収を伝えてしまうと、それで確定で交渉の余地がありません。
できるだけ後からも交渉の余地を残すよう、大まかに伝えましょう。
【ドイツで就職するときの面接ポイント】まとめ
ドイツでは、とにかく面接の場で自信満々に望むことがいい印象を与えます。
控え目な態度では、自分に自信がないと思われ、面接官からいい印象をもってもらえず、能力があるにもかかわらず、内定まで結びつかないこともあります。
日本人は総じて感張りやで我慢強いです。能力も充分に持っています。
しかし、ヨーロッパではときに、日本では美徳と思われる【全体の”和”を大事にして”空気を読む”】という態度もこちらでは【自分の意見がなく”何を考えているかわからない人”】というネガティブな印象を与えます。
個人的な友人関係を築くのであれば、無理せず、だんだんと人となりをわかってもらうのも一つの方法ですが、面接は一発勝負なので、だんだんという過程を踏めません。
日本語でも難しい面接で、外国語でとっさの判断をするのは簡単ではありません。
自分の強みは何か、面接で何を話すか、自己ピールの準備は必ずしておきましょう!
自己アピールの内容 :
1.面接官が自分の履歴書を見直す必要がないように、仕事上相手にとって、一番興味があると思われる部分を4-5文で簡潔にまとめる
2.大学で学んだ学科や、職業訓練等でとった資格などを述べる。卒業/終了したかを伝えるのも大切
3.面接で一番重要で自分がアピールできると思う点について述べる。言語やパソコンスキルなど
4.面接に受かったらその会社でするであろう仕事に合うと思う自分の能力や可能なことを述べる。
5.自分の性格の良い点を述べる: 責任感がある、チームワークを必要とする仕事が得意、締め切りを守る、コミュニケーション能力があるなど、できたら具体的なエピソード付きで。
当ブログの人気記事「ドイツ語会話で必要な文法はこれだけでいい!」を改良し、わかりやすくまとめました。
テキスト部分と学習ノートの2部にわけ、例文も盛りだくさんです。
最短で効率よく実用ドイツ語をマスターするために、ぜひお役立てください。
ドイツ語会話に最低限必要な4つの文法教えます ドイツ在住・留学、実用ドイツ語会話を今すぐ身に着けたい方へ
オプションで、テキストに関する質問、その他ドイツ生活に関する質問も受け付けています。
その他、ドイツ語やドイツ生活に関するご希望テキストがあればリクエストを受け付けます。
お気軽にメッセージをお寄せ下さい。
ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
最近のコメント