ドイツ語を学習中のみなさん、
ドイツ語には二つの「なぜ」という単語があるのをご存知ですか。
その二つとは【warum/ヴァルム】と【wieso/ヴィゾー】です。
どちらも”なぜ”という意味を持つ単語です。
ドイツ語の学習書などをみると「この二つの単語に意味上の違いはない」と書かれているものもあります。
しかし、実際にドイツで生活していると、やはりこの両者は微妙に意味合いや使う場面が異なっているのを感じます。
ドイツ人のフォーラム上の話し合いでも、違いをはっきり説明するのは難しいようですが、ある程度の使い分けをしているのは感じ取れます。
改めて考えると、実は私もこれまであまり意識することなく、なんとなく使い分けていました。
今回はそんな微妙なドイツ語の二つの【なぜ】の違いに注目して、
どのように使い分けされているのか以下のポイントに沿ってご説明します。
- 意味の違い
- いつ使うのか
- どんな場面で使うか具体例
文法書に載っている内容とは違うかもしれませんが、
実際に今ドイツで生きて使われているドイツ語から導き出した内容です。
さらに、これからドイツ語をできるだけ効率よく習得できるように、導入に言語学の観点からみた言語の全体像について述べました。
専門用語はなるべく省きましたが、理論より実践ドイツ語を学びたい人には少し面倒かもしれません。
しかし、最初に全体像を大まかにでも把握しておくとこれからの語学習得スピードに差がでると思いますのでぜひ目を通してみて下さい。
言語学の雑学に興味のある人は前半を、実践ドイツ語習得が目的の人は前半は軽く流して後半に重点を置いて読んでいただいてもいいと思います。
まず初めに【言語の大前提】
言語学習において知っておいて損がないことがあります。
【言語は生き物と同じで時代とともに常に流動的に変化している】ということです。
言語というのは、もともとは人類が表現したいことを表す手段として生まれました。
ですから、人間の生活が変わって伝えたいことが変化すれば、当然それに合わせて言語も変化します。
時代や流行、技術の発達、これまでの歴史や文化的な背景によって使われる単語や意味が日々変わっているのはみなさんも実感できるのではないでしょうか。
50年前、いえ、ほんの10年前と今の日本語を比較してもその違いはよくわかります。
多くの外国語の日本語化、年々生み出されるネット用語、同じく使われているようでいて世代によって微妙に意味合いや使い方が違う単語、使う人がいなくなって徐々に淘汰される用語。。。
【言語は常に変化している】
これが言語の大前提です。
この前提に基づいて考えると、こんなことが想像できます。
【どんな言語も単語の意味や文法上の決まりの境目を”ここ”というキッチリした線引きはできない。境目は流動的であいまいなものになってしまう。】
常に動いているものを現時点で固めて無理やり統一しようとしているのですから、それをきっちり分けるのはどうしたって無理なのです。
それなのに言語学習をしていると、この大切な大前提を忘れそうになります。
文法を一生懸命覚えて、それに当てはまらない例外が出てくるとそこで混乱、文法と違うものがあると先に進めない、どれだけあるかわからない例外をすべて覚えようと努力する・・・
【言語は常に変化しているのだから、すべてが規則に当てはまらなくて当たり前】
この当たり前を忘れて例外が出ると必死にルールに当てはめようとしてしまう。。。
正直にいうと、これらの試みは語学学習者にとって時間の無駄です。
あなたが言語学習を始めた目的を思い出してください。
【言語を習得して他者と意思疎通ができるようになる】ではありませんか。
例外にこだわっても人と意思疎通ができるようにはなりません。
とはいっても、もちろん文法を覚えるのは悪いことではありません。
ただひとつ間違えるとせっかく覚えた文法が【ドイツ語の習得】という目的に役立たなくなってしまうといいたいのです。
ではどうすればいいのか。
結論を言いますと、【文法は最低限・基本部分に集中・例外等の枝葉に時間を割かない】。
これが一番効率のいい語学学習方法です。
余談ですが、欲を言えばその後自分が実際使いそうな例をいくつか考えて、ネイティブの人にチェックしてもらえたら最強です。
更に自分で作った例題を口に出して繰り返し、実践で使う。
このルーチンがドイツ語習得して他者と意思疎通ができるようになる一番の近道です。
次は言語学習において文法を覚える意義についてみていきましょう。
文法(言語上のルール)の意義
そもそも文法(言語上のルール)とはなんなのか、どうして存在しているのか。
先ほど言語の大前提として【言語は常に変化している】という事実を述べましたが、
実は文法というのは、その大前提をあえて無視して作られています。
さて、なぜ文法はこんな大切な大前提を無視して作られたのでしょうか?
気になりますね。
少なくとも私は最初にこの話を聞いたとき非常に気になりました。
「こんな重要な前提抜かしちゃっていいの???」
この質問に答えるには少し予備知識が必要になります。
言語の研究対象【時間的歴史的現象から特定時間内現象へ】
少し学問的な話になりますが、長い間伝達機能として使われているだけだった言語が、時とともに学問として研究対象になってきました。
とはいっても言語学は哲学や神学と違って比較的新しい学問で、初期の研究は粗削りなものです。
18世紀後半になって学問としての飛躍がありましたが、19世紀までの言語研究というのは、主に”言語が過去から今に至るまでどういう風に変化してきたのか”という歴史的変化を研究するものでした。
しかし、19世紀後半、後に現代言語学の祖といわれるスイスの言語学者ソシュールがこの傾向に疑問を抱きます。
彼の疑問をざっくりとまとめるとこのようになります。
「言語の本質は”その意味を伝達して人とコミュニケーションすること”。
それなのに、現在の言語学は”言語の形式を過去と比較する”という歴史的研究ばかりしている。
いったいそれが言語の本質”人とのコミュニケーション”と何の関係があるのだろうか。」
ソシュールが提唱した新しい概念と提言
このような疑問から、ソシュールは言語の研究対象として二つの概念を導入します。
一つは当時の言語研究の対象となっていた異なる時間軸で起こる言語現象(主に形式)に視点を置き、違いを比較する研究。
つまり言語の過去と現在の比較です。
この視点をソシュールは【通時態】と名付けました。
もう一つは言語をある時間で区切り、その中で起こる言語現象を比較、研究するもの。
これをソシュールは【共時態】と名付けました。
そして更にソシュールはこのように主張します。
言語の本質は意味の伝達だ。だから言語研究もその研究をすべきである。
今のように言語の歴史を研究しても言葉の本質は理解できない。
今後の言語の研究対象は、言語の本質である”人間間のコミュニケーション”の研究ができる”共時態”の中で起こる言語現象を優先すべきである。
これからは、ある固定化した時間の中で起きている言語の構造や意味も研究対象にして言語を理解しよう。
(抜粋)
ソシュールが提唱した概念 | 通時態 | 共時態 |
研究対象 | 歴史的・異なる時間軸 | 非歴史的・同じ時間軸内 |
言葉の本質「意味の伝達」との関係 | 無関係 | 密接な関係 |
言語の本質が”意味の伝達”すなわち「人間同士の意志疎通」であることは理解できます。
でもなぜソシュールはその研究ができるのは”共時態”だと主張したのでしょうか。
その根拠としてソシュールはこのように述べます:
- 言語の過去の歴史など知らなくても言語習得はできる
確かに、これは納得です。
一番わかりやすいのは赤ん坊です。
赤ん坊は言語の過去の歴史など何も知りません。
でも周りの人から繰り返し言語を言語を聞いているうちに自然に言語を習得するのです。
そしてだんだん自分の言いたいことを伝え、人とのコミュニケーションができるようになっていく。
これこそ共時態の言語事象の成果以外の何物でもありません。
ソシュールの共時態優先の主張:
- 共時態で起こる言語現象が言葉の本質である「意味の伝達」と密接な関係があるから
その根拠
- 人間は通時態の概念がなくても言語が習得できる
言語習得の視点からみた”共時態”の重要性
ここで改めて、ソシュールが提言した共時態と通時態という二つの概念を言語習得という観点からみてみましょう。
1.通時態とは”異なる時間軸で起こる現象に注目する視点”です。
2.共時態とはその逆で“ある固定した時間帯(例えば現在)の中で起こる現象に注目する視点”です。
通時態の主な研究対象は言語に関するすべての歴史的変化、例えば単語や文の並びの変化など、言語の特徴の過去と現在の比較です。
共時態の研究対象は現時点の言語の特徴すべて、例えば同時代の異なる言語の比較、名詞と動詞の違い、複数形の作り方、単語の意味の比較などが入ります。
この”現時点に特化した言語の特徴”、”特徴を一定の傾向としてまとめた文法”が言語習得に非常に密接に関係してきます。
なぜ文法は言語の大原則を無視したのか
「なぜ文法はこんな大切な大前提を無視して作られたのでしょうか?」
ここでやっとこの質問に戻ってこられます。
色々な回答があるでしょうが、言語習得を目標にしている私たちに必要な答えはこのひとつで充分。
【今の言語に特化した特徴を文法化した方が断然言語習得に役立つから】です。
もし言語の文法が通時態(過去との比較)で作られていたら(それは実際には不可能ですが)、その決まりは言語習得には何の役にも立たない、むしろ邪魔な決まりになります。
言語の原点、そして我々の目標「言語の習得」のためには”今(共時態)”の言語に適応した文法のみが必要なのです。
もちろんどんなに頑張っても例外なしの100%その通りなんていう文法は存在しません。
なぜなら言語は生き物だから。
今この瞬間も変化中だからです。
でも100%適応しなくてもいい、90%でも80%でもこのルールに沿っているのであれば、その文法を知らないより、はるかに言語習得の役に立つ。だから使う。
70%や60%しか当てはまらない精度があまりよくないルールでも言語習得するためには、「ないより役に立つ」。だから使う。
今は40%しか当てはまらないルールが存在しているかもしれない。
そんな一見存在意義がなさそうにみえるルールも存在しているかもしれない。
なぜなら言語は生き物だから。
このルールも昔はもっと高い精度があって当時の言語習得に役に立ったのかもしれない。
でも今の「私の言語習得には役立たない」。だから使わない。
これでいいのです。
例えばドイツ語の名詞の性別の判定の方法、複数形の作り方のルールの複雑さ、決まりの多さ、例外の多さはいい例です。
苦労して仮に全部のルールを覚えたとしても、その単語がどのルールに該当するのかさっぱりわかりません。
私は開き直って、名詞に関してはほぼ100%の精度を持つルール以外は覚えるのをやめました。
覚えるのをやめれば例外を覚える必要もありません。ダブルで時間の節約になります。
50%しか該当しないルールはもはやルールではなく”そういう傾向がある”というだけの話です。
”そういう傾向もあったかも”くらいにしておいて、一生懸命暗記したり使いこなそうとする努力と時間は他に向けたほうがいいです。
学者を目指すのではない限り、単なる言語学習にそこまで必要ありません。
赤ん坊はそんな小難しいルール覚えなくてもドイツ語が話せるようになっているじゃないか。
新しい単語などは地域や話し手によって複数の性を持つものもあるのです。
仮に間違えてもそこまで致命的ではありませんし、話は通じます。
そう思っていたら、私はそのうち感覚で名詞の性や複数形の検討がつくようになりました。
もちろん母国語者ではないので、100%ではないですが、要は習うより慣れろです。
だから言います。
「文法は根幹だけ理解すればよい。枝葉は無視。」
少なくともこのスタンスで不自由なくドイツ語でドイツで生活できます。
ドイツの大学も卒業可能だしドイツで働くのも可能なのです。
私の場合、言語をイメージすると、頭の中にゆっくり動く触覚のあるスライム状のものが浮かんできます。
言語として変わりにくい格の部分と、言語外の影響を受けやすい周辺部分でできている集合体、しかし全体としてゆっくりではあるが常に移動している、そんなイメージ。
次はこれらの前提を意識して、今回のテーマである”warum”と”wieso”の違いを考えます。
とはいっても難しいことではなく、各単語のこれまでの歴史や、使い方の例外を考慮せず、実用的な語学習得のために必要な基幹部分に集中しましょう、ということです。
ドイツ語【warumとwieso】意味・使い方の違い
ドイツ語の”warum”と”wieso”はどちらも「なぜ/どうして」という意味を持っています。
でもこの二つを入れ替えてそのまま使えるかというとそうではありません。
その意味や使い方には違いがあるのです。
意味の違い
一体どのような違いでしょうか。
まず意味の微妙な違いを説明します。
warum と wieso の意味の違い:
- warum: 一般的で中立的な「どうして・なぜ」
- wieso: 強調・話し手の気持ちのこもった(主にネガティブ)「なぜ・どうして」
最も一般的に使われる、いわゆる標準的な「どうして/なぜxxなの?」の意味を持つのは”warum” です。
ですから、普通に質問する場合は”warum”を使います。
一方、“wieso” は同じ「どうして/なぜ」でも、強調や話し手の気持ちが含まれています。
そして、たいていの場合、その気持ちにはネガティブな意味が含まれています。
例えば、何か解せないことが起きて「どうして(こうなるの)?」「なぜ(こうなった)?」という場合に使うのは”wieso”なのです。
どのような場面で使うのか
大まかな意味の違いはわかっていただけましたでしょうか。
では実際どのような場面で使われるのでしょうか。
使う場面の比較をしてみます。
warumとwiesoの使う場面の違い:
- warum: 普通に「なぜ」なのか知りたい時に使う。素朴な質問。公の場面でもプライベートでも使う。
- wieso: 強調したい時、失望・怒り・不満など主にネガティブな感情、何か解せないことがある時に使う。質問形式だが、答えを知りたいというより自分の気持ちを伝えたい。プライベートの場面で使う事が多い。
例えば誰かを食事に誘って、相手が来られないと言ったとします。
どうして来られないのかを質問する時、”warum” を使うと、単純にどうして来られないか理由を聞いています。
一方、”wieso”を使うと、どうして来ないのか、残念に思う気持ちやちょっとした怒り、または本当は来てほしいのに、という話し手の気持ちが込められます。
具体的にみてみましょう。
質問と答えの両方をみると違いがわかると思います。
1. warum: 中立的でニュートラルな質問
A. Warum kommst du nicht? あなたはどうして来ないの?
B. Ich habe schon einen anderen Termin. もう他の予定が入ってるんだ。
解説: ここではAは単純にBが来ない理由を聞いています。
この後のAの返事は「そうなんだ、わかった。」「それじゃあ仕方ないね。またの機会にね。」などの自然な返答になるでしょう。
2: wieso: 話し手の気持ちが入った質問
A. Wieso kommst du nicht? あなたはどうして来ないの? (来てほしいのに残念…)
B. (Sorry), Ich habe schon einen anderen Termin. (ごめん)もう他の予定が入っているんだ。
解説: Aはここでは、来てくれない理由を知りたい、というよりはどうして来てくれないのか残念に思う気持ち、または来てほしいという気持ち、来てくれない不満を表現しています。
BにもAの気持ちは伝わるので、口に出さないとしても【sorry-ごめん、申し訳ない】という気持ちを表したくなる。
多分この後のAの返答は「えー、そうなの残念」「その予定ずらせたら良かったのにな」
「少しだけでも来られない?」などの来てほしかったという気持ちのこもったものになるでしょう。
他の部分は全く同じで”warum”と”wieso”が違うだけで、これだけの違いを表せるのです。
この性質の違いから、”warum”はどのような場面でも使えますが、”wieso”は公式の場面ではあまり使われません。
この違いを知っているのと知らないのとでは大違いだと思いませんか。
これで通常の疑問形として使うのは”warum”ということがわかっていただけたと思います。
もちろん言語は常に変化するという原則がありますから、両者の境目はあいまいです。
シチュエーションによっては、どちらも併用できる場面もあります。
ここでは両者の傾向がわかればそれで充分です。
次は”wieso”の特異性を踏まえて、どんな場面で”warum”ではなく”wieso”のみを使うのかいくつか例を挙げてみます。
“wieso” 実際にどんな場面で使うのか
例1
- 友人や家族など親しい関係の人にプライベートで。
「今日の夕食レストランに行かない? →今日は家で食べようよ。→ “Wieso?” えー、どうして (レストラン行きたいのに)?」
「今日は天気がいいから外でテニスしようよ。→自分は室内テニスの方がいいな。→ “Wieso?” え、どうして(外の方が気持ちいいのに)?」
※こういう場面では普通に”warum”を使っても間違いではないし使うことも可能。でも、気持ちを表したい場合は”wieso”の方が適している。
例2
- 子どもが不平を言う時
親 Du sollst ins Bett gehen. もう寝なさい
子ども: Wieso (soll ich schlafen)? どうして(寝なくちゃいけないの)?
※寝なくてはいけない理由を聞いているのではなく、寝なくてはいけないことの不満を表しています。
これはいろんなパターンに応用できます。
「アイス食べたい。→今はダメ → どうして(食べたいのに)?」
「遊びに連れてって。→あとでね。→えー、どうして(今行きたい)」
※こういう時子どもが使うのは、間違いなく”wieso”で”warum”は使いません。
例3
- 何かついてないことや、予定外の事がいくつか重なったりして「なぜこんなことばかり起こるんだ!」
“Wieso passiert das?” なぜそんなことが起きるんだ!
” Wieso geht das so?” どうしてそういう風になるんだろう!
※このような時に使うのは、”warum” ではなく”wieso”です 。
だいたいの感じはつかめたでしょうか。
ドイツ語の”なぜ”【warumとwieso】の違いまとめ
今回はドイツ語の2つの”なぜ”【warum/wieso】の違いをご説明しました。
意味の違い、使い方の違い、そして作り方がなんとなくわかっていただけたでしょうか。
そして、言語習得の観点から、言語研究の歴史と効率よい文法の使い方をご説明しました。
ここに重要点をもう一度まとめます。
- 言語の大前提【言語は常に変化している】
これは事実である。しかし。。。
- 言語研究の概念
近代言語学の祖ソシュール:
- 言語の本質は”その意味を伝達して人とコミュニケーションすること”。
- 言語の研究対象は、言語の本質を理解できる同じ時間軸内の言語現象を優先すべき。
- よって(言語の大前提はあれど)、言語の本質研究において時間軸を考慮する必要はない。なぜなら過去の歴史を知らなくても言語習得は可能だから。
ソシュールが提唱した概念 | 通時態 | 共時態 |
研究対象 | 歴史的・異なる時間軸 | 非歴史的・同じ時間軸内 |
言葉の本質「意味の伝達」との関係 | 無関係 | 密接な関係 |
- 言語習得のための文法の使い方
「文法は根幹だけ理解すればよい。枝葉は無視。」
- 100%当てはまる文法は存在しない、なぜなら言語は常に変化しているから。
- 90%でも80%でもこのルールに沿っているのであれば、使わないより言語習得の役に立つ。効率よい言語習得のために役に立つ根幹部分だけ使う。
- “warum” と”wieso” の違い
warum と wieso の意味の違い:
- warum: 一般的で中立的な「どうして・なぜ」
- wieso: 強調・話し手の気持ちのこもった(主にネガティブ)「なぜ・どうして」
warumとwiesoの使う場面の違い:
- warum: 普通に「なぜ」なのか知りたい時に使う。素朴な質問。公の場面でもプライベートでも使う。
- wieso: 強調したい時、失望・怒り・不満など主にネガティブな感情、何か解せないことがある時に使う。質問形式だが、答えを知りたいというより自分の気持ちを伝えたい。プライベートの場面で使う事が多い。
“wieso”の例1: 友人や家族など親しい関係の人にプライベートの場で
- 「今日の夕食レストランに行かない? →今日は家で食べようよ。→ “Wieso?” えー、どうして (レストラン行きたいのに)?」「今日は天気がいいから外でテニスしようよ。→自分は室内テニスの方がいいな。→ “Wieso?” え、どうして(外の方が気持ちいいのに)?」
- ※”warum”を使っても間違いではないし使うことも可能。でも、気持ちを表したい場合は”wieso”の方が適している。
“wieso”の例2: 子どもが不平を言う時:
- 親 Du sollst ins Bett gehen. もう寝なさい子ども: Wieso (soll ich schlafen)? どうして(寝なくちゃいけないの)?※寝なくてはいけない理由ではなく、寝なくてはいけないことの不満を表現。
- 「アイス食べたい。→今はダメ → どうして(食べたいのに)?」
- 「遊びに連れてって。→あとでね。→えー、どうして(今行きたい)」
※ここで子どもが使うのは、間違いなく”wieso”で”warum”ではない。
“wieso”の例3: 何かついてない事や、予定外の不運がいくつか重なった時。
- “Wieso passiert das?” なぜそんなことが起きるんだ!
- ” Wieso geht das so?” どうしてそういう風になるんだろう!
※このような時に使うのは、”warum” ではなく“wieso” 。
ドイツ語で覚えたほうがいい最低限の文法は一体どれなの?
ここまでの中で、言語習得について以下の2点をご説明しました。
1.言語の大原則【言語は常に変化する】の性質上、文法はいつでも例外があるのは当たり前、メイン部分だけ覚えて例外等の枝葉は切り落とす。
2.文法は単なる語学習得の手段であって目的ではない、だから最低限の文法だけ覚えればいい。
この点については納得していただけたと思います。
ここで一つ疑問が出てきます。
「それはわかった、でも一体どの文法が必要最低限覚えなくてはいけない文法なの?」
私はここに一定の答えを出しました。
更に独自のテキストも三段階に分けて作成しました。
実用ドイツ語に必要な文法を3段階でお教えします 実用ドイツ語を最短でマスターするために最初に必要なテキスト
今すぐにでもドイツ語が必要な人、ドイツに住んでいて今日からでもドイツ語を使いたい人、ドイツ語の文法の多さに挫折してしまいそうな人・・・・
まずここから始めてみてください。
当ブログの人気記事「ドイツ語会話で必要な文法はこれだけでいい!」を改良し、わかりやすくまとめました。
テキスト部分と学習ノートの2部にわけ、例文も盛りだくさんです。
最短で効率よく実用ドイツ語をマスターするために、ぜひお役立てください。
ドイツ語会話に最低限必要な4つの文法教えます ドイツ在住・留学、実用ドイツ語会話を今すぐ身に着けたい方へ
オプションで、テキストに関する質問、その他ドイツ生活に関する質問も受け付けています。
その他、ドイツ語やドイツ生活に関するご希望テキストがあればリクエストを受け付けます。
お気軽にメッセージをお寄せ下さい。
ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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