ドイツ語の動詞は、実は二つに分かれることがあります。
これを「分離動詞」と言います。
例えば、aufmachen, einsteigen, umziehen などはよく使われる分離動詞です。
とは言っても、動詞の歴史など難しいことを説明するわけではありません。
3種類の動詞がそれぞれどんな特徴を持っているのか、実際にどんな単語がどのカテゴリーに入るのかを述べていきます。
分離しない動詞(スタンダード)とその特徴
分離しない動詞とは、いわゆる初めに思い浮かべるであろう【普通の動詞】です。
例えば、haben, machen, essen, sagen, nehmenなどがそうです。
特徴としては、以下の二つがあります:
- その単語全体で一つの意味を表す
- 過去分詞をつくる時→【ge+語幹+t】になる(規則変化の場合)
その単語全体で一つの意味を表す?
それって、どういうことですか?
例えば「つくえ」という単語を”「つ」「く」「え」の三つに分けても意味がわからないですよね。
「つくえ」をそのまま覚えないと意味がない。
この単語は“essen”全部を覚えて初めて「食べる」という意味を持ちます。
単語を全部覚えないと使えないのです。
会話では、【助動詞+過去分詞】で過去を表すんですよね。
これらの動詞の過去分詞は、動詞の前にgeをつけて、動詞の語幹、最後にtをつけて作るっていうことです。
例えば、machenの過去分詞は【ge+mach+t】で”gemacht” ですよね。
でも、それって規則動詞の場合はどの動詞でも同じなんじゃないですか?
ところがそうじゃない動詞もあるんですよ。
それがこれから勉強する【分離動詞】や【不分離動詞】なのです。
一般動詞の特徴まとめ:
- その単語全体で一つの意味を表す: “essen” を”e”・”s”・” s “・”e”・” n” に分けても意味がない。
- 過去分詞をつくる時→【ge+語幹+t】になる(規則変化の場合): machen → gemacht
分離動詞とその特徴【ein-,aus-,zu-,um-】などなど
分離動詞とは、その名の通り、二つに分けられる動詞のことです。
aufstehen, einsteigen, umziehenなどはよく使われる分離動詞です。
これらの単語はそれぞれ以下の二つの部分から成り立っています。
【aufstehen = auf+stehen】
【aussteigen = aus+steigen】
【umziehen = um+ziehen】
auf, aus, umなど、動詞の前についている部分を【接頭辞(せっとうじ)】と呼びます。
意味はそのまま【頭につく言葉】です。
分離動詞には、次のような特徴があります:
- 分離動詞は二つの単語の意味を組み合わせでできている
- どちらの部分も独立した一つの単語として使える
- 各パートの意味がわかれば、単語全体を知らなくても意味が推測できる
- 文の動詞が分離動詞だけの場合、語幹が文の2番目に来て、接頭辞は文末に来る
- 過去分詞をつくる時→【接頭辞+ge+語幹+t】になる(規則変化の場合)
ausには「外に出る」という意味があって、steigenには「移動する」という意味があります。
”外に出る”と”移動する”を合わせて、aussteigen【(電車などから)降りる】という意味になるのです。
aus とsteigenの意味を知っていると、aussteigenを知らなくても、何となく意味が想像つくね。
分離動詞は二つの単語の組み合わせになるから、長い単語になることが多いけど、初めて聞く単語でも、意味の推測はつきやすいでしょ。
例えば「起きる」っていう動詞は”aufstehen”という分離動詞なんですが、
「私は起きる」という場合、“stehen”が文の2番目に、接頭辞の”auf”は分かれて文の最後に来るんです。
【Ich stehe auf】という文になります。
だから【分離動詞】っていうんだね。
例えば、einsteigenの過去分詞は、ein-ge-stiegenとなります。
最後が”t”で終わらないんですか?
これは、steigenという単語が不規則動詞だからです。
steigenの過去分詞がgestiegenなので、分離動詞でもそのまま使います。
よくできました!
分離動詞の特徴まとめ:
- 分離動詞は二つの単語の意味を組み合わせでできている: aus+steigen
- どちらの部分も独立した一つの単語として使える: aus (前置詞)/ steigen (動詞)
- 各パートの意味がわかれば、単語全体を知らなくても意味が推測できる: aus(外に出る)+steigen(移動する) = aussteigen(降りる)
- 文の動詞が分離動詞だけの場合、語幹が文の2番目、接頭辞は文末に来る: ich stehe auf
- 過去分詞をつくる時→【接頭辞+ge+語幹+t】になる(規則変化の場合): aussteigen → ausgestiegen (過去分詞は後ろの動詞steigenの変化と同じ)
非分離動詞とその特徴【be-,ge-,er-,ver】など
普通の動詞と分離動詞の他にもうひとつ、非分離動詞というのがあります。
それって普通の動詞と何が違うの?
非分離動詞というのは、分離動詞と同じように単語の前に【接頭辞】がついています。
分離動詞と同じように、接頭辞に少しだけ意味が含まれているものもありますが、それほどはっきりした意味ではありません。
そして分離動詞と違い、非分離動詞は、接頭辞だけでは一つの独立した単語として存在できません。
bestellen, gefallen, erfahren,verstehenなどはよく使われる非分離動詞です。
非分離動詞は次のような特徴があります:
- 動詞の前の部分に接頭辞がある
- 接頭辞と後ろの動詞は分けて使えない
- 過去分詞をつくる時はgeはつかない→接頭辞+語幹+t【bestellt】
今でも使われている非分離動詞はそれほど多くないので、よく使われている動詞だけ覚えれば大丈夫です。
分離動詞のように全部の接頭辞に意味があるわけではないですが、be-,やer-, など意味や文法上意味をもっているものもあります。
非分離動詞の特徴まとめ:
- be-: 4格の目的語を持つ。時に目的語をとらない動詞を4格の目的語を取る動詞に変化させる: 例 【】antworten →【】beantworten その他 bezahlen, bestellen, begrüßen
- er-: 新しいこと・変化・始まりの意味を持つ: 例 【花が咲くblühen】→【花が開花する erblühen 】その他 erfahren, erschaffen, erschließen
- ge-: gefallen, gehören
- ver-: verlassen, verstehen vergessen, vermeiden
追及しだすと、私が大学で勉強した【言語学】という学問になってしまいます。
実用ドイツ語では【ふーん、そんなもんか】で終わらせて、そのまま動詞を覚えるのが得策!
3種類の動詞の特徴【まとめ】
今回は、分離動詞と一般動詞、不分離動詞についてご説明しました。
もう一度こちらにすべての動詞の特徴をまとめました。
一般動詞の特徴まとめ:
- その単語全体で一つの意味を表す: “essen” を”e”・”s”・” s “・”e”・” n” に分けても意味がない。
- 過去分詞をつくる時→【ge+語幹+t】になる(規則変化の場合): machen → gemacht
分離動詞の特徴まとめ:
- 分離動詞は二つの単語の意味を組み合わせでできている: aus+steigen
- どちらの部分も独立した一つの単語として使える: aus / steigen
- 各パートの意味がわかれば、単語全体を知らなくても意味が推測できる: aus(外に出る)+steigen(移動する) = aussteigen(降りる)
- 文の動詞が分離動詞だけの場合、語幹が文の2番目、接頭辞は文末に来る: ich stehe auf
- 過去分詞をつくる時→【接頭辞+ge+語幹+t】になる(規則変化の場合): aussteigen → ausgestiegen (過去分詞は後ろの動詞steigenの変化と同じ)
非分離動詞の特徴まとめ:
- be-: 目的語をとらない動詞を4格の目的語を取る動詞に変化させるなど、文法的意味を持つ: 例 bestellen, begrüßen, beantworten, bezahlen
- er-: 新しいこと・変化・始まりの意味を持つ: 例 花が咲くblühen→花が開花する erblühen その他 erfahren, erschaffen, erschließen
- ge-: gefallen, gehören
- ver-: verlassen, verstehen vergessen, vermeiden
それだけでも、後からの伸び方が全然違いますよ。
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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