あなたは、友達と会話するときに、どの時制を一番使うと思いますか?
今話をしてるんだから、現在形かな?
友人と話す会話の内容を考えてみてください。
- お互いの近況報告
- 見たテレビや読んだ本、聞いた音楽の話、共通の知り合いの話など
これって、全部過去に起きたことの話だと思いませんか?
私がドイツ語を習っていた頃、過去形の言い方を教えてもらった瞬間に、言いたいことがたくさん言えるようになって、すごく嬉しかったのを覚えています。
レストランで注文できるようになったり、お店で買い物できるようになるのも嬉しいです。
けれど、過去形を覚えて友達とドイツ語で会話できるようになる嬉しさはまた格別です。
ドイツ語の過去形は【sein/haben+過去分詞】で表す
実は、ドイツ語を話すとき、過去形は過去形では表しません。
それなら過去形必要ないじゃん。
そうです。実はドイツ語で過去形が使われるのは”本や新聞など文章を書くとき”がほとんどなのです。
ドイツ語の特徴
- 過去形はほぼ【文章を書くときのみ】に使われる
ドイツ語の【過去形】が文書の中でしか使わないのであれば、会話での【過去形】はどう表すのか。
それは”sein/haben+過去分詞”で表すのです。
ドイツ語の特徴
- 会話の過去形は【sein/haben + 過去分詞】で表す
ドイツ語は英語と違って”現在完了”っていう文法上のカテゴリーはないから、形が”現在完了形”っていうだけなんだけど。
時制に関しては、ドイツ語は英語より日本語に似てるから、覚えやすいと思うよ。
助動詞【sein】とは
このように、ドイツ語会話では、過去形は【sein/haben + 過去分詞】で表します。
簡単に書きましたが、きちんと書くと過去形には【sein+過去分詞】と【haben+過去分詞】の二つの形があるということです。
【sein】も【haben】も過去を話すとき【助動詞】として使います。
【sein】というのは、英語でいうbe動詞です。
原型が”sein”で、主語によって以下のように変化します。
原型【sein】の変化
主語 動詞 (sein)
ich (私) bin
du(親しい間の2人称) bist
sie/er/es (3人称女性詞/男性詞/中性詞) ist
wir (私たち) sind
ihr (君たち) seid
Sie (2人称の丁寧形単数複数) sind
たくさんあってうんざりする人は、マーカーで引いた“ich”と”du”の二つだけ覚えてください。
最初の会話ではそれで充分です。
余力がある人は、2人称の丁寧形”Sie”も覚えてください。
助動詞【haben】とは
二つ目の助動詞【haben】は英語の”have”で【持つ】という意味の動詞です。
こちらも主語によって以下のように変化します。
原型【haben】の変化
主語 動詞 (haben)
ich (私) habe
du(親しい間の2人称) hast
sie/er/es (3人称女性詞/男性詞/中性詞) hat
wir (私たち) haben
ihr (君たち) habt
Sie (2人称の丁寧形単数複数) haben
こちらも最初は最低限の“ich”と”du”の二つだけ、余力のある人は2人称の丁寧形”Sie”覚えてもらえれば充分です。
【過去分詞】とは “ge-t”
次は三つ目の部分【過去分詞】です。
ドイツ語の動詞の原型というのは、すべて【-en】で終ります。
haben,essen, wissen,lernen,sehen,lesen,machen,gehen…などをみるとすべての動詞が”-en”で終わっているのがわかります。
“基幹”というのは、基本的には動詞の原形から”-en”を取った形のことを言います。
そして【基幹】に【ge-t】をつけたものが【過去分詞】になります。
こちらはよく使う動詞の過去分詞です。
動詞の過去分詞:【基幹】+【ge-t】
動詞の原形 過去分詞 動詞の意味
haben gehabt 持つ
wissen gewusst 知る
lernen gelernt 習う
machen gemacht する
kaufen gekauft 買う
多くの動詞の過去分詞は【基幹】+【ge-t】になりますので動詞を覚えれば自動的に過去分詞もわかります。
ただし、ドイツ語も英語と同じように【不規則動詞】というものがあります。
これらの動詞の動詞の現在完了形は【ge-t】ではありません。
困ったことに、よく使う単語ほど【不規則動詞率】が高いのです。
”大事な単語だよ”っていう意味で、差別化を図るために不規則動詞にしているのかもしれません。
ここに、よく使う不規則動詞をいくつか挙げました。
実際に誰かと話すときに本当によく使うので、使っているうちに自然に覚えるくらいのレベルです。
不規則動詞の過去分詞
動詞の原形 過去分詞 意味
gehen gegangen 歩いていく
laufen gelaufen 走る
fahren gefahren 車や電車で行く
fliegen geflogen 飛行機で行く
kommen gekommen 来る
bleiben geblieben とどまる
schwimmen geschwommen 泳ぐ
essen gegessen 食べる
sehen gesehen 見る
lesen gelesen 読む
sprechen gesprochen 話す
backen gebacken (パンやケーキなどを)焼く
braten gebraten (ソーセージなど)焼く
gebären geboren 産む
brechen gebrochen 壊す
schlafen geschlafen 寝る
これらの単語は頑張って覚えてしまいましょう。
これで【sein】・【haben】・【過去分詞】の全てのパーツが何だかわかっていただけたと思います。
それでは、実際過去形を話すときに、そのように【sein+過去分詞】と【haben+過去分詞】を使い分けるのでしょうか。
実は、使われる動詞の種類によって、【sein+過去分詞】と【haben+過去分詞】に分かれます。
過去形の使い分けは動詞の種類によって行う
【sein+過去分詞】特別な動詞の場合
【haben+過去分詞】大多数の動詞に使われる
具体的にはどういうことなのでしょうか。
これから一つずつ説明します。
ドイツ語過去形1.【sein+過去分詞】
始めに【sein+過去分詞】を説明します。
こちらの方が使う動詞が少ないです。
ですから、最初に【sein+過去分詞】を使う動詞を覚えて、残りの動詞は全部【haben+過去分詞】と覚えるのが一番いいでしょう。
“sein”と組み合わせて過去形を作る動詞は以下の三つの種類です。
1【sein+過去分詞】 場所の移動を表す動詞
【sein+過去分詞】で一番多いのはこのパターンです。
“場所の動きを表す単語”を使うとき”sein”と合わせます。
以下の動詞がその代表です。
1【sein+過去分詞】場所の移動を表す動詞
動詞の意味 原型 過去形の形(主語が自分の場合/親しい2人称の場合)
行く gehen: ich bin gegangen / du bist gegangen
来る kommen: ich bin gekommen / du bist gekommen
(車などの乗り物で)行く fahren: ich bin gefahren / du bist gefahren
飛行機で行く fliegen: ich bin geflogen / du bist geflogen
乗車する einsteigen: ich bin eingestiegen / du bist eingestiegen
乗り換える umsteigen: ich bin umgestiegen / du bist umgestiegen
上る steigen: ich bin gestiegen / du bist gestiegen
このように、すべての単語が”行く””上る”など移動を表しています。
実際使う場合は、主語によって助動詞”sein”が人称変化します。過去分詞は部分は何が主語でも変わりません。
そして、過去分詞が【文章の最後】にきます。助動詞は文の2番目です。
【sein+過去分詞】の決まり
移動する動詞の場合”sein”を使う
seinは文の2番目にくる
過去分詞は文の最後にくる
面白いのは”泳ぐ”という単語です。
この単語は話の内容によって、移動を表すseinを使うときと、habenを使うときに分かれるのです。
“sein”と”haben”の両方使う単語もまれにある
例 schwimmen 泳ぐ
Ich bin geschwommen. プールで端から端まで泳いだり、海で遠くまで移動する場合
Ich habe geschwommen. プールの中で移動しないでぐるぐる同じ場所を泳ぐ場合
これだけ覚えればOKだよ!
2【sein+過去分詞】状態の変化を表す動詞
二つ目は【状態の変化を表す動詞】を使うときです。
そのような単語はそれほど多くありませんから、以下の単語をそのまま覚えてください。
2.【sein+過去分詞】状態の変化を表す動詞
死ぬ 【sterben】: ich bin gestorben / du bist gestorben
起きる 【aufstehen】: ich bin aufgestanden / du bist aufgestanden
眠り込む 【einschlafen】: ich bin eingeschlafen / du bist eingeschlafen
成長する 【wachsen】: ich bin aufgewachsen / du bist aufgewachsen
眠り込む(einschlafen)は”sein”と組み合わせるけど、寝る(schlafen)は”haben”と組み合わせるよ!
理由は【”眠り込む”は起きてる状態から眠る状態に”変化する”】けど、”寝る”は状態を表しているだけで”移動してない”からみたいだよ。
ちょっと特別な”sein”と”werden”
be動詞にあたる”sein”と【~になる】という意味の”werden”も過去形を作る時は”sein”と組み合わせます。
Ich bin gewesen / Ich werde geworden 会話でもあまり使われない
しかし、この二つの単語は例外で、口語の時も【sein+過去分詞】の形を使わず、文書を書くときに使われる【過去形】を使います。
Ich war xxxx / Ich wurde xxxx 実際に使われる形
この二つの単語だけは、過去形を覚えておきましょう。
例 Ich war gestern dort da. 私は昨日そこにいたよ。
Es wurde mir sehr kalt. 私はとても寒くなった。
3【sein+過去分詞】その他
その他に以下の単語が【sein】と組み合わさって過去形を作ります。
こちらも数はそんなに多くないので、覚えておいてください。
3【sein+過去分詞】その他
とどまる【bleiben】: Ich bin gebliegen. / Du bist gebliegen. 私は(あなたは)そこにとどまった。
~が起こる【geschehen】: Das ist geschehen. それが起きた。
~が生じる【passieren】: Das ist passiert. それが生じた。
出会う【begegnen】: Ich bin ihm begegnet. 私は彼に出会った。
成功する【gelingen】: Das ist gut gelungen. うまく成功した。
ドイツ語過去形2.【haben+過去分詞】
二つ目の過去形の形【haben+過去分詞】の動詞を覚えるのは簡単です。
1で覚えた【sein+過去分詞】以外全部だと思えばいいからです。
両方を比較すると、会話の中で【haben+過去分詞】を使うケースの方が断然多いですから、このパターンを覚えれば過去形をかなり話せるようになります。
過去形一番使うケース
Ich habe xxx ge-t. 例 Ich habe das gemacht. わたし、もうそれやった。
Du hast xxx ge-t. 例 Du hast das gemacht. きみ、もうそれやったよね。
例文を見ると、”sein”の場合と同じように、”haben”が文の2番目に来て、過去分詞が文の最後にくるのがわかります。
【haben+過去分詞】の決まり
seinは文の2番目にくる
過去分詞は文の最後にくる
あとは動詞を変えて応用すればOK!
ドイツ語会話での【過去形】まとめ
口語の過去形の作り方を説明しましたが、わかってもらえましたか?
こんがらがってわからなくなってきた、という人は、ここに重要点をまとめますのでもう一度整理してください。
口語の過去形
1【sein+過去分詞】: Ich bin gegangen. 私は行きました。【移動・状態を表す動詞】
2【haben+過去分詞】: Ich habe gedacht. 私は考えました。【1以外の全ての動詞】
【sein/haben+過去分詞】の決まり
“sein/haben”は文の2番目にくる
“過去分詞”は文の最後にくる
辞書を見ると例題がたくさん載っているのでそれを見て覚えるのもいい方法ですよ。
私はこれでドイツ語を習得しました。
当ブログの人気記事「ドイツ語会話で必要な文法はこれだけでいい!」を改良し、わかりやすくまとめました。
テキスト部分と学習ノートの2部にわけ、例文も盛りだくさんです。
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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