ドイツ語には、ある動詞に決まった前置詞がつくものがあります。
例えば、【warten + auf】で【~を待つ】とか【denken + an】で【~のことを考える】などです。
このような場合、前置詞の”auf”や”an”は本来の前置詞の意味が薄れ、【動詞+前置詞】の組み合わせで初めて【~を待つ】とか【~のことを考える】を持ちます。
前置詞なしで”warten”と人を組み合わせても【~を待つ】という意味にはならないのです。
このような組み合わせを持つ前置詞に【da(r)/wo】をつけると、それぞれ【そのことについて】と【何について】を表すことができます。
例えば【warten+auf】の前置詞に【da(r)】をつけて【darauf + warten】というと【”その人/そのこと”を待つ】を表します。
そして【wo】をつけて【worauf + warten】というと【”誰を/何を”待ってるの?】という意味になります。
この【da(r)/wo】方式は、wartenやdenkenだけではなく、他の決まった前置詞を持つすべての動詞に使うことができます。
今回は、それらの組み合わせの中でも、とりわけ便利に使える【darum/worum geht´s】の使い方をご紹介します。
もとの形は【es geht um …】
【darum/worum geht´s】のもともとの形は【es geht um …】です。
ドイツ語の辞書の【gehen】を見ると意味が説明されています。
しかし、辞書に載っているとひとことで言っても、【gehen】というのはものすごく用法がたくさんあります。
手元の小学館のドイツ語辞典をみると、約4ページにわたって【gehen】が説明されています。
そして【es geht um…】の用法は4ページ分の説明の一番最後に載っています。
es geht 〔jm.〕…um et.⁴〔…にとっては〕…が問題である,大事なのは…である,…がかかっている
独和大辞典第二版 コンパクト版 893ページ
意味がよくわからない。。。
これって大切な表現なの???
そうなのです、辞書を読んでもいまいち意味がわからない。
もし私が日本で机の上でドイツ語を勉強していたら、絶対この言い方に注目することはなかったでしょう。
一体どういう風に使っているのか、それをこれから説明します。
大切なのは、”es geht um”用法は、大抵直前に話されていたことに関して使われるということです。
前振りがなにもなく【es geht darum…】と言っても他の人は”ポカーン”とするだけです。
【es geht um + 4格】の使い方
一つ目の使い方は、単純に”es geht um”の後にテーマになることをいう場合です。
“um”の後には4格がきます。
例:
Es geht um einen Schauspieler. ある俳優についての話だよ。
Es geht um mich. それは私に関することだよ。
俳優のこと、自分のこと、音楽のこと、お金のこと・・・などテーマを一言で表せるときに使います。
でも、言いたいことやテーマが一言で表せるほど単純じゃない場合もあります。
そんな時は、次のような言い方をします。
【es geht darum, dass …】の使い方
話すテーマが複雑で、とても一言で言い表せない場合。
その時は、最初に”es geht darum”と「それは次の事についてだよ」と言ってから、”dass”で複文を作り、そのあとにテーマの説明をします。
例:
Es geht darum, dass ich ungedingt dir mitteilen muss.
それは、私があなたにどうしても伝えなくてはいけないってことだよ。
Es geht darum, dass du noch 15 Jahre alt bist.
つまりそれは、あなたがまだ15歳だってことだよ。
【es geht um…】はこのように使うことができます。
ただ、この用法が最も多く使われるのは、以下の二つの場合です。
【darum geht´s】の意味と使い方
【darum geht´s】は、前の会話を受けて、【そうそう、まさしくそこがポイントだ】とか、【いや、それはポイントからずれてるんじゃないか】などと言いたい時に使います。
会話の中で、相手の言わんとしていることをうまく理解したり、またはちょっとなんか違うなー、と思った時などに使えます。
Ganz genau, darum geht das.
野良ネコの避妊手術代どこから出るかも大事だよ。
Geht es um Geld?
そこ重要なポイントかなあ。
Darum geht´s aber gar nicht.
Doch, darum geht´s aber auch.
例文を読むと「あ、使うかも。」と思いませんか?
辞書を読んでいる時よりは、使うイメージが湧いてくると思います。
さらに、この用法は質問する時にも使えます。
【worum geht´s】の意味と使い方
【wo】を付け加えて【worum geht´s】という形で【何について話しているのか?】と質問することができます。
話の途中で会話に参加したとき、または相手が何を言わんとしているのかわからない時などに使えます。
Was spricht ihr?
Worum geht das?
Es geht um meinen Umzug.
Ach, darum geht´s.
それから、例えば電話で問い合わせをする場合などは相手の顔が見えません。
電話口でどういうべきか迷ってもごもご言っていると、相手に「何を聞きたいのですか?」と突っ込まれたりします。
えーと・・・私は今回引っ越しがあって・・・
欲しいものがあるんですが、どこに問い合わせればいいかわからなくて。。。
えー(もごもご)・・・
一体何を問い合わせたいのですか?
Schuldigung, ich verstehe Sie nicht.
Worum geht das eigentlich?
Es geht um meinen Umzug.
Und zwar, es geht darum, dass …
えーと、つまり言いたいのは・・・
このように、ドイツで生活していると【es geht darum】用法、いろいろな形で、結構使われるのです。
【darum/worum geht´s】まとめ
【darum/worum geht´s】の使い方、なんとなくわかって頂けたでしょうか。
ここにもう一度使い方をまとめます。
“es geht um”用法は、直前に話されていたことに対して使われる
【es geht um + 4格】: xxに関すること
Es geht um einen Schauspieler. ある俳優についての話だよ。
Es geht um mich. それは私に関することだよ。
【es geht darum, dass …】: 話すテーマが複雑で、一言で言い表せない場合
Es geht darum, dass ich ungedingt dir mitteilen muss.
それは、私があなたにどうしても伝えなくてはいけないってことだよ。
Es geht darum, dass du noch 15 Jahre alt bist.
つまりそれは、あなたがまだ15歳だってことだよ。
【darum geht´s】: 前の会話を受けて
【そうそう、まさしくそこがポイントだ】
【いや、それはポイントからずれてるんじゃないか】
Ganz genau, darum geht das. そうそう、それが言いたかった。
Darum geht´s aber gar nicht. そこ大事かなあ?関係ないじゃん。
Doch, darum geht´s aber auch. いや、それも一理あるかもしれない。
【worum geht´s】: 話の途中で会話に参加する/相手が何を言いたいかわからない時
Worum geht das? なんの話してるの?
Worum geht das eigentlich? 一体何を問い合わせたいのですか?
だいたい感じがわかったら、あとは実際に試してみるだけ!
合わせて覚えよう!
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ハイデルベルク大学修士卒業・ハンブルクの企業で代表を務め、社内ベンチャーで異業種起業をして繁盛店にする。
記事執筆・翻訳通訳・ドイツ語個人レッスン経験あり。
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